2011年2月9日(水)の日経夕刊の記事、切り抜きしていたのを発見。

 

 

カズオ・イシグロ氏は自らの小説「私を離さないで」の映画化に製作者の一人として参加して脚本からすべての

過程にかかわったのだそう。

 

そうか、だからこの映画はとても成功していたのか、納得しました。

 

「・・・主人公は普通の人よりずっと早く一生を終えるように運命づけられている。

短い生涯のあいだに、友情をはぐくみ、人を愛し、過ちを償うといったあらゆる人生の体験をしなくてはならない。そのために彼らの生は凝縮され、人生とって大切なことを力強く訴えるものがたりになっている。」

 

どうして主人公は自分たちの置かれた境遇から逃げようとしないのか。

 

「ほとんどの人はある状況に生まれた足り、その限られた世界の価値観の中で、ベストを尽くし、自分の生きる意味を見出し、尊厳やほこりをもって生きようとする。(略)それが犯罪的行為であってもだ。誇りこそが、人間が犬や猫やほかの動物と違うことを証明する大切なものであり、私は非常に興味をひかれる」

 

日本的な感性を感じる

 

「私の世界観は日本映画に大きな影響を受けている。11歳のとき、「東京物語」を見て以来、小津映画にのめりこみ、

成瀬巳喜男、五所平之助の映画もみた。

運命を受け入れて生きる、というコンセプトは、彼らの庶民劇によく登場する。日本人の両親に育てられたことが関係にして、私にはとても受け入れやすい物語だった。

 

同時に、欧州の人々にとっても身近なテーマだ。欧州は過去100年に様々な戦争を経験し、半分の地域は共産主義の独裁を経験した。今もの厳しい階級制が残っている。悲劇的な運命であれ、それを受け入れ、命令に従い、ベストを尽くそうとする人間の心を理解する素地がある。

 

 

 

https://books.rakuten.co.jp/rb/5828668/