ネット上で見かける人々の言説やリアルで会う人たちの感覚が、なんと間違っていることかと頭を抱えたくなる瞬間がまだまだある。
これは教科書やマスコミ、または自称識者たちが間違いを正さないために起こる悲劇だ。

特に今は物価が上昇している時なので、「政府がコロナ給付金等をバラ撒いたからインフレになった」「輸入物価が上がりインフレになったから、これ以上政府がお金を出すとさらにインフレになる」と勘違いする人達が続出している。

【目次】
①「貨幣数量説」という古代の迷信
②もしあなたが1兆円貰って、それを燃やしたらインフレになるか?
③じゃあ物価を決める要因は何なんですか?
④だったら今の日本のインフレは何なんですか?

 

①「貨幣数量説」という古代の迷信


彼らの間違いの根拠となっている代表的な論理がこれ。

「貨幣数量説」: 貨幣価値を数量で測り、お金の量を増やすとインフレになると考える仮説

(*実際には、GDPを不変とする前提において、マネタリーベースを増やすとそれに応じて財市場のマネーストック量も決定され、物価に影響を与えるとするものだけど、根本から間違ってるので特に詳細を知る必要なし。もともとは19世紀からあったがフリードマンら新自由主義者が70年代に復古させた。 参考① https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88 

参考② https://bestkateikyoshi.hatenablog.com/entry/2020/09/15/080000 )

「貨幣数量説」を、「感覚的に」簡単に説明すると、政府が経済に供給するお金の量(通貨量)を増やしたら、濃いスープが水で薄められるように、お金の価値が薄まるという論理だ。

これは、お金の価値が低くなる、つまり逆にモノの価値が上がるのでインフレになるという一般的に信じられているお話。

だけど、これは誤りだ。


例えば、あなたがひょんなことから日本政府から1兆円貰ったとする

この場合、「貨幣数量説」の立場に立つとすると、もし日本全体を巡るお金の量(M1)が100兆円であったなら、約1%ぶんお金の価値が薄まらなければならないし、約1%ぶん物価上昇(=インフレ)するはずだ。

しかし、そうはならない。


コロナ禍(2020-2021)で、日本政府は約70兆円のお金を経済(財・サービス市場)に投じたが、物価は上昇していない。



出典:統計局 消費者物価指数
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/pdf/zen-n.pdf#page=4

CPI(総合)で見ても、コアコアCPI(エネルギーや生鮮食品の物価を抜いた物価指標)で見てもデフレ。

2022年はエネルギー価格高騰や供給制約によってインフレ気味になったが、2020-2021年は逆にデフレだった
 
何十兆円もお金を出しても、使われなければ物価には影響しない


この時点で、「貨幣数量説(お金の量を増やすとインフレになる論理)」が間違っていることがわかる。

日経新聞や自称経済学者は間違っているのだ。
彼らは20世紀の古い経済学を今も妄信したままで、実証結果からリアルな経済学が更新され続けていることも知らない。


2022年に入ってからは物流や供給網(生産体制)の混乱で燃料や資源価格が上がり始め、2月の戦争でさらに燃料価格が上がった。これにより他の物価も影響を受け、インフレ(コストプッシュ・インフレ)になっていった。

このコストプッシュ・インフレは、政府が経済にお金をバラ撒いたこととは殆ど関係がない。

 

 

②もしあなたが1兆円貰って、それを燃やしたらインフレになるか?

もう一歩、思考実験を進めよう。

あなたが1兆円を貰って、その1兆円を焼却炉で燃やしたとする。

物価は変わるだろうか?


答えは、「物価は変わらない」のである。

理由は、さっきの話と同じだ。


まず第一に、お金は使われないと物価に影響を与えない。
お金が消費され、お店屋さんが儲かって、需要が旺盛で好景気にならないとお店屋さんの動向は変わらない。

そりゃそうだ。
あなたが貰った1兆円を使わずに、燃やしたり、貯金したとして、その時に街のスーパーやコンビニ、自転車屋さんやパン屋さんは商品価格を上げたり下げたりするのだろうか?

