3月の終わりに彫刻家の舟越桂さんが亡くな
りましたね。72歳でした。
舟越さんというと、天童荒太さんの小説『永
遠の仔』の装丁に彼の彫刻の写真が使われた
ことでよく知られますが、私は函館のトラピ
スト修道院の彼の聖母子像が大好きで忘れら
れません。2メートルほどもあるその彫刻は、
祭壇の白壁に掛けられていて、マリア様がま
るで天から降臨されたように思えて、その清
らかさに魅了されました。
同じ1950年代生まれの芸術家に、奈良美智
さんも。いずれも東北人、舟越さんは岩手、
奈良さんは青森。やっぱり雪深い土地が純粋
で一途な気質を育むものなのでしょうか?
最近、原田マハさんが『板上に咲く』という
小説で棟方志功を書いていましたけど、志功
も青森出身でした。
黒白の版画世界での彼の一途さ、東北人なら
ではの強靱な精神力が「黒と白は色彩ではな
い」というヨーロッパにおける固定観念を覆
した功績。同じ黒白の「書」を手がける者と
して、それを讃えたい思いで読破しました