書家 清水恵エッセイ『 ときどき書心 』 vol.31 | インテリア書道の専門店 & ギャラリー キャレモジ

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3月の終わりに彫刻家の舟越桂さんが亡くな

りましたね。72歳でした。

舟越さんというと、天童荒太さんの小説『永

遠の仔』の装丁に彼の彫刻の写真が使われた

ことでよく知られますが、私は函館のトラピ

スト修道院の彼の聖母子像が大好きで忘れら

れません。2メートルほどもあるその彫刻は、

祭壇の白壁に掛けられていて、マリア様がま

るで天から降臨されたように思えて、その清

らかさに魅了されました。

同じ1950年代生まれの芸術家に、奈良美智

さんも。いずれも東北人、舟越さんは岩手、

奈良さんは青森。やっぱり雪深い土地が純粋

で一途な気質を育むものなのでしょうか?

最近、原田マハさんが『板上に咲く』という

小説で棟方志功を書いていましたけど、志功

も青森出身でした。

黒白の版画世界での彼の一途さ、東北人なら

ではの強靱な精神力が「黒と白は色彩ではな

い」というヨーロッパにおける固定観念を覆

した功績。同じ黒白の「書」を手がける者と

して、それを讃えたい思いで読破しました