今年は日本映画がノミネートされていたこともあって、久しぶりにWOWOWに加入してアカデミー賞授賞式の生中継を見ていた。5時間半の長丁場だけど、今年は作品賞にノミネートされている10本中9本は既に日本でも公開済みということもあり、より身近に感じられて飽きずに最後まで見ることが出来まし。一応、録画もしておいたので、それを見ながらあらためて授賞式の流れを振り返ってみたいと思います。
スクリーン以外ではほとんど見る機会のないスター達の姿が見られるのはやはり楽しく、レッドカーペットでは、豪華な衣装に身を包んだニコール・キッドマン、ジェシカ・チャスティン、コディ・スミット=マクフィー、キアラン・ハインズ、エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、『ドライブ・マイ・カー』チーム、ビリー・アイリッシュ、クリステン・スチュワート、ウィル・スミス、マディー・ジーグラー、ペネロペ・クルス、デンゼル・ワシントンらのインタビューもありました。
授賞式が始まるといきなりビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹が大きく胸の開いたドレスで登場し、『ドリームプラン』の挿入歌『ビー・アライヴ』で歌曲賞にノミネートされているビヨンセの紹介。でも、ビヨンセは生では出演せず、ウィリアムズ姉妹の故郷のテニスコートで撮影されたミュージックビデオでの出演という趣向でした。
続いて今年から復活した司会を務める、エイミー・シューマー、レジーナ・ホール、ワンダ・サイクスという3人の女優、コメディエンヌたちが登場。女性3人を司会に使うのは、男性1人よりもギャラが安いからだなど、皮肉たっぷりのジョークで会場を盛り上げます。
そして、本日プレゼンターやパフォーマーなどを務める出演者たちが写真で紹介された後、エイミー・シューマーが1人で再登場し、あらためてその毒舌ぶりを披露。会場は笑いの渦で包まれました。
賞の発表は助演女優賞からで、プレゼンターは昨年助演男優賞を受賞したダニエル・カルーヤと、歌曲賞を受賞したH.E.R.の2人。ちなみに、この受賞作『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』は、日本では劇場未公開でしたね。助演女優賞にノミネートされたのは、ジェシー・バックリー(ロスト・ドーター)、アリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)、ジュディ・デンチ(ベルファスト)、キルステン・ダンスト(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、アーンジャニュー・エリス(ドリームプラン)の5人。受賞者は大方の予想通りアリアナ・デボーズで、60年前にオスカーを受賞したリタ・モレノと同じアニータ役での初ノミネート初受賞。「アニータがアメリカにいたい理由が分かった。嫌なことが多い世の中でも夢は叶うからですね。」で始まるスピーチは、なかなか感動的でした。
次は、司会のレジーナ・ホールが登場。彼女は独身で、男を物色するように、COVIDの再検査をするからと言って、独身のブラッドリー・クーパー、ティモシー・シャラメ、タイラー・ペリー、シム・リウをステージに呼びつけるパフォーマンス。続いてプレゼンターのジェイソン・モモアとジョシュ・ブローリンを紹介し、彼らにもCOVID検査をするからと言って、下半身のボディチェックを入念に行い、会場を湧かせていました。
プレゼンターの2人が紹介するのは音響賞だったけど、この受賞は既に事前収録されていて実際にオスカー像を手渡すことはなく、『ベルファスト』『DUNE/デューン 砂の惑星』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ウエスト・サイド・ストーリー』の中から、『DUNE/デューン 砂の惑星』の5人が受賞。マーク・マンジーニは『マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)』に続く2度目、ダグ・ヘムフィルも『ラスト・オブ・モヒカン(1992)』に続く2度目の受賞で、他のマック・ルース、テオ・グリーン、ロン・バートレットは初受賞でした。
