Business Media
3月9日(月)10時10分配信
●仕事は楽しいのに,自分の成長を感じられない
ある場所で会議をしていると,その参加者の中からボヤキともとれる発言がありました。日々の成長が実感しにくくなってきたので,仕事が楽しくない気がする。いや,仕事はやりがいがあるし,面白いとは思っているのだけれども,自分自身に力がついてきているという感覚が持てないと。
その話を聞いていて,私は「ああ,キャリアの踊り場にいるということだよ」と説明しました。そう,日々の仕事が問題なくこなせるようになり,組織の中での独り立ちを経て,メンバーの中において重要な位置を占めるようになった人の多くが,似たような状態に陥ります。階段を駆け上がっている状態だったのにもかかわらず,急にフラットな場所に出て戸惑っている感じ。
「状況は理解できました。で,どうすれば次に進めますか?」
そう質問されて,私は「仕事のことに関していうと,組織が次の課題設定をするはず。あなたよりも少し年次が上の先輩を見ていると,その輪郭がおぼろげながら見えてくるはずですよ」と話しました。同時に,いま,日々の仕事が比較的楽にできるのであれば,次の階段を上るための備えをしておいたほうがいいと,申し添えて。
●「あえて」成長させない,という選択肢を会社が取る場合もある
こういう話,組織のサイズが比較的大きく,社内の制度なども整っている場合には,それほど大きな問題にはなりません。ビジネスパーソンとしての成長を手助けしてくれるシステムが,わりと整っているからです。しかし,多くの人が恵まれた環境で働いている,というわけではありません。
規模の大きくない企業,もしくはまだそういう制度を整えることに手が回っていない企業などは,キャリアプランも明確でなく,しかも組織そのものもまだデザインされていない状態。となると,そこで働く人も手探りになってしまう。
さらに,部下が踊り場にいると,上司がその状況を理解していたとしても,もうひとつ上を目指すための仕事が用意できない,もしくは今の位置にとどまって日々の仕事を回してもらわないと,組織全体が立ちいかなくなるので,現状維持を「あえて」選択させる場合もあるのです。
そういう状態が健全ではないことを,組織の上長たちも分かってはいるのです。けれども,個人が成長する,もしくは組織が健全に伸びていくことと,日々の業務を滞りなくこなすことを秤(はかり)にかけた時に,どちらが重いのかは,とても難しい問題です。両立するのが理想ですが,現実には「人が足りない」「経験の浅い人が多い」「組織が成長するために必要なスキルを上長たちが持ち合わせていない」など理由はさまざまですが,障害だらけなのです。
●「個人的に成長する」という選択肢を,自分で取るためのコツとツボ
とはいえ,組織の都合で「いまの状態でい続けてくれ」と,踊り場に留め置かれたとしても,その状態に甘んじては,後で泣きをみることになります。こっそりでいいので,ひとりで成長をし続けなければなりません。
入社直後から若手と呼ばれる年齢の間は「仕事でできることが増えていく=成長」という分かりやすい実感があったので,ひとりで成長するための努力は比較的容易です。けれども一定の年齢に達し,自分の伸びシロがある程度見えてしまったと思い込んでいる人にとっては,ひとりでその努力を続けるのはわりと難しい。
そこでオススメなのが「勉強会」です。なにをいまさら,という声が聞こえてきそうですが,かつてのブームが一段落して,運営している人たちのスキルも大幅にアップしているいまだからこそ,再び「学びの場を社外に」求めるのはアリだと思うのです。
試しに「勉強会」と検索してみてください。検索上位にはネット系やエンジニア系の勉強会がズラリと並びますが,じっくり探してみると,自分の興味関心,仕事で必要な知識,またビジネスパーソンとして身につけておくべきスキルが学べる場所も見つかるはずです。
クローズドな勉強会に参加するのはハードルが高いですが,オープンなスタイルで運営されている会もあるので,まずはそちらに参加してみるといいでしょう。
●自分で学ぶ場を設定し,運営してみると,成長のスピードはアップする
いくつかの勉強会に参加して,その運営のノウハウが垣間見えたところで,自分で勉強会を設定してみるのも,成長のスピードを加速させるポイント。似たようなテーマで行き詰っていて踊り場にいる人を集めて,どうすればいいのか,何を学べばいいのか,などを一緒に学ぶのです。
もちろん,ひとりで学ぶよりも手間がかかります。日程の調整から始まり,組織(というほどおおげさではないですが)の運営,人間関係など,仕事でもないのにたくさんの煩(わずら)わしいことが降りかかる恐れもあり,面倒になってしまうケースも。しかし,それでもひとりでは気がつけなかったこと,見えていなかった視界,知らなかったノウハウなどがあなたの手に入るのです。
また,社外でそういう組織を運営していることで,気がついたら「踊り場の先の一歩」を踏み出すための能力が身についている可能性もあります。「会社の建物から一歩でも出たら,もう仕事のことなど考えたくもない」と徹底している人なら別ですが,そうでないなら日々の仕事で成長できない部分は,会社の建物の外で,そして自らの手で学び,経験し,積み上げていくしかない,と考えたほうがいいでしょう。
中間管理職またはある程度のポジションについている人は,誰かが手を差し伸べてくれる,もしくは背中を押してくれる人や仕組みがなくても,自ら考え,行動しなければならないのです。
