アイルランドの議員が欧州議会で「制裁や武器供与では戦争は止められない。両国や欧州の人々を苦しめるだけ。米国のイラク侵攻は批判せずにビジネスを続けるNATOはウクライナで戦争ビジネスをしたいだけ。話し合いで戦争を止めるべき」と、Youtubeでは検閲されそうな正論。https://t.co/Byw6joTeX0
— cargo 💴💶💵🌹🐾 (@cargojp) April 23, 2022
欧州ではコロナ禍の影響によるインフレだけでなく、ロシアに対する経済制裁の影響で電気代などのエネルギー価格がおよそ1.5倍に上昇し、市民が苦しんでいます。
日本では25年間の不況に続きコロナまで来て、そのうえ戦争まで起きてしまった状況にあります。
この3年間でやった政策が消費増税や社保料アップ、それに激ショボの財政出動です。
その結果、コロナや経済制裁によるコスト主導型インフレだけでなく、円安による輸入物価の高騰も重なり、欧州以上の苦境に陥るかもしれません。
日本のインフレは、見かけ上のCPIやコアコアCPI以上に実態が悪くなっているのではないかとの疑念もあります。
需要の戻ってきた他国に比べて、日本では消費活動が戻りません。
人々が消費をしないのだから企業も儲からず給料も上がりません。コアコアCPIも上がりません。
図:日銀統計「消費活動指数」よりcargoが加筆
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cai/cai.pdf
① 主流メディアや自称識者の間違った貨幣観
② ノーベル経済学者とMMT学者の「利上げに代わるインフレ対策」
③ フランス政府と大統領候補のインフレ対策
インフレや円安対策をするのが目下の政治課題です。
ここで問題になるのが間違った認識を大声で発する大本営メディアや自称識者の皆さんです。
「財政出動したらお金の量が増えてモノの価値が上がる。物価高の現在はこれ以上財政出動できない」
「財政出動して市中に円をいっぱい出すと、ドルに対して円の価値が下がって余計に円安になる」
こんな具合です。
ミッチェルが本物のインフレと言ってたのは「賃金上昇を伴うインフレ」のことですね。
— cargo 💴💶💵🌹🐾 (@cargojp) April 21, 2022
明石先生はインフレの質を理解しておられない。
賃金上昇を伴わないコストプッシュ型インフレ(エネルギー価格上昇等)の場合は、その軽減のため供給能力を高める向きの財政支出をしなければならないのですね https://t.co/6FJdgVAWcw
明石先生の「ネオリベ的誤り」は、既に2020年には完全論破していますので、ぜひ以下を参考にしてください。
財政出動するだけで即インフレになるわけではありませんし、QEや財政出動で円を作ったからといって円安になるわけでもありません。
円安は景気が良くなれば自然と適正レベルに調整されます。
景気が戻らないと、日本の価値はどんどん安くなり、さらなる衰退化の道を進むことになります。
インフレを抑えながら景気を良くするためには、供給能力を高める向きで財政出動する必要があります。
世界では、何が話し合われているのかも見てみましょう。
ノーベル経済学賞受賞者17名
「供給力を強化する財政支出は、長期的にはインフレ対策になる」
「バイデンのインフラ投資政策は、長期的な経済キャパシティの拡大に投資し、より多くの米国人が経済に生産的に参加する能力を高めることになるため、長期的なインフレ圧力を緩和することになる」
▼ cargo ブログ記事 「ノーベル経済学者17名『バイデンの巨額予算は逆にインフレを低減させる』」より
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12715017153.html
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ジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞):
インフレ懸念を理由にこのインフラ投資を行うべきではないという意見もあるが、この見方は近視眼的だ。
これらは重要な供給サイドの対策である。
たとえインフレ率が2%であろうと5%であろうと、安全な校舎や橋梁、そして手頃な価格の子供と高齢者のケアを拡充させることは必要である。
クリストファー・シムズ(ノーベル経済学賞):
バイデンのインフラ法案パッケージは、もし税収を上げるための措置の一部が削減されたとしても、供給サイドの影響によって「長期的なインフレ圧力」を軽減するだろう。
▼ cargo ブログ記事 「ノーベル経済学者17名『バイデンの巨額予算は逆にインフレを低減させる』」より
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12715017153.html
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もう少し具体的にどのようなインフレ対策があるのか、MMT派の学者の意見を見てみましょう。
【各MMT論者のインフレ対策のアイデア】
ステファニー・ケルトン:
助成金等で、製造業の国内回帰を促し製造能力をより積極的に高める、国内サプライチェーンの強化を進める。
ランダル・レイ:
合理的に抑制されたインフレと高い雇用で総需要を維持するための財政政策を講じる。
供給側への支出を増やし、サプライチェーンを拡大する。
化石燃料の使用をやめ、エネルギー効率を高め、代替エネルギー源を促進する。
ジェームズ・ガルブレイス:
エネルギー価格の安定化、投機家の取り締まり、港湾業務の目詰まりの解消、そして切実に必要とされる賃金の引き上げが主に最低賃金の労働者に確実に行き渡るようにする。
▼ cargo ブログ記事「利上げしない! MMT派のインフレ抑制方法」より
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12726392531.html
( *「最新MMTがよくわかる本」著者、望月慎氏の推薦記事 https://twitter.com/motidukinoyoru/status/1492650880079839234 )
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「利上げという雑なインフレ抑制政策」より、的を絞った財政支出のほうがインフレ対策としては有効だということです。
