先日、当ブログにて「ロシア視点でのロシア-ウクライナ情勢」を語ったが、5万を超える多くのアクセスがあった。

おそらく私のスタンスを勘違いされた方もいるだろうから、ここで捕捉したい。
私は、あくまで「ロシア視点」を提供したに過ぎない。

そのうえで私が投じたのは、「ロシアの視点が正しい」という主張ではない。
主に以下の三点である。

①戦争反対
②ロシアの侵攻に関して評価はしない
③「大量破壊兵器がある」などのデマによってイラクで100万人を殺害させた米英仏政府・主流メディアのプロパガンダには注意が必要だ


もちろん私は親ロシア派なので最大限の擁護はする(かといって反ウクライナでもない)が、戦時下では当事国双方のプロパガンダ合戦が行われ、何が事実なのか掴むことは非常に難しいことも確かである。

私は「ロシアの侵攻を非難」まではできない。ドンバスで虐殺されている人々のことを思うとあまりに不憫すぎてできない。ここは国連決議でいうところの「棄権」を選択したい。
とにかく一刻も早くロシア・ウクライナ軍双方が撤退し、国連等が調停することを望む。

【目次】
・ プロパガンダの見方
・ 世界を二分する「情報マトリックス」と欧米の情報統制
・ 欧米が隠したいもの、OSCEによる「ウクライナ政府のネオナチ化」報告
・ ロシア国営「RT」のプロパガンダ
・ ネオナチの正体 - スヴォボーダ・右派セクター(UNA-UNSO)・国民兵団(アゾフ大隊)
・ ドンバスの虐殺(映像・画像資料のリンク)
・ アメリカ民主社会主義者(DSA)とれいわ新選組の声明

 

プロパガンダの見方


例えば以下の記事は、2017年1月の私のブログだが、2016年のノーベル平和賞の最有力候補にノミネートされた「ホワイトヘルメッツ」に関して「正確に真偽の判断を行うことなど不可能に近い」と言及するにとどめている。

欧米側や主流メディアの主張は「ホワイトヘルメッツはシリア内戦において戦闘の被害者を救出、救援すべく作られた市民による非営利団体」であった。
一方で、ロシア側やオルタナ派による主張は「ホワイトヘルメッツは、欧米に資金援助され、ISISと協力するテロリスト集団」である。

▼ White Helmetsの有名な少女救出写真は、逆にオルタナ派の捏造?

 

多くの日本人は、ノーベル平和賞にノミネートされるような団体が、別の視点からは「テロリスト」だなんて言われているとは夢にも思わないだろう。
しかしそういった現実感は確かに存在するのだ。

だから事実を追い求めることは重要であっても、私は「少数派の現実感」に着目する。
「少数派の現実感」は必ずしも事実とは限らないが、それでも彼らにとっての現実であり、世界の99%がそれを「デマ・陰謀論・プロパガンダだ」などと言って、被害を受けた側の感覚を上から批判することが正当であるか疑問だ。

だから私は少数派である「ロシア側の視点」を提供する。
少数派の意見がないがしろにされると、100万人を殺したイラク戦争の二の舞になりかねない。

現在の欧米・日本の主流メディアの報道は、少数派の意見をないがしろにしていると判断する。
私は、とても危険な状態だと判断している。

 

 

世界を二分する「情報マトリックス」と欧米の情報統制


先日のブログでも触れたように、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)( https://www.ohchr.org/Documents/Countries/UA/Ukraine_14th_HRMMU_Report.pdf )や、世界最大の国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」( https://www.amnesty.org/en/wp-content/uploads/2021/06/eur500402014en.pdf )は、「ウクライナ政府軍や(ネオナチとされる)有志大隊による多数の残虐行為を人権侵害として報告、ウクライナ政府に責任があると批判」している。

これらはデマや陰謀論、プロパガンダだろうか?
事実である可能性が極めて高いのだ。

それなのに、欧米日政府や主流メディアは、”国際社会”において信頼度の高い国連やアムネスティの報告までまったく無視して「ロシアが悪い」「ロシアが侵略した」の大合唱である。
だから、私は「少数派の視点」に立つのである。

