▼ネオナチの系譜 シリーズまとめ
＊続きの記事はこちらから
【目次】
〔その１〕
① NHK党/つばさの党のユダヤ批判の主張・ナチズムへの接近
② 「共産主義者＝ユダヤ人」はナチの中心的主張
③ 統一教会が支援した中南米の世界反共連盟(WACL)はネオナチ
④ ボルシェビキの多くがユダヤ人であったことは確実
〔その２〕
⑤ 陰謀論「双頭の鷲作戦」を主張したのはヒトラー
⑥ マルクスはロスチャイルドの親戚/ロスチャイルドはレーニンを支援？
⑦ ロスチャイルド家とロシアは同じ紋章を使っていない
〔その３〕
⑧ 非科学的な民族主義（Nationalism）はナチズムの根幹
⑨ 日本型ファシズムとナチズム
〔その４〕
⑩ NHK黒川派のウクライナ・ロシア戦争の認識〔ユダヤ陰謀論〕
⑪ CIA長官アレン・ダレスがナチスをCIA工作員にした ～ゲーレン機関
⑫ OSS、G-2/CIC、CIA ～アメリカの諜報機関の変遷
⑬ ヒムラーの副官カール・ヴォルフ親衛隊最高司令官とダレスの密約
〔その５〕
⑭ ウクライナのナチスが行った虐殺
⑮ ウクライナのナチス「OUN」～バンデーラとステツコ
⑯ ウクライナのナチスがWACL（世界反共連盟）東欧支部を結成
〔その６〕
⑰ OUN/ABN/ステツコらナチスの影響は拡大
⑱ アゾフ、ネオナチ、黒い太陽
〔その７〕
⑲ ユダヤ人虐殺を繰り返したOUN、首相となったステツコ
⑳ 1943～50年 OUNの工作活動年表 ～MI6、CIA、バチカンの支援
〔その８〕
㉑ 1950～59年 OUNの工作活動年表 ～MI6、CIA、ゲーレン機関の支援
㉒ 1960年まで殺戮を続けたOUN、支援したCIA
〔その９〕
㉓ CIA工作員となったOUNレべド
㉔ MI6の手引きでABN（反ボルシェビキ諸国連合）議長となったステツコ
〔その１０〕 → 本記事
㉕ 80年代にレーガンと接近したABN・ステツコ
㉖ WACL、ABN、APACLの資金源は統一教会
㉗ CIA長官/副大統領パパ・ブッシュとABN
〔その１１〕
㉘ CIA副長官レイ・クラインが蒋介石とAPACLを創設
㉙ 統一教会/CAUSAと「リヨンの肉屋」のコカインクーデター
〔その１２〕
㉚ ステツコ・統一教会らとWACLを作ったCIA副長官シングローブ
㉛ イラン-コントラ事件を主導したシングローブ
㉜ 「日本のWACLは統一教会に引き継がれた」
〔その１３〕
㉝ 60年代以降のステツコ、米国のウクライナロビー、ブレジネフ暗殺計画
㉞ WACLの世界的拡大に尽力したステツコ
〔その１４〕
㉟ 国務次官も務めたウクライナロビーの中心、ドブリアンスキー父娘
㊱ ティモシェンコ政権で法務大臣になった米国人OUN/ABNのズヴァリチ
〔その１５〕
㊲ 80年代以降のステツコの妻スラヴァのロビイング
㊳ 90年代、ウクライナにネオナチとOUNを復活させたスラヴァ
〔その１６〕
㊴ ステツコの「二つの革命」
㊵ OUN/ABN/ステツコを継承したスヴォボーダ、右派セクター、アゾフ
㊶ 現在の各国のネオナチ
〔その１７〕
㊷ 労働組合攻撃を続けたナチズム
㊸ CIAによる労働組合攻撃と連合の変容
〔その１〕
① NHK党/つばさの党のユダヤ批判の主張・ナチズムへの接近
② 「共産主義者＝ユダヤ人」はナチの中心的主張
③ 統一教会が支援した中南米の世界反共連盟(WACL)はネオナチ
④ ボルシェビキの多くがユダヤ人であったことは確実
〔その２〕
⑤ 陰謀論「双頭の鷲作戦」を主張したのはヒトラー
⑥ マルクスはロスチャイルドの親戚/ロスチャイルドはレーニンを支援？
⑦ ロスチャイルド家とロシアは同じ紋章を使っていない
〔その３〕
⑧ 非科学的な民族主義（Nationalism）はナチズムの根幹
⑨ 日本型ファシズムとナチズム
〔その４〕
⑩ NHK黒川派のウクライナ・ロシア戦争の認識〔ユダヤ陰謀論〕
⑪ CIA長官アレン・ダレスがナチスをCIA工作員にした ～ゲーレン機関
⑫ OSS、G-2/CIC、CIA ～アメリカの諜報機関の変遷
⑬ ヒムラーの副官カール・ヴォルフ親衛隊最高司令官とダレスの密約
〔その５〕
⑭ ウクライナのナチスが行った虐殺
⑮ ウクライナのナチス「OUN」～バンデーラとステツコ
