昨年から、体の調子が悪く、入退院を繰り返している母。
そんな母を元気づけようと、先日の母の誕生日に、ブーケをプレゼントしました。
どういうお花を贈るか決めずにお花屋さんに向かったんですが、店頭でこれだ!と目に留まったのが、赤を基調とした花束。
母は、もともとお茶とお花の先生をしていて(年齢もあって、最近はあまり活動できていないんですが)、いつもお部屋に花を飾っていました。それすら最近は気力がなくなってきたらしく、飾る頻度も減ってきたようでした。
そして、もちろんいろいろなパターンの生け花を習得している母なんですが、このところよく飾っていたのは、茶人らしく、季節の小さな野草などを、侘び寂びの風情をこめて和風にさらりと生けたお花でした。
しっとりとものさびしく、でもそれこそが美しさでもある秋に、小さな掛け軸と共に、あえて少し枯れたところがあったりする自然な草花を、そっと空間にしつらえる・・・、そんな和の伝統美は私も大好きです。
でも、今回は、沈みがちな母の心をパーッと明るく元気づけたくて、あえて、ゴージャスなお花たちを選んでみました。
バラやチューリップ、ガーベラの、まさしく華々しく、自信にあふれた赤い色・・・
やっぱりすごく存在感や生命力にあふれていて、周りを一瞬にしてステージに変えてしまう・・・まさに、主役級の舞台女優か、銀座のマダムのようです!
母自身は、そこまで強く主張するような性格ではないんですが、姉妹の長女でもあり、いろいろな人生の荒波をドラマチックに乗り越えてここまで逞しく生きてきた姿には、けっこう似合うような気もします。
そして私自身が好きなお花、自分のために買うお花も、いつもはかわいい系、ふわふわ系のパステル調な野の花だったりするんですが、このブーケひと束から発せられる強いエネルギーに触れて、たまにはこういうビビッドで強気なお花を周りに置いて、元気をいただくのもいいのではないか?て新しい発見になりました
母が花を飾っている花器は、たぶん、近所で拾ってきたものだと思います。一応、立場上、作家物などの花器もコレクションしている母ですが、近所に、住んでいる町の誰かがいらなくなった花瓶や食器などがまとめてあり、誰でも持って帰っていいですよ、という陶器リサイクルの場があって、そこからちょこちょこ持ち帰ってくるのも好きみたいです。
その拾い物コレクションも、レトロというかアンティークというか、様々な時代の様々なデザインがあり、前の持ち主さんの思い出もこもっているようであったりして、おもしろい味わいを感じます。
生け花やフラワーアレンジメントは、今では私もずいぶん見慣れてしまって、当たり前のようになってしまい、実はちょっと感動が薄れてきてしまっていました・・・。
でも、今回、このお花を眺めながらゆっくり考えてみたら、まず、生き生きとがんばって綺麗に開くお花さんたちそのもの、そして生産者さん、流通関係者さん、センスのあるお花屋さん、買ってきた私、生けた母、花器を作った人と前に使っていた人・・・その他にも、いろいろな方や自然界の力が合わさって、この一瓶の生け花が出来上がっているんだ、と、不思議で奇跡的なコラボが、とても嬉しいものだな、だからここから何かエネルギーを感じるんだ、と改めて感じました。
何十年ぶりか!?に、お花、生け花って素敵なものだな、と新鮮に感じました。
私も母から生け花を習ってきて、ある程度のところまで習熟してるんですが、めんどうくさがり屋なため、なかなか普段、お花を飾ったりしていませんでした。でも、また心を新たに入れ直し、謙虚な気持ちでお花と向き合ってみたい、お部屋を彩ってみたい、と思うきっかけとなりました。
※いけてから数日後の写真なので、はじめはもっとお花たちも生き生きしてました😅
あと、もともとお花屋さんが作ってくれたブーケには、ここにもう一輪、ビビッドピンクの素敵なカーネーションが入っていました。それを母が一輪抜いて、キッチンに飾っているそうです。