プーチンだってオリガルヒのアブラモビッチを飼いならしたり、逮捕したオリガルヒの金を盗んで豪邸を建てたり悪い事をしてるし、ロシア政府も当然ながら嘘をつく。
再度言うが、「ロシアが全面的に正しい」などと言うつもりはない。

欧米視点のニュースなどは、例え耳をふさいでいても、勝手に大声でがなり立ててくるので、自然と知ることができる。
でも、逆側の小さな声は、注意深く耳をすましていないと届かないのだ。
世界の片隅で、”人権を重視する”欧米様の無視する場所で、虐殺されている人々の小さな声は届かないのだ。

MMTの話だって、注意深く耳をすましていなければ届かなかっただろう。
だからこの作業はとても重要なのだ。


◇◇◇◇◇◇◇
 


そして今日、欧州のYoutube、インスタ、FB、TikTokが、スプートニクとRTを遮断した。
https://sputniknews.com/20220301/google-says-blocks-youtube-channels-connected-to-sputnik-rt-in-europe-1093473243.html
https://sputniknews.com/20220228/instagram-accounts-of-sputnik-restricted-around-europe-1093462570.html

チェコでもスプートニクをブロック。
https://sputniknews.com/20220301/sputnik-czech-republic-no-longer-accessible-in-the-country-1093469616.html

上記はスプートニクの記事だが、欧米側はロシアの主張には耳を貸さず、一切を遮断する方針である。
こんなのが民主主義と言えるのだろうか?
市民の「知る権利」や「言論の自由」を奪い、検閲する者たちが、民主主義国家なのだろうか?


世界には大きくわけて二つの「情報マトリックス」(情報包囲網)がある。
欧米側と、露中アラブ側だ。

私たち日本人は、米国の実質的植民地に住んでいるので、普段は欧米サイドの言い分しか目にできない。
ネットで頑張って検索しない限り反対側、つまり露中アラブ側の言い分を見ることができないようになっている。
マトリックス内に住んでいるのである。

私たち日本人は、レバノンの家庭に置かれたテレビで毎日何が報道されているのか、内容をまったく知らない。
彼らの「現実感」をまったく知らないのだ。

 

 

欧米が隠したいもの、OSCEによる「ウクライナ政府のネオナチ化」報告


では、欧州はいったい、RTやスプートニクのどのような報道を遮断したいのだろう。
これは2014年6月2日にウクライナ政府軍が初めてドンバスを空爆し、民間人約30名を死傷(死者8名)させた時のRTの映像だ。

▼ GRAPHIC: Aftermath of missile attack at Lugansk admin HQ

(*追記: このブログを書いた直後、日本のYoutubeでもRTがブロックされたようだ。Way Back Machineで復元したものがあるので観たい方はこちらで 

 RT社に直接問い合わせたところ、「

You can watch RT International on Rumble platform here https://rumble.com/vwbbjn-putin-announces-special-operation-in-donbass-special-coverage.html or Odysee stream here https://odysee.com/@RT:fd/RTlivestream:8

Or here is the mirror website to rt.com https://swentr.site/ 」と教えてもらった。)


この時、ウクライナのクーデター政権と欧米メディア側は「反乱軍のグレネードランチャーによる攻撃で民間人が死んだ」と主張していたが、後にウクライナ軍の戦闘機による空爆だと判明した。

当時のクーデター政権のトゥルチノフ大統領代理は「ウクライナ空軍はそこで反乱軍の作ったバリケードに空爆を行い、ルガンスク地域の部隊を攻撃した」と成果をアピールしていたことがわかったのだ。
https://www.kyivpost.com/article/content/ukraine-politics/heavy-fighting-in-eastern-ukraine-as-government-restarts-active-phase-of-anti-terror-operation-350453.html

欧州安全保障協力機構(OSCE)の報告でも「ウクライナ軍の空爆の可能性が高い」と結論づけられている。
http://www.osce.org/ukraine-smm/119479

