正月早々、ショッキングなニュースが飛び込んできましたね。これまで数々の秀作を上映してきた岩波ホールが、54年の歴史に幕を下ろし7月29日で閉館するというニュース。最近、改装したばかりだったというのに、これは日本の映画文化におけるあまりにも大きな損失で、ひとえに補償なき自粛要請を繰り返して映画館の経営を苦しめてきた政府の責任であることは明らかでしょう。


私が岩波ホールで初めて観た映画はテオ・アンゲロプロス監督の『旅芸人の記録』だったかな。当時、私は21才ぐらいで、評論家たちが絶賛していたので観に行って来たんだけど、4時間近い長尺でかなり退屈だったし、お尻ばかりが痛くなってきて、どこが良いのかちっとも分からなかった。それが悔しくて、後日もう一度観に行ったものでしたね。(^^;


他では『大理石の男』『ルートヴィヒ』『アレクサンダー大王』『ダントン』『ゲームの規則』などを岩波ホールで観た覚えがあるかな。まあ、岩波ホールは、私の住んでいた場所からは少し遠くて通いづらかったので、作品が二番館に下りてきてから観ることも多かったかも知れません。


仙台に帰ってきてからは、もちろん岩波ホールには行かなくなったんだけど、このブログで★8つ以上の高評価がついている『約束の旅路』『シリアの花嫁』『ポー川のひかり』『抵抗 死刑囚の手記より』『パリ20区、僕たちのクラス』『セラフィーヌの庭』『冬の小鳥』『おじいさんと草原の小学校』『汽車はふたたび故郷へ』『オレンジと太陽』『ハンナ・アーレント』『夏をゆく人々』『秋のソナタ』『ジプシーのとき』『とうもろこしの島』『山猫』『家族の肖像』『花咲くころ』『ペトルーニャに祝福を』などはすべて岩波ホールで上映されていたようで、今後これらのレベルの作品が日本では観られなくなるかも知れないと思うと、あまりにも残念ですね。