⑯ ウクライナのナチスがWACL（世界反共連盟）東欧支部を結成
〔その６〕
⑰ OUN/ABN/ステツコらナチスの影響は拡大
⑱ アゾフ、ネオナチ、黒い太陽
〔その７〕
⑲ ユダヤ人虐殺を繰り返したOUN、首相となったステツコ
⑳ 1943～50年 OUNの工作活動年表 ～MI6、CIA、バチカンの支援
〔その８〕
㉑ 1950～59年 OUNの工作活動年表 ～MI6、CIA、ゲーレン機関の支援
㉒ 1960年まで殺戮を続けたOUN、支援したCIA
〔その９〕
㉓ CIA工作員となったOUNレべド
㉔ MI6の手引きでABN（反ボルシェビキ諸国連合）議長となったステツコ
〔その１０〕 → 本記事
㉕ 80年代にレーガンと接近したABN・ステツコ
㉖ WACL、ABN、APACLの資金源は統一教会
㉗ CIA長官/副大統領パパ・ブッシュとABN
〔その１１〕
㉘ CIA副長官レイ・クラインが蒋介石とAPACLを創設
㉙ 統一教会/CAUSAと「リヨンの肉屋」のコカインクーデター
〔その１２〕
㉚ ステツコ・統一教会らとWACLを作ったCIA副長官シングローブ
㉛ イラン-コントラ事件を主導したシングローブ
㉜ 「日本のWACLは統一教会に引き継がれた」
〔その１３〕
㉝ 60年代以降のステツコ、米国のウクライナロビー、ブレジネフ暗殺計画
㉞ WACLの世界的拡大に尽力したステツコ
〔その１４〕
㉟ 国務次官も務めたウクライナロビーの中心、ドブリアンスキー父娘
㊱ ティモシェンコ政権で法務大臣になった米国人OUN/ABNのズヴァリチ
〔その１５〕
㊲ 80年代以降のステツコの妻スラヴァのロビイング
㊳ 90年代、ウクライナにネオナチとOUNを復活させたスラヴァ
〔その１６〕
㊴ ステツコの「二つの革命」
㊵ OUN/ABN/ステツコを継承したスヴォボーダ、右派セクター、アゾフ
㊶ 現在の各国のネオナチ
〔その１７〕
㊷ 労働組合攻撃を続けたナチズム
㊸ CIAによる労働組合攻撃と連合の変容
1月の初旬に持病の椎間板ヘルニアを悪化させ、ほぼ寝たきり状態になってしまった。現在は杖を使用し短距離ではあるが歩けるほどに回復しているが、長文を書いたりする作業も痛みを伴うため、筆が進まなかった。病状が緩和されつつあるので、ぼちぼち続けていこうと思う。
◇◇◇◇◇◇◇◇
本記事からは、OUN（ウクライナ民族主義者組織）/ABN（反ボルシェビキ諸国連合）のリーダーとなったヤロスラブ・ステツコの60年代以降の動き、そのABNが傘下に入るWACL（世界反共連盟）を主導したCIA幹部のレイ・クラインとジョン・シングローブ、またステツコのカウンターパートとしてのアメリカのウクライナロビー、さらにはレーガンやブッシュとの関係について綴っていこうと思う。
第二次世界大戦中、主に欧州で殺戮行為に及んでいたナチスだったが、戦後はCIAによってその残党が保護・輸出され、少なくとも90年代まで南米を中心に残忍な不正規戦争（汚い戦争）を行っていた。
以下文章は登場人物の名が多く出てきて混乱するかもしれない。
このウクライナのナチス相関図や、WACL（世界反共連盟）相関図が整理に役に立つはずだ。
WACL相関図
ウクライナのナチス/CIA年表
ヤロスラブ・ステツコ
https://coat.ncf.ca/P4C/70/70_49.htm
㉕ レーガンやブッシュと接近したABN・ステツコ
1983年7月13日、レーガン大統領が出席したレセプションの写真がある。
ABNの機関紙「Correnpondence」から。〔＊画像では19日となっているが、書籍「インサイド・ザ・リーグ」の記述では13日となっている。理由は不明。どちらかが誤記の可能性〕
右上の写真でレーガンと握手をする後ろ向きの男、下の写真でかぶりつきでレーガンの演説を聞く男がウクライナの(元)首相、OUNでステパン・バンデーラの右腕として殺戮を繰り返し、CIA工作員となったヤロスラブ・ステツコだ。
短いがこのレセプションの映像も存在する。
https://www.youtube.com/watch?v=_JLCMv1S3nU
なぜポーランド人やユダヤ人を虐殺したウクライナのナチス「OUN」のリーダーのヤロスラブ・ステツコが、アメリカの大統領と仲良く会合を持てたのだろうか。