RTがこのような映像を撮って、報道してくれなかったら事実を検証できなかったかもしれない。
こういった自陣に都合の悪い報道機関を遮断して、いったいEUは何がやりたいのだろうか?
極めて大きな疑問を感じずにはいられない。


◇◇◇◇◇◇◇

ドンバス地方(ドネツク州・ルガンスク州)で何が起こっていたのか。
おそらく、インテリ・バラモン様は、スプートニクやRTの記事を引用しても「デマだ」「陰謀論だ」「プロパガンダだ」と因縁をつけるので、”国際社会”において信頼度の高い公的機関の資料から引用しよう。

 

・・・・・・・
欧州安全保障協力機構(OSCE)
「XENOPHOBIA, RADICALISM AND HATE CRIME IN EUROPE(欧州における外国人排斥、急進主義、ヘイトクライム)」2016年 報告書(2017年9月14日作成)

ウクライナにも問題が残っている。同国南東部の内戦とロシアとの対立である。
2014年の政権交代後、ネオナチの思想を持つ戦闘組織の代表が権力機構に浸透してきた。
第二次世界大戦中の(ナチスドイツへの)協力者の美化に基づく、ウクライナ当局の新しいイデオロギー的ドクトリンの採用である。
これらすべてが、経済問題の深刻化を背景に、社会の過激化の前提条件を作り出した。
これらの要因が相まって、少数民族や過激派に対する監視国ウクライナの政策と執行慣行が決定された。
(P.5)

(中略)
ウクライナでは、有名な右翼団体の多くが、政府に近い政治家によってコントロールされている。
例えば、ウクライナの専門家によれば、アゾフ義勇軍を母体に作られた国民軍団党(National Corps party)は内務大臣A・アヴァコフが直接支配しており、右派セクターは元ドニプロペトロフスク州知事のI・コロモイスキーが支配しているという。
これらの組織は組織内に武装部隊を持ち、容易に大衆行動を組織することができ、必要であれば後援者がそれを利用する。
(p.68)

(中略)
ウクライナの過激派グループの他の収益については、その多くが政治体制の指導者から資金を受け取っている。
ドネツクのジャーナリストで「ユーロマイダン」の活動家でもあるArtem Furmanyuk,によれば、「国民軍団(National Corps)」は内務大臣Arsen Avakovの完全な支配の下で活動しており、アゾフ連隊は(クーデターを成し遂げた)人民戦線の指導者の「私兵」であるという。

そのため、これらの組織には快適な生活が提供されている。例えば、「国民軍団(National Corps)」は、ドンバスと国内の他の地域の企業の安全を確保し、内務大臣グループの財務・経済活動を強制的に維持するために提供している。(http://sled.net.ua/node/35522)
「右翼セクター」については、その資金調達について様々な噂がある。
「右派セクター」の「収益」については、クリミア封鎖の際、急進派がクリミアへのトラック通過のために金を取ったエピソードを挙げることができる。(http://politobzor.net/show-65466-pravyy-sektor-reket-pod-blagorodnym-predlogom.html)
(p.73)
https://www.osce.org/files/f/documents/4/9/341891.pdf
・・・・・・・


はっきり言ってOCSEでさえも、オレンジ革命に資金提供した過去の事実があるので、まったく中立であるとは思えない。
しかし、彼らの”控えめな”表現であっても、ウクライナ政府自体がネオナチズムに侵されており、ネオナチのアゾフ大隊はウクライナ政府により公的に管理され、そしてオリガルヒのコロモイスキーが支配していることを伝えている。

私が先日指摘したように、アゾフの資金提供者がコロモイスキーであることは、RTが2014年9月にOSCEに先んじてすっぱ抜いていたのだ。
https://www.rt.com/news/185708-nazi-symbols-ukrainian-troops/

ちなみにコロモイスキーはアゾフの他にも、「アイダル(Aider)」「ドンバス(Donbass)」「ドニエプル(Dnepr)」といった有志武装大隊も作ったという。
Aider Battalion(アイダル大隊)は、上掲したアムネスティの2014年の報告書で「数十もの虐殺を行っている」として糾弾された有志ネオナチ部隊だ。
こういった報告書も、ロシア政府が「調査してくれ」と何度も頼んで、やっと出てきたものだ。