するわけがない。


https://www.nippon-num.com/economy/money-stock.html
 *M1=現金通貨+預金通貨 (*経済に投じられたお金の量)



消費者物価指数
https://www.nippon-num.com/economy/cpi.html


政府がコロナ給付金等でお金の量(M1=現金や預金通貨)を増やしたが、むしろデフレは進んだ。
コロナ禍で、多くの人が消費を抑えたんだから当たり前である。

細かい話はいろいろあるが、物価=インフレ率は、多少お金の量が増減しようと変わらない。

 

 

③じゃあ物価を決める要因は何なんですか?

「じゃあ物価を決める要因は何なんですか?」(CV:ひろゆき)

そう思ったでしょう?

細かいことはいろいろあるが、大雑把に、物価は需要と供給のバランスで決まる

需要は人々がモノを買える力(購買力)、供給は人々がモノを作れる力(生産力・販売力)のこと。



人々にモノを買えるだけのお金があれば、需要(購買力)が高まる。
需要が高まるとインフレに。

人々にモノを生産するだけの力があると、供給力(生産力)が高まる。
供給力のほうが大きいとデフレに。

 

 

④「だったら今の日本のインフレは何なんですか?」

「だったら今の日本のインフレは何なんですか?」(CV:ひろゆき)

この点も多くの人が疑問に感じているだろう。

良いインフレ(デマンドプル・インフレ)と悪いインフレ(コストプッシュ・インフレ)の例も少し説明する。

良いインフレ(デマンドプル・インフレ)が起きると、好景気になる。
賃金があがって、それに伴って物価も上がり、それがまた給料に反映される好循環だ。



逆に悪いインフレ(コストプッシュ・インフレ)になると、不景気になる。
原材料費ばかり上がり、給料は上がらない不況なのでスタグフレーション状態になる。

現在の日本は悪いインフレ(コストプッシュ・インフレ)の状態。



だから、消費税減税やガソリン税減税でモノの価格を下げ、給付金等で国民の負担を解消するとともに、資源や原材料価格上昇の悪影響を受ける一次産業や物流・交通、飲食店などの資金援助を行わなくてはならない
良いインフレ(デマンドプル・インフレ)にしていかなきゃいけない。


コストが物価を引き上げる現象は、過去にも観測されている。

もう一度下の先ほどの統計局のグラフを見てみよう。
青い丸は消費増税が行われた時の物価の動きだ。



消費税というコストが、商品価格に3%、または2%と上乗せされたので物価が上がったのだ。
(*19年10月の2%消費増税は、直後のコロナデフレのおかげで「数字上は影響が薄く」見える)

これは、どんなに自民党や維新の議員のように頭が悪くても理解できる事実だ。

そしてもちろん逆をやればコストは抑えられ、物価は下がる
 
給料が上がらず、コストばかり上がる。
だったら一度そのコストを下げて、人々に消費してもらい、好景気にして給料も上げなければならない。

消費減税こそがインフレ対策であり、景気対策になるのだと誰でもわかるだろう。


こういう当たり前のことがわかっているので、世界91カ国では消費減税されている。
 


以上、今回は、誰でもわかるやさしい経済学を解説させてもらった。


ロボトミー手術やアスベスト建築、または水銀を河川にダダ流しにする行為は「危険で害悪だから」禁じられたが、なぜか、不況を演出し人々を困窮においやる危険な「貨幣数量説」にもとづく「緊縮財政」は誰も止めない。

昭和で時間が止まってしまった自民党やマスコミは、いわばいまだにロボトミー手術やアスベスト建築を進めるような危険な存在なのだ。


こういう話を理解していないド緊縮で新自由主義者の自民・公明・維新に参院選で投票すると、日本がもっとぶっ壊れることになる。

そして、アホなことを言ってる昭和脳のマスコミや三浦瑠璃、ひろゆき、アトキンソンなんかの話は聞かないことが大事だ。

絶対に予言が当たらないこういう財務省の御用学者の言うことも本気にしないことだ。なぜならウソだからだ。
 

バカを日本社会から駆逐し、日本を取り戻そう。



cargo