2月27日(日)『マンサクの花』
Yさんは春が近くなると、いつも思い出すことがあります。40年ほど前、Yさんが20代のころです。仕事帰り、雨の中を歩いている若い修行僧に声を掛けました。話すうちに意気投合し、自宅に招いたのです。
母親は、「うちのご先祖に京都のお坊さんがいるのよ」と彼を快く迎え、熱いお風呂と温かい食事でもてなしました。お礼にお経をあげてくれた僧は、次
のような話をしたのです。
「私は幼いころ施設に預けられ、15歳で今のお寺に入りました。20歳のときに住職が母の居場所を教えてくれましたが、行ってみると誰も住んでいませ
ん。借家の家主さんから、『家族で九州に引っ越すと言っていた』と聞き、母には新しい家族があることを知りました。寂しい気持ちになった私に、家主さんは、『奥さんは庭でマンサクの花を大切に育てていましたよ』と言い、ハッとしました。マンサクは私の名前なんです。母は私を思っていてくれたんだとうれしかったです。それから、こうして修行で歩いている間も、マンサクの花を植えている家に目がいってしまいます」
Yさんは、彼が母親に会えていますようにと、今でも祈っています。
【今日の言葉】母と子の絆は不滅です
《一言コメント》
母親が我が子を思う気持ちが判ったことで、この僧侶の心も救われたなと思いました。
※この記事は、コミニケ出版「月刊朝礼」より。ご希望の方は下記のHPで
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