ここに、RTによって、「アムネスティにアイダ―大隊が糾弾された」ことを伝える2014年09月11日の映像がある。
(*拷問の映像が少しあるので閲覧注意)

(*追記: このブログを書いた直後、日本のYoutubeでもRTがブロックされたようだ。Way Back Machineで復元したものがあるので観たい方はこちらで 

 

再度指摘するが、このような貴重な情報を発信するロシアの報道機関をアクセス遮断するEUは、都合の悪いことにフタをするようにしか思えない。

 

 

ロシア国営「RT」のプロパガンダ


さて、こちらの動画はつい先日アップされたドキュメンタリー、というかRTのプロパガンダビデオだが、のどかだったドンバスの村々にウクライナ軍が毎日のように砲弾を撃ち込み、スナイパーが民間人を狙い撃ちしているようにしか見えない。

息子や親族を殺された老人、小学校への砲撃によりクエラスメイトを殺された少年、親族5人が殺された地下に住む老婆、シェルターとしていた小学校が爆撃され大勢の子供が死んだと伝えるNGO職員、「地域を占領した民兵を支える”民間人”も犯罪者であり罰を与えるべきで自業自得だ」と語るアゾフ大隊の民兵、殺害された120人の子供の慰霊碑を訪れる捕虜となったウクライナ有志大隊の指揮官、その他いくつもの証言が記録される。

2022/02/25 Donbass: The Grey Zone. Life in the frontline villages | RT Documentary

(*追記: このブログを書いた直後、日本のYoutubeでもRTがブロックされたようだ。Way Back Machineで復元したものがあるので観たい方はこちらで 

http://web.archive.org/web/20220227054933/https://www.youtube.com/watch?v=Kc7P6j6og4  )

「人権」を重んじるはずの国連やEU、アメリカ、OSCE、アムネスティがこれらを無視することはできないだろう。
それともロシアが村全体を映画のセットのように作って、自分で砲撃してるシーンを撮っているだけだとでも言うのだろうか。
独立派の反乱軍の砲撃を、ウクライナ軍がやったように見せかけているだけだとでも言うのだろうか。

もちろん、ロシア側に都合の良い者だけにインタビューして証言を聞き出しているということも十分にありうる。というか普通ならそうする。停戦ラインの向こう側では反乱軍側の攻撃による民間人の死者も出ているだろう。

しかし、ウクライナ政府軍とドンバスの反乱民兵では、あまりにも戦力が違い過ぎることは誰の目にも明らかだろう。たとえロシアが武器や兵力を援助していたとしても、ドンバスの反乱軍側には爆撃機や戦闘機は存在せず、戦車や装甲車の数は圧倒的に劣るのだ。
結果として、不確定ではあるが、ドンバスの独立派側は民間人を含め、ウクライナ側の2~5倍ほどもの死者を出している。


息子の妻の死体を見つけ叫ぶ老人


孫(?)の死体を見つけ泣く老女


殆ど廃墟のようになった自宅の庭で、薬莢(Utyos=NSV-12.7 mm machine gun)で遊ぶ子供の姿が悲しい。
いずれも”プロパガンダ映像”としては最高の瞬間ではあるだろう。

下記の動画は2018年のViceによる、ドンバスの停戦ラインのウクライナ側から有志軍に密着取材した際のものだ。

▼ Out of Control: Ukraine's Rogue Militias (制御不能:ウクライナのゴロツキ民兵)


元大統領代理で現軍司令官・国土防衛大臣のトゥルチコフは「有志大隊はもういない。正規軍だけだ」と言うが、有志軍は通常営業しており、基地として使用する建物の壁には「ヴォルフスアンゲル」のマークが書かれていた。
ナチス親衛隊やスヴォボーダ、アゾフ大隊などのネオナチ組織が使用したシンボルだ。





