6月18日(土)『大好物のカキ』
Nさんの祖父は、牡蠣が大好物です。Nさんや親戚が集まると、牡蠣料理を振る舞い、上機嫌でこんな話をしてくれるのです。
それは、祖父が生まれ故郷から、都会に働きに出てきた10代後半のころの話です。
ある日、職場の先輩たちに、「カキでも食べに行こう」と誘われました。山間部で育った祖父は、当時まだ牡蠣を食べたことがありませんでした。果物の柿だと思っていると、お店で鍋料理が出てきました。「都会では果物を鍋にするのか」と驚きましたが、田舎者と思われたくなくて黙っていました。
「うまいだろう」と聞かれ、「はい。でもカキは全然人っていませんね」と言うと、察した先輩が、黙って取り皿に牡蠣をたくさん取り分けてくれました。
そのとき初めて、それが貝類の牡蠣のことだとわかったのです。
「お前たちも、知ったかぶりをしちゃいけないぞ」
祖父は笑い話として何度もこの話をしてくれますが、Nさんは別の理由でこのエピソードが大好きです。若き日の祖父の純粋さや、それを見守ってくれた先輩たちの優しさが垣間見えて、心が温かくなるからです。
【今日の言葉】優しさは人の心に刻まれます
《一言コメント》
自分の恥ずかしい失敗談を、孫に聞かせるお爺さんが、素敵だなと思いました。
皆さんの感想も聞かせてください。
※この記事は、コミニケ出版「月刊朝礼」より。ご希望の方は下記のHPで
https://www.kominike-pub.co.jp/