産経新聞 2011.07.15
中国新疆ウイグル自治区のウルムチで2009年7月に発生し、多数の死傷者を出した 「ウイグル暴動」から2年余り。暴動発生当時は数万人の武装警察に加え、軍まで投入された市内中心部は平静と活気を取り戻していた。しかし、市内のいたる ところに設置された監視カメラは次々にフラッシュを光らせ、2年前にはいなかった監視員の姿があちこちで目につく。住民同士の“密告”も奨励されていると いい、笑顔の陰には、ピリピリした緊張感が漂っていた。
「誰が聞いているか分からない。ここでそんな話はしないでくれ」。ウルムチ市内のバザールで値引き交渉のついでに2年前の暴動についてたずねると、カーペットを売っていたウイグル族住民の商店主(40)はピシャリと話をさえぎって表情を硬くした。
周囲にはウイグル族以外は見あたらなかったが、別の男性は「ウイグル族同士の密告がご く普通になったからだ」と説明した。ウイグル族と漢民族が民族衝突した2年前の暴動は、当局発表で200人近くの死者が出た。両民族間で広がる一方の経済 格差や、ウイグル族に対する差別が発端だ。
市内には警察の派出所が増え、住民の言動を記録する監視カメラもおよそ4万台設置された。暴動現場のひとつで人権活動家、ラビア・カーディル氏(2005年に米国へ亡命)が1980年代に建てた「ラビアビル」の封鎖は今も続き、監視員が配置されていた。
ウルムチ市の北部に漢民族、南部にウイグル族という居住エリアの分断もますます進んだ。石油など豊富な地下資源のある新疆ウイグル自治区だが、経済的な恩恵のほとんどは当局と漢民族が享受。ウイグル族には回ってこない。
一方、民族融和を掲げる自治区政府は就職支援などウイグル族への優遇策を打ち出している。
なかでも「反体制的な言動を当局に報告したウイグル族住民には優先的に職が与えられている」(漢族のタクシー運転手)という。 市内の監視員の中にはウイグル族の姿も目立っており、ウイグル族同士の「相互不信」を映す光景となっていた。(ウルムチ 河崎真澄)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110715/chn11071521400005-n1.htm