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前回の続きとなる。
作家の古谷経衡氏、東大講師の小泉悠氏、自民党・青山繁晴議員に対する反論だ。
(元駐ウクライナ大使の馬淵睦夫氏の行き過ぎた発言を修正する作業でもある)

反論を行う議題は、「ユダヤ人のゼレンスキーがネオナチを支援するわけない」、「ドンバスの虐殺なんかない」となる。
 

【目次】
① ゼレンスキー大統領のパトロンだったコロモイスキー
② ゼレンスキーの正体 - 汚職とネオナチ支援
③ ゼレンスキーの正体 - 対ロシア軍事挑発
④ 国会議員になった多数の極右・ネオナチ


大本営マスコミに出演する自称専門家らが適当なホラ話でプロパガンダを行っているため、間違いを正していかなくてはならない。

 

 

① ゼレンスキー大統領のパトロンだったコロモイスキー


コロモイスキーは、国営石油会社「UkrTransNafta」襲撃後、2015年3月にポロシェンコ大統領(当時)に知事を解任され、また所有する国内最大の銀行「Privat Bank」は汚職の容疑で強制的に国有化された。
さらにロンドンの裁判所に25億ドル以上の海外資産を凍結させられ、右腕のヘナディ・コーバンが殺人と誘拐の罪で逮捕された後、コロモイスキーは2016年にスイス、そしてイスラエルへと逃亡した。
https://www.politico.eu/article/volodomyr-zelenskiy-ihor-kolomoisky-the-comedian-and-the-oligarch-ukraine-presidential-election/

2021年3月、コロモイスキーは国務省から汚職を理由としてアメリカへの入国禁止処分も受け、2022年1月にはPrivat Bankを巡る汚職でFBIに起訴されている。



https://www.state.gov/public-designation-of-oligarch-and-former-ukrainian-public-official-ihor-kolomoyskyy-due-to-involvement-in-significant-corruption/?fbclid=IwAR0ggcVL95_o7nWzOgW1ppeI2qvj5jrv6_f84jH-0xw_JPT59hwggKZBmcI


https://www.justice.gov/opa/pr/united-states-files-civil-forfeiture-complaint-proceeds-alleged-fraud-and-theft-privatbank

バイデン大統領の息子ハンターが取締役を務めるガス企業「Burisma」の大株主がコロモイスキーであり、その関係を追及されることを恐れたバイデン大統領による「尻尾切り」だとも疑われている。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12732707757.html

また、コロモイスキーの汚職には元ヒラリー・クリントン顧問のダニエル・フライフェルドが関わるともされる。
http://www.reuters.com/article/bonds-privatbnk-ukraine-idUSL5N1110ZV20150827

バイデンは、流出したハンターのメールから、ショーキン検事の「Burisma」への捜査を辞めさせるために「ウクライナへの10億ドルの援助を打ち切る」と脅したとも伝えられる。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10444453/Marjorie-Taylor-Greene-claims-Biden-backs-Ukraine-dirt-Hunter-Biden.html


テレビドラマ「国民のしもべ」でエリートに反抗する大統領役で国民的人気を得て、2019年に現実の大統領になった経歴を持つゼレンスキーだが、このドラマを激押ししたのが、放映されるテレビ局の所有者だったコロモイスキーである。
驚くべきことに、このドラマは大統領選の3日前まで放映されていたという。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60543719

ポロシェンコに散々な目にあわされたコロモイスキーが放った刺客が、ゼレンスキーなのだ。
実際にコロモイスキーは、ゼレンスキーが大統領選に勝利した直後、ウクライナに戻っている。


2019年9月10日、コロモイスキーと会談するゼレンスキー大統領

高支持率の勢いをもって迎えた2019年7月21日に行われた議会選挙では、ゼレンスキー自身の新党「国民のしもべ党」は、424議席中240議席を占める圧勝をした。
ウクライナの議会選史上、初めて単独過半数を大きく上回る勝利で、現有議席ゼロから一気に与党第一党になったかたちだ。

