順位や得点じゃない ~演技~ | A skater's soul ~髙橋大輔応援ブログ~

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フィギュアスケーターを愛してます。
中でも、別格なのは ”高橋大輔”

先日の四大陸選手権は、大ちゃんファンの私としてはとても胸の痛い結果でした。

それでも、行って良かった~~、楽しかった~~、と思えるのは

それ以外に胸を打つ演技をたくさん見せてもらえたからです。


女子については、日本の3人娘に並の男より持ってるんじゃねぇかっつう『男気』見せてもらっ

た感じで、感動の涙を滝のように流しました。なく

皆さん、良くご存知でしょうから、女子は割愛ぺこ
そして、ペア・ダンスも割愛させていただき(ほとんどやん)


男子シングルフリーにおいて、とても感動した演技を2つ。

その日において、満場のスタオベを獲得したのは2人だけだったと思います。


男子シングル14位 クリストファー・カルーザ(フィリピン)  




この選手に演技構成には4回転ジャンプはもちろん、男子必須のトリプルアクセルさえ入ってい

ません。しかし、ひとつひとつ自分の出来るジャンプ・スピン・ステップを丁寧に懸命に実施し

ていました。トップ選手の構成と比べたら難度はかなり劣りますが、彼自身比としてノーミスで

滑り上げていくのです。

そして、最後のコレオシークエンスが始まる頃からなんとも言えぬ高揚感が私の中に湧き上が

り、彼の滑る喜びがそのままブレードを押し進めたかのようなスピードに乗ったステップ・

スパイラル(まるであっこちゃのフリー「O(オー)」のコレオのようでした)を観ながら

こちらまで幸せな気持ちになっていくのが分かりました。

演技が終わり感極まってしゃがみ込んだ時には、彼の思いに観客が共感し、演じた者と観戦した

者が熱い感動を共有し、スタオベしながら幸福な感動を味わい、涙がこぼれました。

今出来うる演技を精一杯やり切れた自分に嬉しくて仕方がなかったんですよね。

精一杯な演技って、演技のレベルに関係なく観ている人にきちんと伝わるものですね。




そしてもう一人だけ、観客の満場のスタオベを享受した選手

男子シングル優勝 ケヴィン・レイノルズ(カナダ



この演技を取り上げるのは、私がつけたタイトル「順位や得点じゃない~」にそぐわないのかも

しれない。参加選手中最高点で1位になっているわけですから。

だけど、敢えて同列で取り上げました。

この日のケヴィンは間違いなく優勝にふさわしい素晴らしい演技でした。

彼の努力が報われてメダルを獲れたことは、誰のファンである、どこの国を応援している、など

関係なく本当に嬉しく思いました。


しかし、今回の優勝にはライバルの失速が大きく作用しています。

高橋選手・羽生選手がいつもどおりの演技をし、アーロン選手も全米タイトルを獲った時と同じ

ような演技をしていたら、ケヴィンがメダルを獲れたかは分かりません。

私自身、そして世間一般も、各スケーターに対してランク付けをしています。その試合のみでな

い、これまでの実績・演技スタイル・スケーティングスキル等が脳内に刻み込まれていますから

その記録をもとに彼らに「格」を付けるのです。そして、その順位は、この大会においては恐ら

く3番手から4番手と認識されていたでしょう。

ケヴィンの演技スタイルは、ジャンプにこそトップを取れる可能性を持たせています。あの体重

の軽さと軸の細さで跳ぶジャンプは、まるで女子のようで力強い迫力はありません。でも、何し

ろたくさん回るし、たくさん跳べる!そして、この特性にスケーティングの力強さ・巧みさを重

ねることはとても難しいことなのでしょうね。

会場で見ると一番分かるのがスピードで、ケヴィンの演技にスピード感や、ブレードがぐいんと

体を押し出す力強さは感じませんでした。それは、高橋選手やアメリカの選手達の方が圧倒的に

上手かった。今後も、パトリックや高橋のようなスケーティングを身に着けるのは難しいでしょ

う。天賦の才や、体格の特徴が違うのもありますが、ケヴィン自身の体の特性を生かした今のジ

ャンプを捨てる作業になりかねないからです。



でも、でもですね、この日のケヴィンはそれを補う演技を見せてくれました。

自分の代名詞である高難度ジャンプをミスなく跳び、腕使いもほんとに優雅で、出来る限り体を

大きく動かし滑らかに美しく踊っていました。

自分の出来る演技を精一杯に心から演じて見せてくれたと思います。

この日に、ライバルが下馬評どおりの演技をしメダルをさらっていっても、ケヴィンが4位、5

位、6位でも、ケヴィン自身が素晴らしかったことに揺るぎはないのです。

人々の意識の中に〇番と刻まれた順位はあれども、人の心を感動させるものは、別のところから

やってくるようです。

だから、カルーザ君と並べさせてもらいました。




「今の自分に出来うる最高の技術を披露し、心をこめて精一杯滑る」



これには3回転しか跳べないとか、5回転までいけまっせ、など関係ないんですよね。



他の競技と決定的に違うところ

最速であること、最長であること、最高であること、最強であること

に届かなくても競技に参加でき、会場を沸かせることができること。
(もちろんミニマムスコアはありますが)


フィギュアスケートの面白さや醍醐味はきっとここにあり、

自分レベルでも最良の演技ができれば、本人も観客もおおいに楽しめるのが素晴らしいところで

すよね。









ここまで書いてつくづく思うのですが、

私たちの高橋大輔に対する期待の大きさ(これまでに見せてもらった演技の記憶)が

どれだけ、高い演技レベルを要求するハメになっていることよのぅ・・


本人も大変よのぅ・・・うう