2014年7月24日WSJニュース:武装勢力に破壊されるイラクの文化遺産 預言者ヨナの墓も
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304067104580054123526620714

イラク北部の都市モスルにある廟(びょう)「ナビ・ユヌス・モスク」が破壊された。ここにはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の預言者ヨナが埋葬されていると言われる(イスラム教ではヨナはユヌスと呼ばれる)。

<参考>モースルの場所に関してはwiki の地図と解説がわかりやすいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AB


ヨナについては旧約聖書の「ヨナ書」のヨナであるというので、さっそく読んでみた。

ヨナ書の舞台は、チグリス川沿いの町二ネベ。ヨナの墓があるモスルの町は川を挟んだの対岸にあります。

<参考>この地図を頭に入れた上で読むのがすごくわかりやすい。
お魚に飲まれたヨナ
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/3902/jonah.html


ヨナについて一番有名なのは、「大きな魚に飲み込まれた」というエピソードだという。ピノキオみたいと思ったら、ピノキオはヨナ書をモチーフにしている説はあるそうですね。




このヨナ書、読んでびっくりでした。なんと私が持っている聖書でたった3ページしかないとても短い話なのです。ほんと、すぐ読めます。ネットでも読めるので探してみてください。

大まかなお話の流れは
①神様が堕落した二ネべの町を滅ぼすと決めて、ヨナに「二ネべの人たちに伝えるように」命じる
②ヨナ「いやだ」と逃げる
③ヨナ、逃げて逃げてヤッファから逃亡のため船に乗る
④船、嵐にあって転覆しそうになる
⑤ヨナ、神様の命から逃げた自分のせいと気づき海に身を投げる




⑥ヨナ、大きな魚に飲み込まれて助かる⇒神様による奇跡なのでヨナ改心する
⑦ヨナ、二ネベに行って町の人に神様からのことづてを伝える
⑧町の人、驚くべき素直さで改心する




⑨神様、その様子を見てニネベを滅ぼすのをやめる
⑩ヨナ、神様に猛烈に怒る。

ところがヨナはこれを非常に不快として、激しく怒り、 主に祈って言った。
「主よ、わたしがなお国におりました時、この事を申したではありませんか。それでこそわたしは、急いでタルシシにのがれようとしたのです。なぜなら、わたしはあなたが恵み深い神、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かで、災を思いかえされることを、知っていたからです。主よ、どうぞ今わたしの命をとってください。わたしにとっては、生きるよりも死ぬ方がましだからです」。

主は言われた、「あなたの怒るのは、よいことであろうか」。

ふてくされたヨナは、ニネベの町から少し離れた場所に小屋を建てて町を様子見することにする。

⑪神様、ヨナの家の周りをトウゴマの木でかこみ葉っぱで日差しをよけてあげる
⑫ヨナ涼しくて喜ぶ
⑬神様、翌日トウゴマの木を枯らす
⑭ヨナ、神様にからかわれていると感じたのか、訴える。

「わたしは怒りのあまり狂い死にそうです」。

⑮それに対し神様は

主は言われた、「あなたは労せず、育てず、一夜に生じて、一夜に滅びたこのとうごまをさえ、惜しんでいる。ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、あまたの家畜とのいるこの大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか」


おしまい

という話です。

私が驚いたのは、ヨナが神様から逃げまくっていること。
神様からのご指名にいやいやしたがって、ふてくされていること。
気まぐれな神様にふりまわされることにうんざりしたり、
神様に対して、腹をたてて「怒りにで狂いそうです」と感情をむき出しにしていること。そんなヨナさんが目の前にいるようにリアルに感じられたからです。

⑮で神様から最後に言われて、ヨナがどう思ったのか、その後どうしたのか、は聖書には一切書かれていません。

え、これでこの話おしまい?というくらいあっさり、突然終了です。

ヨナ書は神学では「これと決めたら必ず実行する神」が、「方針を変えることがある」ということを示す話として位置づけられているそうです。

ただ、私は、この神様とヨナのやりとりって、結構神様のいたずら心というか、優しさを示していて、かつハッピーエンドであるがゆえに、ユーモアあふれる話としてとても好きになりました。

この神様は、旧約聖書で出てくる絶対的な感じとはちょっと違う気がしたのです。

細かいところ省きましたが、ヨナは逃げるためにのった船がシケで大揺れしているのに、知らん顔で寝ていて、「お前いい加減にしろ」と周りの人たちにたたき起こされたり、神様から逃げ出した割には結構なノー天気ぶりを発揮しています。

神様の言うとおり、二ネヴぇの人たちに伝言したあとは、自分だけ助かろうと、でもどうなるか様子を見届けようと、ニネヴェが見える町に住みます。自分だけ助かろうとしてるんだろうか、要領のいいやつです(笑)。

そういうヨナに神様は突っ込んでいるようなお話にも読める気がしました。

客観的にヨナをみると、ヨナは神様からの言葉を二ネべの人々に告げたおかげで
12万の人々を救ったので、ものすごい素晴らしい仕事をしましたし、ヨナはみんなから感謝されて、かつみんなが救われて、ヨナはそのことを喜び、神様は人々を救ってくれるのだ、とその御業をたたえ感謝しておしまい、というハッピーエンドだと思うのですが。

ヨナは、大役をまかされたプレッシャーとか、町を滅ぼすなんてことを伝えたら自分がおかしなやつだと思われて自分の身も危ないとか思ってトンヅラ。

神様は、そうはさせないと、嵐を起こしてヨナを船からおろし、命を助けてなんとしてもヨナにいうことを聞かせようとする。シケの海に投げ出されたのに助かったヨナは「その時は」←ココ重要。改心する。

ヨナはニネヴェにいき、町の人たちに神の言葉を伝える。みんな思いのほか素直に聞き入れてくれてよかったが、神様のいうことは絶対だから、二ネべは滅びるのだろう、

でも、神様は二ネべを滅ぼさなかった。

ヨナ「は?どして?自分がうそつきよばわりじゃん!」

と思ったに違いない。

ある日、神様は厳しい日差しをさえぎるものがない場所に一人住むヨナを守ってあげようと植物でかこみ日陰をつくってあげる

ヨナ、単純すぎるくらい喜ぶ。「そっか、やっぱりいいことすると、神様わかってくれる」

神様、次の日にそれを枯らす。ヨナ、ぶちぎれ。

ヨナ「な、な、ななんなのーーーー!」


でも、そもそもヨナは一度死んだ命を神様に助けられている。その時の改心はどこへ行ったのだろう。

人間っていいことがあると、その時は喜んで感謝するけど、少し経つとすぐ忘れて
また目の前のことに一喜一憂しますよねえ。

そういう現金なところ、すごくよく出ていると思います。
そういうヨナに神様が言った言葉が、ヨナ書のラストです。⑮のところです。

旧約聖書にはめずらしい神様の優しさ、包容力を感じましたし、

ヨナほどの預言者すら、神様の言葉になかなか素直に従えなかったという、とても人間的なエピソードだと思い、とても興味深く読みました。



【送料無料】 あなたの怒りは正しいか ヨナ書講解説教 / 久野牧 【単行本】

¥1,728
楽天

あなたの怒りは正しいか ヨナ書講解説教 / 久野牧 【単行本】

¥1,728
楽天

【中古】信徒の友 2004.1 ヨナ書の世界 日本キリスト教団出版局

¥400
楽天

【送料無料】 オバデヤ書、ヨナ書、ミカ書 ティンデル聖書注解 / デイヴィッド・W・ベーカー ...

¥3,240
楽天