例えば、バイデン大統領がアルカイダやタリバーンの幹部と仲良く会合をもって、「ロシアや中国と戦おう」などと気勢を上げていたら、世界中から大批判を浴びるだろう。
ステツコがレーガンと会えた理由は勿論、ステツコ自身がCIA工作員だったからであるし、世界中のナチスや戦犯を集めたWACL（World Anti-Communist League：世界反共連盟）の設立に尽力したからでもあった。
㉖ WACL、ABN、APACLの資金源は統一教会
このWACLについて少し復習しよう。
WACLは1966年に設立されたが、設立に関わったのが韓国の朴正煕大統領と統一教会の文鮮明やKCIA、岸信介首相と笹川良一、台湾の蒋介石総督らで組織されたAPACL（The Asian People Anti-Communist League：アジア民族反共連盟）、ステツコの団体「ABN（Anti-Bolshevik Bloc of Nations：反ボルシェビキ諸国ブロック）」、そしてレイ・クラインとジョン・シングローブらを中心とした米国CIAだった。
70年代以降、WACL傘下の組織は、特に南米でテロやゲリラ戦、暗殺、クーデターを繰り返し、数十万の市民や政治家を殺戮している。
このWACLの主要勢力は統一教会だった。
WACLのアジア支部だったAPACL、特に所属する統一教会がWACLの主な資金源であったことは多くの調査研究から明らかになっている。
1978年に米議会の「フレーザー委員会」で、APACLがKCIAと協力し1963年に米国で資金を募っていたことが明らかにされている。
なお、フレーザー委員会では、KCIAが60年代に統一教会を再編成したことが明らかにされているため、統一教会≒KCIAと考えて齟齬はない。
開示されたCIA機密文書には、1955年にステツコとABNが台湾でAPACLの会合に出席した旨、またAPACLがABNを資金支援した旨などが記されている。
画像：CIA機密文書から
https://www.cia.gov/readingroom/docs/STETSKO%2C%20YAROSLAV_0075.pdf
59年にタイで行われた第四回APACL会議にABNが出席したことを報じるABN機関誌[Correspondance]
https://www.voltairenet.org/IMG/pdf/abn_correspondence_1959.pdf
ABNの会合にて。前段右がステツコ、左が妻のスラヴァ・ステツコ、後段左のアジア人が統一教会日本支部/国際勝共連合の会長であった久保木修己だ。
なお、下の画像は久保木の自伝からの引用だ。国際勝共連合が岸、笹川、児玉、統一教会の連合体であることがわかる。
http://www.moo.malsm.info/private/aitenaikokuaijin/index.html
㉗ CIA長官・副大統領パパ・ブッシュとABN
APCLや統一教会と同じくWACL創設時以前からの老舗がステツコのABNだった。
WACL設立に尽力したステツコは、WACL（世界反共産主義同盟）の理事にもなった。
ステツコがリーダーを務めたABN幹部の複数人がCIA工作員だったこともわかっている。彼らはWACLや反共運動の世界的な拡大を目指した。
https://www.archives.gov/files/iwg/declassified-records/rg-263-cia-records/second-release-lexicon.pdf
上図の通り、ABNもCIAファイルのインデックスに記載される。
このファイルでABNメンバーだったとされるStanislaw Stankiewiczは、ドイツ・ミュンヘンにあるソ連研究所（ISU）の署長で、ここもCIAの対ソ連宣伝・諜報工作組織だった。
ソ連研究所（ISU）は、主にロシアやウクライナの知識人で組織され、チェコのRadio Free Europeなどと共に工作活動を行っていた。
https://www.foiaresearch.net/project/institute-study-ussr-bgcallus