しかし2020年には米国やオリガルヒからの圧力に屈し汚職撲滅の運動が失速し、また、経済政策もままならず、コロナ対策にも失敗(死者10万人以上)したことで、徐々に国民からの支持を失い、2021年初頭にはとうとう「国民のしもべ党」の支持率は28%に低下、ゼレンスキー自身への不支持率も56%に上った。
https://www.washingtonpost.com/world/europe/ukraine-corruption-zelensky-ryaboshapka-venediktova-trump-biden/2020/03/17/7dcab542-6636-11ea-912d-d98032ec8e25_story.html
https://globalriskinsights.com/2021/02/zelenskys-fall-from-grace/

 

 

② ゼレンスキーの正体 - 汚職とネオナチ支援

欧米や日本の市民は、プロパガンダ・メディアの洗脳工作によりゼレンスキーを善人だと勘違いしているが、彼は独裁者の一面も見せる。

2021年2月、最大野党を率いる親ロシアのメドベドチュク議員に関連する3つのテレビ局を閉鎖した。
これは言論の自由の権利を完全に侵害し、明らかに違法であった。

https://www.donbass-insider.com/2021/02/05/censorship-in-ukraine-zelensky-shuts-down-three-opposition-tv-channels/

加えて2021年5月にはテロ資金供与の疑いで、メドヴェドチュクとその妻をウクライナの制裁リストに含め反逆罪で起訴、自宅軟禁を強いた。

https://www.pravda.com.ua/news/2021/05/20/7294233/


さらに、「オリガルヒの汚職撲滅」を訴えて大統領選を勝ち抜いたゼレンスキーが、彼自身もコロモイスキーと汚職を行っていたことが明らかになった。

2021年10月、「パナマ文書」の後継となる「パンドラ文書」により、コロモイスキーから得た多額の資産を、ゼレンスキーがオフショア口座に隠していることが暴露された。
https://www.kyivpost.com/ukraine-politics/reactions-in-ukraine-to-pandora-papers-revelations.html

フィナンシャル・タイムスは「ゼレンスキーはコロモイスキーと共に米国のために”汚い仕事”をしていた」と伝える。
https://www.ft.com/content/57cfa2bd-834d-43bd-ba1c-20a1ba2b16f4

大統領就任当初90%以上あった支持率は、2021年10月には25%にまで激減(不支持は60%前後)していた。
https://www.statista.com/statistics/1100076/volodymyr-zelensky-s-approval-rating-ukraine/
https://www.abc.net.au/news/2022-02-12/ukraine-president-volodymyr-zelenskyy-facing-down-vladimir-putin/100801520


また、ゼレンスキーは大統領選で「ネオナチの軟化」を公約としていたが、それも失敗した。
失敗したどころか、ネオナチを支え続けた。

ゼレンスキーの新内閣は平均年齢が39歳、最年少の大臣がわずか28歳であり、ほとんどが公共部門の管理に不慣れであった。
ポロシェンコ政権からは2人の大臣が引き継がれたが、うち一人が、アゾフや右派セクターなどの極右・ネオナチを率いてきたアルセン・アヴァコフ内務大臣だった。
https://freedomhouse.org/country/ukraine/nations-transit/2020

公用語としてのロシア語を禁じ、ロシア語話者に対する差別を公のものとし、極右・ネオナチらを勢いづかせた。
このことはロシア側にECHR(欧州人権裁判所)に是正を求めるよう通告されている。
https://www.donbass-insider.com/2021/07/23/russia-files-a-complaint-against-ukraine-at-the-echr-for-the-donbass-odessa-maidan-and-mh17/

2021年12月1日、ゼレンスキーは、右派セクターの司令官Dmytro Kotsyubayloに「ウクライナ英雄」賞を授与。
https://focus.ua/uk/politics/499544-za-lichnoe-muzhestvo-zelenskiy-prisvoil-zvanie-geroya-ukrainy-dobrovolcu-pravo-sektora

また、アムネスティに戦争犯罪で糾弾されたアイダル大隊のマクシム・マルチェンコ大佐をオデッサの行政長に任命した。
https://twitter.com/KyivPost/status/1498958815710035968