続いて『ハード・プレイ』の30周年を記念し、出演者のウディ・ハレルソン、ウェズリー・スナイプス、ロージー・ペレスの3人がプレゼンターとして登場すると、会場はスタンディング・オベーションで迎える盛り上がり。私は未見の作品だけど、アメリカではよっぽど人気があったのかも知れませんね。発表は撮影賞で、『DUNE/デューン 砂の惑星』『ナイトメア・アリー』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『マクベス』『ウエスト・サイド・ストーリー』の中から、『DUNE/デューン 砂の惑星』のグレイグ・フレイザーが2度目のノミネートで初受賞となりました。
次は事前収録されていた短編ドキュメンタリー賞で、『オーディブル:鼓動を響かせて』『私の帰る場所』『The Queen of Basketball(原題)』『ベナジルに捧げる3つの歌』『When We Were Bullies』の中から『The Queen of Basketball(原題)』が受賞。ベン・プラウドフットは昨年に続く2度目のノミネートで初受賞となりました。
続いてプレゼンターとして、レイチェル・ゼグラー、ジェイコブ・エローディが登場し視覚効果賞の発表。『DUNE/デューン 砂の惑星』『フリー・ガイ』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『シャンチー/テン・リングスの伝説』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の中から『DUNE/デューン 砂の惑星』の4人が受賞。ポール・ランバートは『ブレードランナー2049(2017)』『ファースト・マン(2018)』に続く3度目の受賞、トリスタン・マイルズは『ファースト・マン(2018)』に続く2度目、ゲルト・ネフツァーは『ブレードランナー2049(2017)』に続く2度目、ブライアン・コナーは初受賞となりました。
続いてはスケートボーダーのトニー・ホーク、ショーン・ホワイトとサーファーのケリー・スレイターが登場し、ジェームズ・ボンド映画60周年を紹介。ウイングスの『007/死ぬのは奴らだ』の音楽に乗せて、60年間の007シリーズのダイジェストシーンを細かく繋ぎ合わせて編集した映像が流されたのは懐かしかったですね。
次はステファニー・ベアトリスが登場し、歌曲賞にノミネートされている『2匹のオルギータス(ミラベルと魔法だらけの家)』を紹介。セバスチャン・ヤトラの歌と、それに合わせて踊るコロンビアンな男女のダンスパフォーマンスも披露されました。
引き続き、シンデレラを演じたことのあるリリー・ジェームズ、『アラジン』でジャスミンを演じたことのあるナオミ・スコット、そして今度『リトル・マーメイド』でアリエルを演じるハリー・ベイリーの3人が登場し、長編アニメ映画賞の発表。『ミラベルと魔法だらけの家』『FLEE フリー』『あの夏のルカ』『ミッチェル家とマシンの反乱』『ラーヤと龍の王国』の中から『ミラベルと魔法だらけの家』の4人が筋書き通り受賞しました。ジャレド・ブッシュとイヴェット・メリノは初ノミネート初受賞、バイロン・ハワードとクラーク・スペンサーは『ズートピア(2016)』に続く2度目の受賞でした。
続いて今年から始まった企画で、世界中の映画ファンからの投票で選ばれた拍手喝采の名シーンの発表。第5位は『マトリックス』より、キアヌ・リーブス演ずるネオが体を後ろに曲げて弾丸を避けるシーン。第4位は『ドリームガールズ』より、ジェニファー・ハドソン演ずるエフィ・ホワイトが"I'm Telling You"を歌っているシーン。第3位は『アベンジャーズ/エンドゲーム』より、アベンジャーズが終結し、ジョシュ・ブローリン演ずるサノスと戦うシーン。第2位は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』より、3人のスパイダーマンがチームを組むシーン。そして第1位には『ジャスティス・リーグ』より、エズラ・ミラー演ずるフラッシュがスピードフォースに入るシーンが選ばれました。個人的には、この中ではスパイダーマンが一番良かったかな。
次は、事前収録されていた短編アニメ映画賞の発表で、『Affairs of the Art(原題)』『Bestia(原題)』『ボクシングバレー』『ことりのロビン』『The Windshield Wiper(原題)』の中から『The Windshield Wiper(原題)』が受賞。アルベルト・ミエルゴとレオ・サンチェスは初ノミネート初受賞でした。