ABN幹部で最も重要な工作員がドブリアンスキー教授や、ティモシェンコ内閣で法務大臣となったズヴァリッチだが、彼らについては後述する。
1989～93年に大統領となるジョージ・H・W・ブッシュ（父ブッシュ）は70年代にはCIA長官だったが、レーガン政権の副大統領となった1983年以降にステツコと会合を重ね、ABNの大会で演説も行っている。
ステツコとブッシュ
https://www.voltairenet.org/IMG/pdf/abn_correspondence_1996.pdf
・・・・・・・
1988年7月20日、共和党の大統領候補である副大統領ジョージ・H・W・ブッシュは、ABNの集会でウクライナ移民でOUN/ABNメンバーのボフダン・フェドラクと一緒に演説を行った。
出典：アンナ・ホリアン アリゾナ州立大学准教授（2011）
https://www.jstor.org/stable/43555320
・・・・・・・
1988年7月20日、共和党の大統領候補である副大統領ジョージ・H・W・ブッシュは、ABNの集会でウクライナ移民でOUN/ABNメンバーのボフダン・フェドラクと一緒に演説を行った。
出典：アンナ・ホリアン アリゾナ州立大学准教授（2011）
https://www.jstor.org/stable/43555320
・・・・・・・
G. H. W. Bush Used Nazi Collaborators to Get Elected (2004) : Russ Bellant : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/g.-h.-w.-bush-used-nazi-collaborators-to-get-elected-by-russ-bellant-press-for-c
上記画像本文を執筆したラス・べラントはナチズムやファシズムの研究者で作家・ジャーナリストだ。
ベラントは1988年の大統領選挙戦のさなか、ブッシュ陣営と関係する米国に移住したナチス協力者の存在を暴露した。この暴露によって選挙陣営から9人が辞任することとなったが、そのうち2人がウクライナ出身だった。
そのころまでにステツコとABNは米国内に強力なウクライナロビーを形成することに成功していた。
このことはラス・ベラントの著書「Old Nazis, The New Right And The Republican Party」（サウスエンドプレス、1991）に著されている。
ウクライナでマイダン・クーデターの起こった翌年の2014年に行われたべラントのインタビュー記事を以下に抄訳する。
・・・・・・
▼ SEVEN DECADES OF NAZI COLLABORATION: AMERICA’S DIRTY LITTLE UKRAINE SECRET
March 18, 2014 Foreign Policy In Focus(FPIF)
https://fpif.org/seven-decades-nazi-collaboration-americas-dirty-little-ukraine-secret/
〇べラント：
最近〔2013年に〕ウクライナで起こったクーデターの主要な組織は、ウクライナ民族主義者組織［OUN］、あるいはバンデーラス［OUN-B］と呼ばれるその特定の組織でした。彼らはスヴォボダ党を支えるグループであり、新暫定政権で多くの重要な地位を得ています。
〔中略〕
〇べラント：
〔終戦間際の〕1943年、ドイツの後援を受けたOUNは、退却するドイツ軍に代わって戦うために多国籍軍を組織しました。43年のスターリングラードの戦いの後、ドイツ軍はより多くの味方を得る必要性を感じ、ルーマニア鉄衛団、ハンガリー矢十字団、OUNなどの軍事組織を有する集団が集まり、被支配国委員会という統一戦線を形成して、再びドイツ軍のために活動しました。1946年、彼らはこれを「反ボルシェビキ民族ブロック」（ABN）と改名しました。ステツコは1986年に亡くなるまで、そのリーダーを務めていたのです。
〔中略〕
〇べラント：
