このごろあの懐かしい季節が
私の見ている景色に重なります
人間て無い物ねだりなんですね
半袖の季節まではまだ遠いのです
『じゃあまたね』と手を上げたあと
あなたの姿は遠い日の童話のように
色褪せてしまいました
手に取ったコートの色が
鮮やかに感じられるのは
ときめきがまだ
残っているのでしょうか
あなたが言いましたね
薄暗いライトの喫茶店
窓ガラスから見える
雪の積もった木がとっても重そう
これもきっと私の心が
そう見せてるんですね
少しだけ薄暗いソファーで
深く腰を下ろし
手にしたカップが軽くなると
『また、どうぞ』
という声が聞こえた気がします
ごゆっくりしていただき
ありがとう
ございました
それではまたお会いしましょう