さらにゼレンスキーは、14年の「オデッサの虐殺」に関与、複数の罪で有罪判決を受けたネオナチ「右派セクター」のセルヒ・シュテルネンコをオデッサの安全保障局責任者に任命。ドンバスへの弾圧を強めた。
なお収監されていたシュテルネンコはアメリカの支援を受け釈放されていた。
https://www.wsws.org/en/articles/2021/05/01/ukr-m01.html

さらには米国議会が歳出法に「アゾフへの支援を禁止する付帯条項」を織り込まれたことや、米国ローズ議員がアゾフをネオナチとして批判する書簡をポンぺオ国務長官に送ったことに対して、ゼレンスキーの国民のしもべ党が全力で批判、アゾフを擁護している。



ウクライナ随一の士官学校では、日常的にNATOやアゾフの士官を招き講演を行い、「アゾフの隠れ蓑」としての機能を充実させていた。



米国の歳出法における「アゾフへの支援を禁止する付帯条項」を無視するかたちで、アゾフへの武器供与を促し続けた疑いもある。



ユダヤ人であるコロモイスキーやゼレンスキーは、極右・ネオナチ系組織を支援していた。

東大講師の小泉悠氏の「ユダヤ人のゼレンスキーがネオナチを支援するわけがない」という発言は完全に誤りであった。「専門家」を自称するのはやめたほうがよいのではないか。

ゼレンスキーはネオナチを支援するばかりか、不必要な軍事的挑発を繰り返し行っている。

 

 

③ ゼレンスキーの正体 対ロシア軍事挑発

外敵の存在を強調することによって内国の政治不信を誤魔化す手法は、千年前から古今東西で行われている。
ゼレンスキーはロシアに対する過剰な挑発行為を繰り返した。



上記ケイトー研究所は米国の政策にも大きな影響を与えるシンクタンクである。
その彼らが、ロシア侵攻前の2021年11月に「好戦的な扇動」を行い、「無謀な対決」に打って出たとゼレンスキー政権を評価している。

さらには「米国が、ウクライナとロシアに戦争をさせようとしている」ともとれる忠告を行っている。

米国に尻尾切りをされたコロモイスキーも同様に「米国は、ロシアとの戦争を強要した」と発したほか、19年10月には「アメリカは、地政学的ライバルを弱体化させるために、ウクライナを利用してロシアに対する戦争をしかけたい」と述べている。

米国の工作員だったと言っても過言ではないコロモイスキーの発言は重い。

 

下の画像は100年前の有名な風刺画だ。
「日本」を「ウクライナ」に置き換えると、米英が何をやってきたか想像できるだろう。

 

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【ゼレンスキーのロシアに対する軍事的挑発(ポロシェンコ時代からの引継ぎも含む)】

・停戦協定となる「ミンスク合意」を履行しないと宣言し、再三覆そうとした。

憲法に「NATOへの加盟努力義務」を書き込んだばかりか、ドネツク・ルガンスク・クリミアの独立を禁止する法律を作り、さらに外国軍駐留を許す法律を作った。

・NATO加盟国との軍事演習を何度も実施し、ついには2021年に米英と史上最大の軍事演習を行う。さらに2022年に10回のNATO加盟国との軍事演習を行うと宣言した。

・軍事費を3年で1.5倍にしたほか、軍隊を20万から30万人に1.5倍に増やす計画も発表した。

・米英カナダから軍事顧問を派遣させ何度も訓練を受けさせ、士官学校には常習的にアゾフ士官を講師に招き、スヴォボダ在籍の元教育大臣らには8歳から15歳の少年少女を軍事訓練させた。

・ネオナチ警備隊C14には警察と協力のうえロマ人キャンプを焼き払わせた挙げ句、勲章と支援金を与え、アゾフや右派セクター、アイダルを表彰した。

・2021年3月14日、ゼレンスキーはクリミアに侵攻すると宣言。南東部に10万の兵を招集した。

・トランプ政権下の議決、バイデン政権の執行により米国産ジャベリンミサイルを360基配備し、米国産MkⅥ哨戒挺も10隻配備するなど累計27億ドルの軍事支援を受け軍備を増強した。