利上げは「雑」どころが「害悪」になる部分の方が大きいのです。
アメリカの場合は、好景気で仕事も増え、需要も旺盛なため、利上げで熱さましする必要がありました。
アメリカに比べ景気回復の遅れているヨーロッパでは、ECBが利上げを拒否しています。
フランスでは明日24日に大統領の決まる決選投票が行われるため、このインフレ対策の議論が盛んにおこなわれてきました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220423/15/cargoofficial/09/14/j/o0900067515107054229.jpg?caw=800)
フランスの1月時点のインフレ対策のソース(IMF):
https://imf.org/en/Publications/CR/Issues/2022/01/25/France-2021-Article-IV-Consultation-Press-Release-Staff-Report-and-Statement-by-the-512171
上記以外でも、現政権は家計支援として食料品用クーポン月額€30~60の配布も予定(総額20億ユーロ)されているようです。
ガソリン税すら減税しない我が国政府の愚かな政策とはまるで違いますよね。
現大統領のマクロンは新自由主義者(第3の道)で財政均衡論者ですが、上記のように左派寄りの経済政策も行っています。今回の大統領選の公約の総費用は440億ユーロです。
対して決選投票の相手方、ル・ペンはインフレと給与収入に焦点を当てるキャンペーンを何ヶ月も行ってきたそうですので、経済対策がより充実しています。
【マリーヌ・ル・ペンの経済政策「お金と国を取り戻す」】
・エネルギー価格の上昇を抑えるためにロシアの石油とガスに対する欧州の制裁を阻止する(ロシアからの石油・ガス輸入を継続する)
・NATOからは脱退する
・ルペンは支出総額を€ 683億と提示するが、モンテーニュ研究所は€ 1,196億(16.62兆円)と見積もる
(€ 795億の新規支出、 € 401億の税などの強制徴収の削減)
ルペンは€ 550億を節約すると主張
モンテーニュ研究所は「財政の健全性の持続可能性に真のリスクをもたらす」と評価
・年金受給者の負担軽減(退職年齢を62歳から60歳に、支給額一ヵ月€1100に引き上げ)= € 377億
・家計の購買力を支援 =€ 315億
・移民と外国人への社会保障支出(-€ 69億)と公的医療支出(-€ 56億)を制限する
・燃料などのエネルギー製品の付加価値税を20%から5.5%に引き下げ
特定の基本的な商品の付加価値税を廃止する
(塩・コショウ・油・パスタ・衛生タオル・おむつ等100品目) = VAT減税で年間約€ 1000億
・€ 10万ユーロまでの家族向け無利子融資(第3子以降は補助金に変わる)=総額€ 126億
・30歳未満の人々は所得税を免除
・企業の競争力強化のための措置は、特に減税の形で、年間€ 198億
・10年ごとに最大€ 30万までの不動産相続を免除
・高速道路などの道路公団の再国営化(新しい国家基金を設立)
モンテーニュ研究所「マクロンも公的予算の負担を増やすだろうが、ルペンの計画は、マクロンのプログラムの総費用€ 440億と比較して、およそ€ 1010億の追加支出の予算を意味するだろう」
「2027年には赤字額を€ 1020億増やして7.1%の財政赤字が増加し、債務対GDP比率は123%になると試算」
*上記金額は、ルペンの提示額とモンテーニュ研究所の試算がごっちゃになってしまいましたが、大きくは変わらないはずです
ソース:
https://www.dw.com/en/france-a-le-pen-victory-a-burden-on-frances-budget/a-61509590?msclkid=c098eeb3c22b11eca3035fc08fe126a3
https://news.yahoo.com/frances-le-pen-promises-real-194157037.html?msclkid=14017e68c22c11eca4f3fc1774258c4b
https://www.bfmtv.com/politique/marine-le-pen-souhaite-la-suppression-de-la-tva-sur-un-panier-de-100-produits-de-premiere-necessite_VN-202204040151.html
https://www.reuters.com/world/europe/eyeing-win-inflation-debate-gives-le-pen-chance-lay-russia-ghosts-rest-2022-04-12/?msclkid=8cb1deabc23011ec825f5c08323c64ae
https://www.linkedin.com/pulse/france-economic-policy-roundup-14-april-embassy-of-ireland-france?trk=pulse-article_more-articles_related-content-card
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経済政策だけを見るとルペンを応援したくなりますね。
ル・ペンの企業・家計支援政策は国民人気は高いそうですが、メランションがルペンへの投票を控えるよう訴えているため当選は危ういということです。
メランションは一次投票では、マクロン、ルペンに肉薄する20%以上の票をおさえていました。
【フランス大統領選】
— cargo 💴💶💵🌹🐾 (@cargojp) April 11, 2022
・マクロン 27.6%
・ルペン 23.41%
今月24日に2人による決選投票が行われる。
ルペンに勢いがあり優勢と見られる。
メランションは約21.95%、ゼムールは7%だったhttps://t.co/pODbIvl9bkhttps://t.co/LT8f394h6u pic.twitter.com/uPbdQaqhQm
しかしもしルペンが大統領になれば、欧州は大きく変わるでしょう。
本格的なグローバリズムや新自由主義の終焉が訪れそうです。
他人の芝生は青く見えるといいますが、それにしても岸田の無能っぷりは酷いもんですね。
では、本日こんなところで。
また次回。
cargo