現在OUNは、「戦時中、私たちはナチス・ドイツ軍と共産主義者双方と戦った」と喧伝しています。しかし実際のところ、戦争末期の2年間とその後に続く戦争において、ドイツに代わって、この多国籍同盟全体の指導者だったのが彼らOUNでした。戦後、これら反省しないナチス同盟の指導者たちは、すべてヤロスラフ・ステツコの指導下にあったのです。
…〔1959年に〕バンデラがいなくなると、ステツコはOUNの紛れもない指導者となりました。
〔中略〕
〇インタビュワー：
ステツコや、過去の他のナチス・ドイツ連合軍から彼のような人々がアメリカに来たとき、何が起こったのでしょうか。
〇べラント：
彼らが米国に来たとき、彼のグループは「捕虜国家（Captive nations）委員会」を組織し、東欧やバルト諸国でソ連に抑圧されている人々の代表となりました。ワルシャワ条約に加盟していたこれらの国々の声を代弁するために、白紙委任状を与えられていたのですが、実際には、それぞれの国家共同体の最も過激な要素を代表していたのです。
例えば、ワシントンDCの捕虜国家委員会（The Captive Nations Committee）は、ＯＵＮを率いる人物によって運営されていましたし、他の多くの場合でもそうでした。…50年代前半、彼らがアメリカに定住したとき、それらすべての国籍の人々を合わせると、少なくとも1万人が定住していたのです。1950年代初頭にアイゼンハワー政権が政策を決定し、彼らを呼び寄せたからです。
OUNは選挙組織を立ち上げ、4年ごとに共和党の候補者のために東欧からの移民を動員しました。1960年のリチャード・ニクソンのように、ルーマニア鉄衛団（筆者注：ナチス協力者として数万人を虐殺）のような指導者と直接的に密接な関係を持つ者もいました。
〔中略〕
〇べラント：
コサックの男にインタビューしたとき、彼は第二次世界大戦でSSに従軍したときの年金や、アメリカの自由ナチス団体に所属していたことを見せてくれましたが、とにかく反省がないんです。この人たちが『捕虜国家委員会』と呼んでいた傘の中に、ステツコもいて、その一員でした。レーガン・ホワイトハウスは彼を連れてきて、ジーン・カークパトリック（国連大使）、ジョージ・ブッシュが副大統領、そしてもちろんレーガンも参加して、ステツコは偉大な指導者として持ち上げられました。そして彼のために「宣言」まで出されました。
ブッシュが1988年の大統領選に出馬したとき、OUNは、北米のOUNの主要拠点の一つ、デトロイトの郊外にある彼らの文化センターにブッシュを呼びました。彼等はOSI（筆者注：米国司法省の特別捜査局：米国内のナチス協力者を捜査していた）を非難しましたが、ブッシュはただ頭を振って、それについて何も触れませんでした。
米国に移住したナチスは皆、OUNに対する捜査を阻止するために、あらゆる政治的圧力をかけようとしていたのです。
〔中略〕
しかし残念ながらブッシュとレーガンは、第二次世界大戦で我々が倒そうとした敵側に立ち続けていたのです。
・・・・・・
▼ SEVEN DECADES OF NAZI COLLABORATION: AMERICA’S DIRTY LITTLE UKRAINE SECRET
March 18, 2014 Foreign Policy In Focus(FPIF)
https://fpif.org/seven-decades-nazi-collaboration-americas-dirty-little-ukraine-secret/
〇べラント：
最近〔2013年に〕ウクライナで起こったクーデターの主要な組織は、ウクライナ民族主義者組織［OUN］、あるいはバンデーラス［OUN-B］と呼ばれるその特定の組織でした。彼らはスヴォボダ党を支えるグループであり、新暫定政権で多くの重要な地位を得ています。
〔中略〕
〇べラント：
〔終戦間際の〕1943年、ドイツの後援を受けたOUNは、退却するドイツ軍に代わって戦うために多国籍軍を組織しました。43年のスターリングラードの戦いの後、ドイツ軍はより多くの味方を得る必要性を感じ、ルーマニア鉄衛団、ハンガリー矢十字団、OUNなどの軍事組織を有する集団が集まり、被支配国委員会という統一戦線を形成して、再びドイツ軍のために活動しました。1946年、彼らはこれを「反ボルシェビキ民族ブロック」（ABN）と改名しました。ステツコは1986年に亡くなるまで、そのリーダーを務めていたのです。
