現在上映中の、草彅剛さん主演の映画「碁盤斬り」を、両親と見に行ってきました!

あらすじはこちら↓

浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、 娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。 しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。 ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意する。 絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!ーーーーー映画情報サイト「Filmarks」さんより引用


この映画のストーリーは、もともと、囲碁を題材とした落語の人情噺「柳田格之進」または「碁盤割(ごばんわり)」「碁盤截(ごばんきり)」と呼ばれるお話をふくらませて、そこに主人公である武士の「仇討ち物語」を付け加えた構成になっています。全体の中でのトーンやボリュームは、仇討ちの方をメインにしたようですね。
 
なので、前半は、町の商家「萬屋」さんとの交流中心の、落語らしいほのぼのとした雰囲気で始まり、途中から、彦根藩の侍だった時代の因縁による仇討ち復讐の旅のシリアスでハードボイルドな世界観にがらっと移り、そして、そのふたつのストーリーが、運命の日に向かって同時に進んでいく、という展開になっています。
そこがちょっとだけ複雑なので、こういう説明ではわかりにくいと思うんですが、実際に映画館の画面で見ていると、江戸時代の風情ある日々の中、ふたつのストーリーが、絶妙に絡み合いながら流れていきます。それで、最後のオチも納得することができましたよ。
 


俳優さんは、それぞれの役にぴったりの方が選ばれているな、と思いました。真に迫った演技にワクワク、ゾクゾクできましたね。

草彅くんの演じた主人公の武士は、普段は真面目で穏やか、でも、いざ怒りが頂点に達すると、神経がピリピリ、表情も険しくシャープな凄みを発するキャラクターで、抜群の存在感がありました。
 

國村隼人さんの、いかにも落語に出てくるような大店の店主は、もちろんはまり役。キョンキョンは普段は笑顔で愛嬌たっぷり、でも辣腕ふるう厳しい一面を持つやり手の遊郭の女主人で、こちらも期待以上!中川大志さんは将来有望だけどちょっとお人好しな手代(商家の使用人)でとってもさわやか。清原果耶ちゃんは草彅くんので健気で好感の持てる女の子、と、演技派の方々が、お江戸の街で起こる出来事を、雰囲気たっぷりに盛り上げてくださってました。
 
斎藤工さんが悪役、というのがちょっと意外でしたが、憎めない点もあったり、フラッとつかみどころがなくそれでいて華がある、という役に似合う俳優さんというと彼になるのかな、と思いました。草彅くんとの殺陣がかっこよかったですね!ラブラブ
 
市村正親さんは碁会所の親分で、和装は珍しいのでは?と思いましたが、さすがになかなかの貫禄でしたね。
 


想像以上に、「囲碁」の場面が多く、そこは、囲碁好きの父にとって、楽しんで鑑賞できたようです。
なんでも、実際の囲碁棋士の方々がカメオ出演もしていたとか・・・父はお一人しか見つけられなかったようですが…。
 

見ていて、囲碁に詳しい人以外、ちょっとわかりにくいところもあったので、父に聞きながら我が家で考察してみたことなどを、ネタバレにならない範囲で書いてみたいと思います。
 

まず、始めに國村隼人さん演じる「萬屋さん」が碁会所で「賭け碁」に興じ、弱い方を打ち負かして大金をせしめてほくそ笑んでいるのを、草彅くんの「格之進」が諌めるために普段しない賭け碁で勝負を挑むも、途中でやめるシーン・・・
これは、父によると、格之進は「石の下」という上級者の手を萬屋さんに気づかれないように作っていて、明らかに勝っているのに勝負を降りたそうです。
相手にぴしゃりと、「お前の負けだ!」と悟らせながら、自分も「賭け碁に勝つ」という武士らしくないことに手を染めないための選択だったのかなぁ、というのが我が家でまとまった意見です。
 

そもそも、「囲碁に正々堂々としていないずるい手はあるのか?」というのも気になったんですが、これは検索で調べてみたら、どうも囲碁には「下手(したて)いじめ」という言葉があるそうです。ちょっと引っ掛けのような手のこと、なのかな?
上手い人が、初心者相手に妙なプレッシャーを与えるような流れで試合を進めていくようなことはスポーツでもあるけど、それはマナー違反と言われますからね。
 
あと、斎藤工さん演じる「柴田」が碁盤の上の「星」と呼ばれる場所に初手から次つぎ打っていくのは、父いわく、やっぱり江戸時代では見られない手で、昭和の初めから始まった手なんだそうです。なので、江戸時代に星から打っていく棋士がいたら、それはそれは目立って、人々の記憶に残っちゃいますよね!
 
高齢の父なので、上映中、まさかのクライマックスあたりで一度トイレに立ってたんですが・・・びっくり 無事に見終わることができ、いろいろ家族で考察も出来て、たっぷり楽しむことができましたニコニコ

 

草彅剛さんや出演俳優さんのファンの方はもちろんですが、囲碁好き、歴史好き、落語好きな方も、いい時間を過ごせるこちらの作品。父の日のプレゼントにもいいかもしれないですね♪

 

↑入場のオマケでもらえたステッカー。始まる前は、これはナニ??だったんですが、映画を見ていくうちにずっしり重みが・・・!
50両って、江戸時代の中でもいつ頃かで価値が違うみたいですが、落語では500万円くらいで語られることが多いみたいですよ。


【追記】そういえば、映画館でのスクリーンの番号が「5番」スクリーンだったんですよ。偶然かな? わざとだったら洒落が効いてますねウインク