・ロシア領海を侵犯し挑発したほか、ミンスク合意違反となるドローンを配備、2022年2月16日、1万回以上の砲撃によりドンバスへの攻撃を再度激化させた。
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以下の公的資料からわかるように、米国はウクライナの内戦、そして対ロ軍事挑発を全力でプロデュースした。
ウクライナ側もマイダン革命後に、軍事費をなんと3倍にしている。たった8年で軍事費を3倍にした国が第二次世界大戦後の世界に存在するだろうか?(中国でさえ10年で2倍だ)







自称専門家の小泉悠氏や、大本営マスコミに騙されてゼレンスキーを絶賛する者、そして国会でスタンディング・オベーションを送った愚かな国会議員たちは、ゼレンスキーの正体を理解しているのだろうか。


ロシアは侵攻の理由のひとつとして、同盟国ドネツク・ルガンスク共和国との集団的自衛権と自国の存立危機事態を挙げている。
ロシア側のロジックでは、これは国連憲章第51条に依拠する軍事行動となる。ウクライナ側の砲撃が激化したことによりドンバスの二つの共和国がロシアに救援を要請したためだ。プーチンはもう無視できなかった。
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国連憲章 第51条〔自衛権〕
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/i/un/51.htm
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3月7日のプーチンの声明も興味深い。
 
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プーチンの声明 2022/03/07
https://thesaker.is/extremely-important-statements-by-putin-must-see/

(前略)
事実として問題は、残念ながら西側諸国によって強力に支持されたウクライナでの憲法違反のクーデターの後、私たちが直面したことだ。
彼ら(*筆者注:アメリカのこと)は、マイダンに配られたクッキーなどは言うまでもなく、ウクライナに50億ドルを費やしたという事実を隠してさえいない。
(中略)
クリミアの人々は住民の総意で投票し、ロシア連邦に戻るよう決定された。当然のことながら、彼らは超国家主義者やネオナチから危険にさらされていたため、私たちはその決定を支持せざるを得なかったのだ。
(中略)
ドンバスでは、…クーデターの結果に抵抗する人たちが迫害された。
キエフ新当局はその領土で軍事作戦を開始し、重量級兵器や戦闘機を使った大規模な懲罰作戦を2回実施した。
ドネツクを直接攻撃し、戦車と大砲を使い、軍事航空機で街の広場を破壊したのだ。
…その後、いわゆるミンスク合意…が締結されたが、この合意は、紛争の平和的解決のための道筋を示すものであった。
(中略)
ドンバスの人々は野良犬のように、13,000人から14,000人が殺された。500人以上の子供たちが殺され負傷したのだ。
しかし、特に耐え難いのは、いわゆる「文明化された」西側諸国が、この間、この事実を逆の見方で捉えてきたことだ。実に8年ものあいだだ!
(中略)
さらに、キエフ当局は、ミンスク合意を履行するつもりはない、と公然と言い始めた。
(中略)
私たちは、ウクライナの領土を回復し、領土に住む人々の利益を守るために、ミンスク合意の軌道に導くためにできる限りのことをした。
ドンバスの人々は何を要求したのだろうか? 母国語であるロシア語を話す権利、伝統や文化を維持する権利など、基本的なものばかりだ。
これらは決して特別な要求ではない。
ところが逆のことが起こった。
ドンバスは経済封鎖され、銀行システムから切り離され、食料の供給が停止され、年金や社会扶助の支給が停止された。
(中略)
もしウクライナがNATO加盟国となって、そして軍事衝突があった場合は、NATO条約により他の加盟国はウクライナを支援しなければならない。
私たち以外には、クリミアをロシア領と認めている者はいないため、現在、ドンバスで展開されている軍事作戦がもしクリミアにも拡大すれば、我々はNATO全体と戦わなければならなくなるのだ。

