みんなが頑張っているみたい。



一日に3回も電話をかけてきたよっぴーは、
声がカラカラにかすれていた。

「前田さん元気ないんじゃないですか?」と
いつもと立場が逆転した会話である。

「うん、でもよっぴーのために頑張るよ」と言ったら
真面目にお礼を言っていた。



かたや侍マンは、やはりこんな時でも飄々としていて
何てことない風だったけど、それが振る舞いであることは
電話の感じでわかる。

飲み会の誘いを断らないし、何より電話を切ろうとしない。

あの店にも近々顔を出しに行こう。




大好きな仲間たちと戦い助け合い、称え合う。
それが私には一番の報酬だと言ったらまた
子供だと言われるだろうか。


時にクスクス笑いながら隣同士の兄やんと私が、
残業そっちのけでヒソヒソ話をしていたその内容とは
他でもない、半沢次長への配役である。

半沢は、今(兄やんと私にとっての)をときめく作家、
池井戸潤が描く小説のヒーローである。


ふたりして読んだ『ロスジェネの逆襲』。
半沢さんにどうしても会いたくなった私たちは、
この作品の映画化を仮定して、配役を考えているのである。

う~んう~んと唸りながら俳優を検索してはまた唸り、
実写版の半沢発掘に大真面目に取り組む姿は
誰が見ても仕事をサボっているようには見えないだろう。


結局、脇役がどんどん固まっていくなかで、
当の主役・半沢だけが決まらずお開き(笑)となった。
いまのところ第一候補は佐藤浩市なんだけど、
どうもしっくりきていない様子。



ついでに兄やんと私も出演することになっており、
裏切り者の三木が飛ばされた総務グループで
コピーを押し付ける役とのこと。




これを読まずに死ねるか。
買収の話も専門的すぎず、わかりやすい。
経営書のM&Aの棚にでも置いてやろうかと
画策しているところである。

池井戸潤、出会えて良かったと、兄やんも言っていた。