5月度マンスリー確認テスト(2024年5月7日又は8日実施)
5月度マンスリー確認テスト(2024年5月7日又は8日実施)について取り上げます。平均点は74.0点(得点率49.3%)と、3月度の組分けテストの平均点である89.2点(得点率59.5%)と比べると、大きく下落しています。
様々な要因が考えられますが、特に、説明文(大問3)の難易度が非常に高くなっていました。次の3つの観点から、復習する際に気を付けるべき点に触れたいと思います。
① 初読時に重要ポイントを見落としやすい。
➁ 選択肢を先に読む子が失点しやすい。
➂ 記述問題の根拠が、ページをまたいだ先にある。
出典:田中修『植物のかしこい生き方』
① 初読時に重要ポイントを見落としやすい。
読解問題の得点力の大半は、初読の精度にかかっています。初読段階でつまずくと、設問を解く際に巻き返すことが難しいです。以下では、初読の際に見ておきたいポイントを取り上げます。
黒字部分には線を引き、赤字部分には〇をつけておくことで、内容を理解しやすくなるとともに、様々な問題に対応しやすくなります。また、青字部分は、読み進める中で、自然と自問自答できるようになるとうれしいです。
話題:植物の「発芽の三条件」
① 一つ目…「水」があることです。
➁ 二つ目…「空気(酸素)」があることです。
➂ 三つ目…「適切な温度」です。
▽しかし、
これらの「発芽の三条件」がそろえば、タネが殻を破って発芽に踏み出すかというと、実はそうではありません。
←どうして?
なぜなら、タネが春に発芽するためには、「耐えて努力する」苦難が必要だからです。
ここで、
「耐えて努力する」苦難ってどういうこと?
と考えられたかどうかが、一つ、重要なポイントと言えます。主語は、「タネ」です。タネが「耐えて努力する」というのは、一般的な表現ではないことから、後で言い換えられる可能性が非常に高いです。
私たち人間が「芽を出す」ためには、苦難の時期があるのと同じように、植物たちも、「春に芽を出す」ためには苦難の時期を過ごすことが必要です。
ここで、
人間と植物が重ね合わされている
と気づけた子は、相当優秀な子です。ただ、ここで気づけなくても、問七で再度考えるチャンスが与えられます。
タネは、寒い冬が通過したことを確認したことを確認した後でなければ、発芽しないのです。
タネは冬の寒さを感じたあと、発芽します。寒さを感受することで冬の通過を体感し、発芽の準備をしているのです。
←どんな準備?
植物たちは芽を出したあと、きちんとその芽を成長させることができるかどうかをみきわめているのです。
=
冬のきびしい寒さを体感することで、春に発芽できるように、その準備を進めているのです。
=
寒さに耐えつつ、暖かくなったら発芽する、はじめての新しい世界へ出る、その準備をあせらず進めているのです。
ここまで読めば、
「耐えて努力する」苦難ってどういうこと?