(1枚目:赤い塗料で壁に描かれたマーク、2枚目:他の基地での銃撃戦を行う兵士の左側)

先日の拙記事でも触れたが、2018年は死者数も少なくなり戦況がかなり膠着に向かっていた時期であった。
Viceの動画の最後半、キエフでは反ロシアの大規模な集会にネオナチ系のスヴォボーダ党、National Corps(国民兵団)、右派セクター党などの有志大隊が大集結していた。
 

 

 

 

ネオナチの正体 - スヴォボーダ、右派セクター(UNA-UNSO)、国民兵団(アゾフ大隊)


上記集会に集結していた組織が何者なのか見ていこう。


画像(上)はネオナチ系のスヴォボーダ党の現在のフラッグ。

画像(下の二枚)かつてはナチ親衛隊のシンボルであるヴォルフスアンゲルをシンボルとしていた。

2014年3月に発足した、ヤツェニュク暫定政権にはオレクサンドル・シチ(副首相)、イホル・シュヴァイコ(農業大臣)、アンドリー・マフニュク(環境大臣)、イホール・テニューフ(国防大臣)がそれぞれ入閣した他、オレフ・マフニツキーが司法のトップである検事・司法総長に、そして、ウクライナ社会民族党結成者であるアンドレイ・パルビーが安全保障のトップであるウクライナ国家安全保障・国防会議議長に就任するなど、政権の中枢を担った。
https://en.interfax.com.ua/news/general/193035.html

ヤツェニュクは、アメリカのヌーランド国務長官に「暫定大統領」として指定された人物だ。
https://www.afpbb.com/articles/-/3007954



赤と黒で「Правий сектор」と書かれているのは「右派セクター党」のことで、元々はUkrainian National Assembly – Ukrainian People's Self-Defence(UNA-UNSO)だった。
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9F%D1%80%D0%B0%D0%B2%D1%8B%D0%B9_%D1%81%D0%B5%D0%BA%D1%82%D0%BE%D1%80_(%D0%BF%D0%B0%D1%80%D1%82%D0%B8%D1%8F)
https://en.wikipedia.org/wiki/Right_Sector

先日も触れたが、UNA-UNSOは、マイダンのデモ隊を狙撃して70名を殺したと疑われるネオナチ系組織。国際的なテロリスト集団と言っても過言ではないだろう。
コソボやチェチェン、グルジアの紛争にも参加、多数の殺害行為を行ったり、ウクライナ議会では暴力沙汰を起こしたり、はたまた強盗事件を起こしたりと悪名高い。
オレンジ革命を起こした親欧米派オリガルヒのティモシェンコ元首相やユシチェンコ元大統領のボディガード的役割も担った。
16年までのリーダーはドミトリー・ヤロシ。
右派セクターとUNA=UNSO構成員を合計すると10000名以上になる。戦闘員の数は5000名にもなるとされ、ドンバス戦線にも参戦している。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ukrainian_National_Assembly_%E2%80%93_Ukrainian_People%27s_Self-Defence

ドミトリー・ヤロシはヤツェニュク暫定政権への入閣、ウクライナ国家安全保障・国防会議の副議長・ウクライナ軍の司令官の顧問への就任を要請されたものの、閣内の反対や本人の固辞もあり、これは実現しなかった。なお、前身の極右団体トライデントのメンバーでもあるシェルヒー・クヴィットは教育科学大臣として暫定政権に入閣している。

「右派セクター=Una-Unso」は、欧米の主流メディアにも「ネオナチ・ファシスト・極右組織・超国家主義者」として紹介されている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Right_Sector#Descriptions_in_the_press


https://www.gettyimages.com/detail/news-photo/activists-of-the-ukrainian-far-right-party-national-corps-news-photo/1129363305

青地に黄色の三叉槍はNational Corps(国民兵団)のフラッグだ。リーダーはネオナチ部隊「アゾフ大隊」の設立者Andriy Biletsky。
Biletskyは筋金入りのネオナチだが、上述のOSCEの報告書で「内務大臣Arsen Avakovの完全な支配下にある」とされている。
National Corps(国民兵団)は2016年に創設されていて、構成員は1万~1.5万人。
https://en.wikipedia.org/wiki/National_Corps