続いて、司会のワンダ・サイクスが登場し、昨年オープンしたアカデミー映画博物館を訪問した時の様子を紹介して笑いを取った後、昨年助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンが登場して助演男優賞の発表。彼女は、昨年自分の名前が正しく発音されなかったことにクレームをつけたのを反省し、今年は自分が発表する羽目になって、やはり発音を間違えるかも知れないのでお許し下さいというユーモラスな挨拶でした。助演男優賞は、キアラン・ハインズ(ベルファスト)、トロイ・コッツァー(コーダ あいのうた)、ジェシー・プレモンス(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、J・K・シモンズ(愛すべき夫妻の秘密)、コディ・スミット=マクフィー(パワー・オブ・ザ・ドッグ)の中からトロイ・コッツァーが受賞。男性の聾唖者としては史上初のオスカー受賞ということになり、手話での受賞スピーチでした。ちなみに、女性では今回夫婦役を演じたマーリー・マトリンが1986年の『愛は静けさの中に』で主演女優賞を受賞していますね。
次はプレゼンターとして、シム・リウとティファニー・ハディッシュが登場し、いよいよ国際長編映画賞の発表。『ドライブ・マイ・カー(日本)』『FLEE フリー(デンマーク)』『Hand of Godー神の手が触れた日ー(イタリア)』『ブータン 山の教室(ブータン)』『わたしは最悪。(ノルウェー)』の中から『ドライブ・マイ・カー』が順当に受賞しました。日本映画としては『羅生門(1951)』『地獄門(1954)』『宮本武蔵(1955)』『おくりびと(2008)』に続く5度目の受賞ということになりますね。私は、個人的には『ドライブ・マイ・カー』はそんなに高く評価してないんだけど、ノミネートされた他の作品では、『ブータン』は見たけど大したことがなかったし、『フリー』はアニメだし、『わたしは最悪。』は実績のないノルウェー映画ということで、他にこれと言った作品がなかったのかも知れませんね。濱口監督は、時折日本語を交えながらも英語でのスピーチで、一応通訳の人も待機していたようだけど、その必要はなかったようです。
続いてウクライナ出身のミラ・クニスが登場し、歌曲賞にノミネートされている『Somehow You Do(Four Good Days(原題))』の紹介。リーバ・マッキンタイアのパフォーマンスの後、ウクライナに祈りを捧げて支援をお願いするメッセージタイトルが出ました。
次は、事前収録されていた短編実写映画賞の発表で、『Ala kachuu - Take and Run(原題)』『The Dress(原題)』『The Long Goodbye(原題)』『On My Mind(原題)』『Please Hold(原題)』の中から『The Long Goodbye(原題)』が受賞。
続いてルピタ・ニョンゴ、ルース・E・カーターが登場し衣装デザイン賞の発表。『クルエラ』『シラノ』『DUNE/デューン 砂の惑星』『ナイトメア・アリー』『ウエスト・サイド・ストーリー』の中から、『クルエラ』のジェニー・ビーヴァンが『眺めのいい部屋(1986)』『マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)』に続いて3度目の受賞ということになりました。
続いて『ミラベルと魔法だらけの家』でブルーノの声を担当しているジョン・レグイザモが登場し、挿入歌『秘密のブルーノ』の特別パフォーマンスの紹介。この曲はアカデミー賞にはノミネートされなかったけど、全米ナンバーワンの大ヒットを記録した歌ですね。本来はカロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティーリョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリスらの声優メンバーがアンサンブルで歌っているんだけど、今宵は歌手のベッキー・G、ルイス・フォンシ、ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンを加えての特別パフォーマンス。オープニングのエイミー・シューマーのジョークを受けて、ギャラは平等になどという替え歌の歌詞なども交えて、まさに圧巻のステージでした。なお、この曲がライブ演奏されるのはこれが初めてということでしたね。
まだ途中だけど、長くなり過ぎて字数制限に引っ掛かるようなので、次に続きます。