の答えが出ます。
冬の寒さに耐えつつ、暖かくなったら発芽する、はじめての新しい世界へ出る、その準備をあせらず進めること。
だと分かります。
タネが芽を出すための三つの条件の他にも、大切な条件があります。光です。
話題:私たち人間はどうでしょうか。
主張:暗闇を抜け出すことを急ぐの▽ではなく、芽を出せば光が当たる確信がおてるまで、暗闇を耐える強さも、ときには必要なのかもわかりません。
先人の言葉を信じ、暗闇の中で芽を出す準備をしつつ、芽を出したあとの展開を考えておくことも大切だということです。
② 選択肢を先に読む子が失点しやすい。
①で取り上げたように初読ができるのが理想ですが、小4段階で、ここまで初読で情報を完璧に取得するのはほぼ不可能です。だからこそ、設問文に入ってからの粘りが重要となります。ここで一つ、大きな落とし穴があります。設問文を読んだ後、真っ先にするべきは、本文の傍線部に戻ることです。それをせずに、いきなり選択肢を読んでしまうと、せっかくの初読が台なしになってしまいます。なぜなら、選択肢のうちの3つは誤りの内容で、せっかく読み取った本文の正しい内容が、上書きされてしまうからです。いくつかの設問を例に説明します。
問二
アを見ると、「耐える」が出てきます。サピックスに通うレベルのお子様であれば、本文に「耐える」があったことはすぐに思い出すことができます。アを見たうえで、傍線の直後を見ると、
なぜなら、タネが春に発芽するためには、「耐えて努力する」苦難が必要だからです。
が見つかります。これだけで、アが正解に見えてしまいます。しかし、選択肢の文言をよく見ると、「土の中できびしい環境に耐える」とあります。初読の際に、「耐えて努力する」のは、「冬の寒さに耐えつつ、暖かくなったら発芽する、はじめての新しい世界へ出る、その準備をあせらず進めること」だと読み取れていれば、ただ耐えているだけで外で生きる力をつけられると言っているアは誤りだと分かります。
こうやって、アが正解だと決めつけてしまうと、とたんに他の選択肢を検討することもできなくなります。誤りのアに引っ張られてしまうのです。
ただ、正解肢のエに「光」が入っているのが、設問文の「ここでの理由」という設問文の条件に合致しないという指摘も可能です。「光」を入れるのであれば、「ここでの理由」と書かず、単に「理由」と書くか、設問文に「本文全体をふまえて」を入れるべきだったでしょう。もちろん、発芽に「光」も必要ですが、それを問うのであれば、「ここでの理由」とあえて限定する必要はなかったかもしれません。
問四
いきなりアが正解肢です。しかし、本文には「ふさわしい」という表現はありません。単純に本文との文言比較をして答えだしをする手法では、アが正解とは思えません。だからこそ、傍線部にいったん戻る必要があります。
「発芽の準備」とはどのようなことかが問われているので、本文の「準備」に相当する箇所を探します。すると、
植物たちは芽を出したあと、きちんとその芽を成長させることができるかどうかをみきわめているのです。
=
冬のきびしい寒さを体感することで、春に発芽できるように、その準備を進めているのです。
=
寒さに耐えつつ、暖かくなったら発芽する、はじめての新しい世界へ出る、その準備をあせらず進めているのです。
が見つかります。これらのうち、
アの1:芽を出したあとも成長できるよう
=
「植物たちは芽を出したあと、きちんとその芽を成長させることができるかどうか」
アの2:発芽にふさわしい時期を
=
「春」、「暖かくなったら」
アの3:待つこと
=
「みきわめている」「あせらず進めている」
と対応します。
誤りのイウエの内容は、選択肢に用いられている文言がいずれも本文中にあり、単純に本文との文言比較をして答えだしをする手法で解いている子は、まんまと引っかかってしまいます。
このように、選択肢を先に読まず、本文を適切に振り返ることで、正解にたどりつく確率を上げることができます。逆に、選択肢を先に読んでしまうと、せっかくの初読が台なしになってしまいます。
➂ 記述問題の根拠が、ページをまたいだ先にある。
傍線の直後を見ると、「発芽しなかったのです」とあります。しかし、問われているのは、「発芽する」理由です。「発芽しなかったのです」でページが終わっていますが、「発芽する」理由を見つけるには、次のページを読み進める必要があります。すると、
「発芽してくるのです」が見つかります。「発芽してくるのです」を含む一文の中に、解答に用いる箇所があります。
さらに、その一文に、「そこで」があるので、その前も理由となります。
最後の加点要素として、傍線よりも前に、「発芽後の成長に好適な条件」があり、ここまで含められると満点になります。
最後の加点要素以外は、ほぼ抜き出しで対応可能なのですが、解答の要素がページをまたいだ先にあることが、小4段階では、なかなか見極められません。
いかがでしたか?
小学校4年生の5月段階で取り組むには、いくつもの関門がある問題でした。特に、点数に響くところとしては、
そもそも正しい順序で取り組めているか
が挙げられます。特に、設問文を読んだ後、本文に戻る前に先に選択肢を読んでしまっていないか、お子様といっしょに振り返ってみることを、強くお勧めします。
最後までお読みくださって、ありがとうございます。
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