記述問題で部分点を取るには?(小4サピックス3月組分け)

 記述問題は、記号を書けば点数がもらえる可能性がある記号選択問題とは違い、考えた内容を答案に書かなければならないため、時間も労力もかかります。しかし、せっかく書いた答案が点数に結びつかないことも多く、多くのお子様が苦手意識を持ちがちです。

 

 その要因の一つとして、

 

きれいな答案を意識しすぎている

 

 ことが挙げられます。模範解答は、当然、満点の答案で、非常にきれいに書かれています。しかし、いきなりそこを目指すと、あまりにハードルが上がってしまいます。そこで、今回は、小4サピックス3月組分けテストの物語文を題材に、記述問題で部分点を取る方法を紹介します。

 

出典:

みとみとみ『せなちゃんのえくぼ』


 

小4サピックス3月組分けテスト

 記述問題でも、初手は記号選択問題と同じです。次の手順を踏みます。 

 

① 設問文を読み、問われている内容を確認する。

➁ 傍線部に戻る。

➂ 傍線部周辺から、問われている内容に最も関係のありそうなところを探す。

④ ③で見つけた内容を、言い換える。

 

① 設問文を読み、問われている内容を確認する。

 

 意外に忘れがちなのがこの手順です。何を問われているか分からなければ、書きようがありません。

 

(1) ゆうかはどのような気持ちになっているでしょうか。

(2) その気持ちを感じた理由もふくめて説明しなさい。

 

(1)から、ゆうかの心情、(2)から、ゆうかが(1)の心情を抱いた理由が問われていることが分かります。

 

➁ 傍線部に戻る。

 

 傍線部⑤の問題であることから、必ず傍線部⑤に戻ります。これは、頭を使わなくてもできる作業なのですが、国語を苦手とする多くの生徒がやっていません。また、まったく関係のない傍線を見てしまう事例も多々あります。

 

 問われているのは、「ゆうか」の気持ちであり、本文では「あたし」と表記されています。本文は「あたし」視点で描かれており、「あたし=ゆうか」という対応関係が見えていないと、解くのはかなり苦しかったと言えます。これは、「視点人物の把握」という、物語文においては真っ先に教わるべき内容なのですが、意外にできていない子が多い印象を受けます。気になる方は、以下の記事も参考にしてください。

 

 

 ここで、傍線を分割すると、ヒントが見えやすくなります。

(1) あきちゃん

(2) あたしと同じ気持ちだった

 

」「同じ」という表記から、「あたし=ゆうか」の気持ちと、「あきちゃん」の気持ちが同じであることが分かります。したがって、「あたし=ゆうか」の気持ちだけでなく、あきちゃんの気持ちもヒントになるということが分かります。

 

➂ 傍線部周辺から、問われている内容に最も関係のありそうなところを探す。

 

 一番大事なのは、傍線の直前・直後です。直前を見ると、「あきちゃん……」とあり、これは、「あたし=ゆうか」のセリフです。その一行前の、「ゆうかちゃんだけじゃないよ。あたしだっておんなじだから」があきちゃんのセリフです。

 

 このセリフは、その二行前の「あのとき、男子に『やめなよ』っていいたかったけど、いえなかった……」という、「あたし=ゆうか」のセリフに答えて、あきちゃんが言ったものです。これらのセリフにこめられた「あたし=ゆうか」の気持ちと、あきちゃんの気持ちが同じということです。

 

ここで、解答に使える本文の対応個所が確定しましたね。

 

あのとき、男子に『やめなよ』っていいたかったけど、いえなかった……

 

④ ③で見つけた内容を、言い換える。

 

 ここまでくれば、もう一息です。問われていることを思い出しましょう。

 

(1) ゆうかはどのような気持ちになっているでしょうか。(心情

(2) その気持ちを感じた理由もふくめて説明しなさい。(理由

 

 ここで難しいのが、「いえなかった……」と、心情がはっきりとは書かれていないことです。「後悔」が出てくればいいのですが、これは、心情語のバリエーションを増やす訓練を積んでいない小4の段階では、出てきづらいワードです。しかし、「いえなかったのを良くなかったと思っている」などであれば、書ける可能性が高いです。心情語は後からいくらでも増やせるので、まずは、+なのか-なのか、心情のおおまかな方向性を見極めることが重要です。

 

 ここまでの作業により、次の【答案】が完成します。問われている心情及び理由のいずれも書かれているので、15点中6点は確実に入ります。平均点は4.2点なので、これでも十分に平均を上回ることができます。

 

【答案】

 あのとき、男子に「やめなよ」といいたかったが、いえなかったのを、良くなかったと思っている。(45字)

 

 もちろん、この答案には、良くないところがたくさんあります。

 

① 「あのとき」って、いったい何?(指示語を言い換えられていない)

➁ 「やめなよ」という本文のセリフがそのまま用いられている(セリフは言い換えて用いるべき)

➂ 何をやめさせたいかが書かれていない(具体化が足りない)

④ いいたかったのに言えなかった理由が書かれていない(具体化が足りない)

 

 しかし、これらはあくまでも加点要素です。いずれも、傍線から比較的離れたところに書かれており、これらの情報を探すのは、最低限書くべきことを見つけた後にすべきです。

 

 成績上位層ほど、一気にすべての情報を見つけようとして、肝心な内容が答案から欠落してしまうことが多いです。 

 

いかがでしたか?

 

 記述問題ではありましたが、

 

本文のどこを使うかを見つける作業に

労力のほとんどを費やしている

 

 ことがお分かりいただけたのではないでしょうか。記述問題を解くうえでも、まずは、本文を理解できていることが大前提となります。

 

 最低限用いるべき場所を明確に特定できていたか、お子様と振り返っていただくことをお勧めします。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございます。

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