国民兵団の旗と三叉槍のシンボルは「ウクライナ民族主義者組織 (OUN)」に瓜二つなので、自分達を歴史的登場人物に押し上げたい願望があるのだろう。
OUNは第二次世界大戦中にナチスドイツに協力し、ポーランド内務大臣の暗殺も行った武装パルチザン集団である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%B0%91%E6%97%8F%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E7%B5%84%E7%B9%94

OUNの創設者Stepan Banderaも、反共の観点から西部ウクライナ人やネオナチに英雄視される。
バンデーラはナチの協力者(戦中にはナチに反目し逮捕もされている)で、ポーランド人6万人(最大)の虐殺に関与、ユダヤ人・ロシア人を迫害・殺戮した反ユダヤ主義・ウクライナ民族主義者。59年にKGBに殺害された。
2010年に親欧米派のユシチェンコ元大統領から国民英雄章を授与され東部ウクライナ人から批判されている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Stepan_Bandera


https://news.yahoo.co.jp/articles/23dd513af359da7064d3ea9fcba35f50693264ce/images/000
ちなみにこのゼレンスキーの後ろにも三叉槍のシンボルがある。これは「офіс президента україни= Office of the President of Ukraine」のことで国章としての三叉槍をあしらったものだ。
三叉槍のシンボル自体は広く愛用されるものだが、イギリス政府がこのシンボルを、「注意すべき極右・ネオナチのシンボル」として登録して、ウクライナ外務省が抗議したこともあった。

イスラエルのHaaretz新聞は、2014年のマイダンのデモ中にスヴォボーダと右派セクター(UNA-UNSO)が、ヒトラーの「我が闘争」と、帝政ロシアが作った反ユダヤの偽書「シオン賢者の議定書」を独立広場のデモ隊に配布していたと報じている。
https://www.haaretz.com/jewish/.premium-ukraine-jews-new-dilemma-1.5326313

こちらは内務省管轄のNational Corps(国民兵団)のプロモ・ビデオだ。
揃いの軍服を着て、紋章やフラッグを掲げ、統率のとれた行動を取るナチスを彷彿とさせる。

(Electoronic Intifadaによると、このビデオは国民兵団に一端削除されたが、EIが再アップしたとされる)

 


このNational Corps(国民兵団)から成る義勇兵団「Nationalsquads」は2018年から活動を始めたようだ。
https://korrespondent.net/ukraine/3934615-hotovy-prymenyt-sylu-druzhyny-azova-na-ulytsakh

インテリ・バラモン様は、プーチンの「ウクライナ政府はネオナチだ」という発言を妄想だとか陰謀論だとかと言って嘲笑しているが、残念ながらただの事実である。
欧米の大本営メディアのプロパガンダばかりを聞いていると、ウクライナでネオナチが大量発生し、閣僚と密接に連携し、極右の外国人傭兵をリクルートし、親衛隊として戦場で残虐行為を行っていることを見過ごしてしまう。
バラモン様は経済にも疎ければ、国際情勢にも疎い。論壇でエラそうにしてるだけで、まったくの役立たずなのではないか。

「ゼレンスキーはユダヤ人なのでネオナチを支援するわけがない」とおっしゃる方もいるだろう。
しかしオリガルヒの多くはユダヤ人であるし、アゾフ大隊の資金源であるオリガルヒのイーホル・コロモイスキーもまたユダヤ人である。
事態はそう単純ではないのだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

下記は「イスラエルはウクライナでネオナチを武装している」とする2018年7月4日のThe Electronic Intifada(在米パレスチナ系の雑誌)の記事だ。
https://electronicintifada.net/content/israel-arming-neo-nazis-ukraine/24876
この映像は、イスラエル製のライフル「Tavor」の取り扱いをアゾフ大隊の兵士がレクチャーしている様子である。
このTavorは、イスラエルからのライセンスを与えられたウクライナの国営武器メーカー「Fort」によって製造されたようだ。