3月9日(月)10時10分配信
●仕事は楽しいのに,自分の成長を感じられない
ある場所で会議をしていると,その参加者の中からボヤキともとれる発言がありました。日々の成長が実感しにくくなってきたので,仕事が楽しくない気がする。いや,仕事はやりがいがあるし,面白いとは思っているのだけれども,自分自身に力がついてきているという感覚が持てないと。
その話を聞いていて,私は「ああ,キャリアの踊り場にいるということだよ」と説明しました。そう,日々の仕事が問題なくこなせるようになり,組織の中での独り立ちを経て,メンバーの中において重要な位置を占めるようになった人の多くが,似たような状態に陥ります。階段を駆け上がっている状態だったのにもかかわらず,急にフラットな場所に出て戸惑っている感じ。
「状況は理解できました。で,どうすれば次に進めますか?」
そう質問されて,私は「仕事のことに関していうと,組織が次の課題設定をするはず。あなたよりも少し年次が上の先輩を見ていると,その輪郭がおぼろげながら見えてくるはずですよ」と話しました。同時に,いま,日々の仕事が比較的楽にできるのであれば,次の階段を上るための備えをしておいたほうがいいと,申し添えて。
●「あえて」成長させない,という選択肢を会社が取る場合もある
こういう話,組織のサイズが比較的大きく,社内の制度なども整っている場合には,それほど大きな問題にはなりません。ビジネスパーソンとしての成長を手助けしてくれるシステムが,わりと整っているからです。しかし,多くの人が恵まれた環境で働いている,というわけではありません。
規模の大きくない企業,もしくはまだそういう制度を整えることに手が回っていない企業などは,キャリアプランも明確でなく,しかも組織そのものもまだデザインされていない状態。となると,そこで働く人も手探りになってしまう。
さらに,部下が踊り場にいると,上司がその状況を理解していたとしても,もうひとつ上を目指すための仕事が用意できない,もしくは今の位置にとどまって日々の仕事を回してもらわないと,組織全体が立ちいかなくなるので,現状維持を「あえて」選択させる場合もあるのです。
そういう状態が健全ではないことを,組織の上長たちも分かってはいるのです。けれども,個人が成長する,もしくは組織が健全に伸びていくことと,日々の業務を滞りなくこなすことを秤(はかり)にかけた時に,どちらが重いのかは,とても難しい問題です。両立するのが理想ですが,現実には「人が足りない」「経験の浅い人が多い」「組織が成長するために必要なスキルを上長たちが持ち合わせていない」など理由はさまざまですが,障害だらけなのです。
●「個人的に成長する」という選択肢を,自分で取るためのコツとツボ
とはいえ,組織の都合で「いまの状態でい続けてくれ」と,踊り場に留め置かれたとしても,その状態に甘んじては,後で泣きをみることになります。こっそりでいいので,ひとりで成長をし続けなければなりません。
入社直後から若手と呼ばれる年齢の間は「仕事でできることが増えていく=成長」という分かりやすい実感があったので,ひとりで成長するための努力は比較的容易です。けれども一定の年齢に達し,自分の伸びシロがある程度見えてしまったと思い込んでいる人にとっては,ひとりでその努力を続けるのはわりと難しい。
そこでオススメなのが「勉強会」です。なにをいまさら,という声が聞こえてきそうですが,かつてのブームが一段落して,運営している人たちのスキルも大幅にアップしているいまだからこそ,再び「学びの場を社外に」求めるのはアリだと思うのです。
試しに「勉強会」と検索してみてください。検索上位にはネット系やエンジニア系の勉強会がズラリと並びますが,じっくり探してみると,自分の興味関心,仕事で必要な知識,またビジネスパーソンとして身につけておくべきスキルが学べる場所も見つかるはずです。
クローズドな勉強会に参加するのはハードルが高いですが,オープンなスタイルで運営されている会もあるので,まずはそちらに参加してみるといいでしょう。
●自分で学ぶ場を設定し,運営してみると,成長のスピードはアップする
いくつかの勉強会に参加して,その運営のノウハウが垣間見えたところで,自分で勉強会を設定してみるのも,成長のスピードを加速させるポイント。似たようなテーマで行き詰っていて踊り場にいる人を集めて,どうすればいいのか,何を学べばいいのか,などを一緒に学ぶのです。
もちろん,ひとりで学ぶよりも手間がかかります。日程の調整から始まり,組織(というほどおおげさではないですが)の運営,人間関係など,仕事でもないのにたくさんの煩(わずら)わしいことが降りかかる恐れもあり,面倒になってしまうケースも。しかし,それでもひとりでは気がつけなかったこと,見えていなかった視界,知らなかったノウハウなどがあなたの手に入るのです。
また,社外でそういう組織を運営していることで,気がついたら「踊り場の先の一歩」を踏み出すための能力が身についている可能性もあります。「会社の建物から一歩でも出たら,もう仕事のことなど考えたくもない」と徹底している人なら別ですが,そうでないなら日々の仕事で成長できない部分は,会社の建物の外で,そして自らの手で学び,経験し,積み上げていくしかない,と考えたほうがいいでしょう。
中間管理職またはある程度のポジションについている人は,誰かが手を差し伸べてくれる,もしくは背中を押してくれる人や仕組みがなくても,自ら考え,行動しなければならないのです。