(中略)
そして今、ウクライナは核保有国としての地位の獲得、つまり核兵器の開発についても話し合っている。西側諸国がロシアに対してどのような態度をとっているかを考えれば、これを無視することはできない。
(中略)
我々の目的はすでに述べたとおりだが、第一に、ドンバスに住む人々を保護することだ。
それはウクライナの非武装化、非ナチ化、そして中立の地位を確立することで実現される。
なぜか?なぜなら、中立の地位とは、ウクライナがNATOに加盟しないことを意味するからだ。いまやウクライナ憲法には「NATOに加盟する」と書いてあるのだ。
(中略)
非ナチ化とはどういう意味か?「過激な民族主義者もいるじゃないか」と言うだろうが、ウクライナ政府にナチがいることは誰もが認めるところだ。
鉤十字を付けて走り回る愚か者を、どうやったら政府レベルでサポートできるのだろうか?
1930年代にナチスドイツで起こったように、ウクライナでは何千もの人々が松明と鉤十字を掲げて行進し、…それが支持されている。もし戦時中だったら、何万ものロシア人やユダヤ人、ポーランド人を殺した人たちを支持するのだろうか?彼らを英雄として称えるだろうか?
しかし、ウクライナではそれが現実に起こっているのだ。
・・・・・・・

ウクライナがもしNATOに加盟し、クリミアに攻撃を始めたら、ロシアはNATO全体と戦わねばならなくなる、というロジックは理にかなっているし、その前になんとか止めなければならなかった、国家の存立危機事態であったという思考も理解できなくはない。

ゼレンスキーによるNATO加盟路線とドンバス攻撃の激化を見過ごせば、本当の危機がやってくるのは確実だった。
そのために米国は27億ドルもの軍事支援を行い、最新の兵器を揃え、ウクライナも軍事費を8年で3倍にしているのだから脅威でしかなかっただろうし、ロシアは自衛のための最後の契機と見た可能性が高い。

ゼレンスキーはそのような自滅的な軍事エスカレーションを米英連合と二人三脚で行っていたのだ。

 

 

④ 国会議員になった多数の極右・ネオナチ

さて、ロシア批判者の「ゼレンスキーはユダヤ人だからネオナチを支援するわけがない」とするロジックは看破された。
加えて、ロシア側が侵攻理由とした「政権の非ナチ化」の根拠も多数存在した。

極右・ネオナチ系志願大隊の所属する警察機構を管轄する内務省の大臣アレクセイ・アヴァコフを中心として、政権の中枢まで極右・ネオナチは浸透している。これは先述した国際機関の報告書でも確認できる。

特に2014年のマイダン・クーデター後の2014年3月に発足したヤツェニュク暫定政権では、スヴォボーダ党は37議席を堅持したが、これ以降に大臣や国会議員になった主たる極右・ネオナチを以下に提示する。
(*2014年・2019年の総選挙で議席を失った者も含む。日本語読みが不明な人物は英語表記のままにした)

 

・・・・・・・
【国会議員になった多数の極右・ネオナチ】
・アレクセイ・アヴァコフ(内務大臣、アゾフの後見人、他のネオナチ系大隊を警察機構に招聘した)
・オレクサンドル・シチ(副首相、スヴォボーダ)
・イホル・シュヴァイコ(農業大臣、スヴォボーダ)
・アンドリー・マフニュク(環境大臣、スヴォボーダ)
・イホール・テニューフ(国防大臣、スヴォボーダ)
・オレフ・マフニツキー(検事・司法総長、スヴォボーダ)
・ルスラン・コシュリンスキ(国会副議長・スヴォボーダ党の副党首)
・アンドレイ・パルビイ(国家安全保障・国防会議議長、ウクライナ社会民族党・元党首)