〔中略〕
〇べラント：
現在OUNは、「戦時中、私たちはナチス・ドイツ軍と共産主義者双方と戦った」と喧伝しています。しかし実際のところ、戦争末期の2年間とその後に続く戦争において、ドイツに代わって、この多国籍同盟全体の指導者だったのが彼らOUNでした。戦後、これら反省しないナチス同盟の指導者たちは、すべてヤロスラフ・ステツコの指導下にあったのです。
…〔1959年に〕バンデラがいなくなると、ステツコはOUNの紛れもない指導者となりました。
〔中略〕
〇インタビュワー：
ステツコや、過去の他のナチス・ドイツ連合軍から彼のような人々がアメリカに来たとき、何が起こったのでしょうか。
〇べラント：
彼らが米国に来たとき、彼のグループは「捕虜国家（Captive nations）委員会」を組織し、東欧やバルト諸国でソ連に抑圧されている人々の代表となりました。ワルシャワ条約に加盟していたこれらの国々の声を代弁するために、白紙委任状を与えられていたのですが、実際には、それぞれの国家共同体の最も過激な要素を代表していたのです。
例えば、ワシントンDCの捕虜国家委員会（The Captive Nations Committee）は、ＯＵＮを率いる人物によって運営されていましたし、他の多くの場合でもそうでした。…50年代前半、彼らがアメリカに定住したとき、それらすべての国籍の人々を合わせると、少なくとも1万人が定住していたのです。1950年代初頭にアイゼンハワー政権が政策を決定し、彼らを呼び寄せたからです。
OUNは選挙組織を立ち上げ、4年ごとに共和党の候補者のために東欧からの移民を動員しました。1960年のリチャード・ニクソンのように、ルーマニア鉄衛団（筆者注：ナチス協力者として数万人を虐殺）のような指導者と直接的に密接な関係を持つ者もいました。
〔中略〕
〇べラント：
コサックの男にインタビューしたとき、彼は第二次世界大戦でSSに従軍したときの年金や、アメリカの自由ナチス団体に所属していたことを見せてくれましたが、とにかく反省がないんです。この人たちが『捕虜国家委員会』と呼んでいた傘の中に、ステツコもいて、その一員でした。レーガン・ホワイトハウスは彼を連れてきて、ジーン・カークパトリック（国連大使）、ジョージ・ブッシュが副大統領、そしてもちろんレーガンも参加して、ステツコは偉大な指導者として持ち上げられました。そして彼のために「宣言」まで出されました。
ブッシュが1988年の大統領選に出馬したとき、OUNは、北米のOUNの主要拠点の一つ、デトロイトの郊外にある彼らの文化センターにブッシュを呼びました。彼等はOSI（筆者注：米国司法省の特別捜査局：米国内のナチス協力者を捜査していた）を非難しましたが、ブッシュはただ頭を振って、それについて何も触れませんでした。
米国に移住したナチスは皆、OUNに対する捜査を阻止するために、あらゆる政治的圧力をかけようとしていたのです。
〔中略〕
しかし残念ながらブッシュとレーガンは、第二次世界大戦で我々が倒そうとした敵側に立ち続けていたのです。
・・・・・・
OUN/ABNのウクライナ/東欧移民たちは、まるで自民党の選挙をサポートする統一教会とまったく同じことを、ブッシュら共和党議員に対して行っていたことがわかる。
彼らはこのような選挙運動のノウハウを共有していたかもしれない。
次にAPACLやWACLの設立に深く関与し、ABN・ステツコとレーガンやブッシュとの関係を取り持った中心的存在に触れて行こう。
共にCIA副長官を務めたジョン・シングローブとレイ・クラインだ。
シングローブは、レーガンをはじめ、アイオワ州上院議員選挙のチャック・グラスリーなど共和党の政治運動を支援した「力による平和連合（Coalition for Peace Through Strength）」の共同議長も務めた男であり、ステツコらナチスとも密に協力していた。
シングローブがいなければ、ステツコがレーガンに近づくことはできなかった。
https://vocinfo.substack.com/p/john-singlaub
次回に続く
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