・アンドリー・ビレツキー(議員・アゾフ大隊/National Corpsのリーダー)
・オレフ・チャフニボク(議員・スヴォボーダ党の党首)
・オレフ・リャシコ(議員・ラディカル党党首)
・セメン・セメンチェンコ(議員・ドンバス大隊のリーダー)
・オクサナ・コルチンスキー(議員・ラディカル党、UNA-UNSO=現右派セクターの元リーダー・コルチンスキーの妻)
・ボリスラフ・ベレザ(議員・右派セクターの広報官)
・セルヒイ・メルニチュク(議員・アイダル大隊司令官)
・ユーリー・ベレーザ(議員・ドニプロ大隊のリーダー)
・イホル・モシイチュク(議員・元スヴォボダ党員)
・Oleh Osukhovskyi(議員・スヴォボーダ)
・Yuriy Bublyk(議員・スヴォボーダ)
・Oleh Makhnitskyi(議員・スヴォボーダ)
・Andriy Ilyenko(議員・スヴォボーダ)
・Mykhailo Holovko(議員・スヴォボーダ)
・Yuriy Levchenko(議員・スヴォボーダ)
・Igor Miroshnychenko(議員・スヴォボーダ)
・Pavlo Kyrylenko(議員・スヴォボーダ)
・Eduard Leonov(議員・スヴォボーダ)
・アンドレイ・アルテメンコ(議員・ラディカル党)
・ナディヤ・サフチェンコ(議員・エイダル大隊の元教官)

・ヴァディム・トロヤン(内務省副大臣/キエフ警察庁長・アゾフ大隊副司令官)
・マクシム・マルチェンコ(オデッサ行政長・アイダル大隊大佐)
・セルヒ・シュテルネンコ(オデッサ安全保障担当・右派セクター支部長)
・ドミトロ・ヤロシュ(ウクライナ軍参謀顧問・元右派セクター党首)

出典:
https://ua.112.ua/interview/ya-vvazhala-shcho-dmytro-korchynskyi-iedynyi-khto-mozhe-staty-deputatom-u-nashii-rodyni-223680.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Ruslan_Koshulynskyi
https://en.interfax.com.ua/news/general/193035.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Oleh_Tyahnybok
https://en.wikipedia.org/wiki/Right_Sector
https://en.wikipedia.org/wiki/Yuriy_Bereza
https://www.globalresearch.ca/us-natos-ongoing-support-neo-nazis-ukraine/5674577
https://marktaliano.net/the-alarming-rise-of-ukraines-neo-nazi-mps-since-the-2014-pro-democracy-revolution-by-shane-quinn/
・・・・・・・

2014年・2019年の選挙でスヴォボーダ・右派セクター・アゾフ出身の議員は激減した。
このことを理由として、ウクライナのネオナチは統制されたと発する自称識者がいるがそれは間違いである。
 
ゼレンスキーの「国民のしもべ党」がアゾフを擁護した例が示すように、ラディカル党などを含む新たなネオナチ・シンパも現れたのだ。
 
そして、問題は国会議員の議席数だけではない

2014年当時、わずか300~500人程度だったアゾフはNational Corpsとなり国家警備隊として正式編入され、構成員も最大10000~15000人に。同じく国会警備隊や国境警備隊、特別国家警察等として編入されたドニプロ大隊は2000~10000人に、並んで国家組織となったアイダルやドンバス大隊も数千~7000人規模になった。
https://en.wikipedia.org/wiki/National_Corps
https://news.yahoo.com/ukraine-soldiers-government-were-coming-next-155843129.html

軍事組織を擁するスヴォボーダは最大20000人に、同様に軍事組織を持つ右派セクター(元UNA-UNSO/Tryzub)も10000人に拡大した。
https://zaborona.com/pravyj-ta-shche-pravishyj-iak-radykaly-razom-z-sbu-ta-mvs-peretvoriuiut-ukrainu-na-mafiozne-boloto/


2021年、国連における「(ネオナチズムを含む)人種差別の撤廃」に関する決議案には、世界130カ国が賛成するなか、なぜかアメリカとウクライナだけが反対票を投じている。
https://www.un.org/press/en/2021/ga12396.doc.htm



米欧日のプロパガンダを鵜呑みにし、「ネオナチなんかいない!いてもたいしたことはない!」と騙されている人は、考えを改めるべきだ。
最後に、米国の政治専門誌「THe Hill」の記述を引用する。




さて、次回からは「ドンバスの虐殺」の個別の事件を扱っていく。
それぞれの事件を、できる限り公的資料をもとに解説する。
(長文必至である。 笑)


ではまた次回。

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