こちらもアゾフの公式からは削除されたようだがEI誌が復元した。

Israel is arming a neo-Nazi militia in Ukraine - deleted Azov Battalion video


歴史的には、ウクライナはナチスドイツやスターリンのソ連に侵略された土地でもある。
ウクライナでは19世紀から数度のユダヤ人虐殺のポグロム(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%A0)が起き、スターリンによるウクライナ弾圧・ホロドモール(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB)も起きた。
非情に複雑な歴史的背景がある。反共・反ロシアの視点でナチズムに傾倒することにも一定の理解は必要かもしれない。

 

過去にウクライナ人を弾圧し虐殺したロシアの共産主義テロリストらが、東部で反乱を起こし、勝手に独立宣言し国を分断した。荒くれ者・無法者だが、国を強く愛する国家主義者・民族主義者が、国を守るために立ち上がってテロリストを掃討する作戦に名乗り出る。軍規のない民兵にアメリカ製の強力な武器を持たせたら暴走するだろう。そして正義感から執拗な弾圧を行う…。

このような視点も必要だろう。

しかしその無法者の超国家主義者に武器を与えて好き勝手にさせたウクライナ政府の責任は大きい。

 

 

ドンバスの虐殺


さて、「ドンバスの虐殺」を示す証拠がないじゃないかと思う方もいるだろう。
あまりに残虐な画像や動画が含まれるので、先日の記事には載せなかったが、証拠や疑義が濃厚な事例はもちろん数多くある。

【超絶閲覧注意】
ドンバスで市民がウクライナ軍やネオナチ部隊に虐殺される映像が記録されているサイト
https://deepstate88.wixsite.com/movie

【超絶閲覧注意】
こちらサイトは、私の知識では「ガセである可能性が高い」と判断している事例(例:「400人の集団墓地」など)も含まれる玉石混交の状態ではあるが、本当に多くのウクライナ政府・ネオナチ系有志大隊による「ドンバスの虐殺」が記録されている。
これらは基本的には「ウクライナ軍の仕業」とされるが、逆に反乱グループ側の犯行である可能性もあるので、その点も注意が必要だ。
多種多様なプロパガンダが双方によって投じられているのだ。
https://what-is-happening-in-ukraine.blogspot.com/2020/02/endless-massacre.html

【超絶閲覧注意】
こちらのサイトには殺害された市民の画像がたくさんある。
買い物中のおばさんがバス停で首をはねられていたり、おばあさんが額の真ん中にワンショットの銃弾を受けていたり、処刑された様も伺える。
いったいどのような理由があって、そのへんのおばさんやおばあさんが惨たらしく「処刑」されなくてはいけないのか。
これが「虐殺」でなかったら何なのかと問いたい。
http://en.voicesevas.ru/news/yugo-vostok/3080-donbass-civilians-exterminated-under-the-guise-of-ceasefire-it-is-genocide-rated-for-ages-21-or-more.html

【閲覧注意】
ウクライナ・リークスとされるサイト。
2014年7月15日にスネシュノエ市で12人の民間人を、SU-25攻撃機による空爆により殺害した「スネシュノエの血の悲劇」などの事例が扱われている。
https://ukr-leaks.com/en

【閲覧注意】
日本語のまとめページ。
こんな子供までもがナチス式の敬礼をしているのに驚くし、心臓に悪い。

このような画像が多く掲載されている。
https://matomehub.jp/ukraine/page/295

【超絶閲覧注意】
Googleでは検閲されてしまって表示されないサイトや画像も、今ならまだBingやDuckDuckGoでは確認できる。
しかしいつまで「この世界の自由」が続くかわからない。帝国主義者たちは、検閲を急いでいる。


Bingで「Donbass Genocide」と画像検索
https://www.bing.com/images/search?q=donbass+genocide&form=HDRSC2&first=1&tsc=ImageBasicHover
DuckDuckGoで「Donbass Genocide」と画像検索
https://duckduckgo.com/?q=donbass+genocide&t=h_&iax=images&ia=images

 

Bingで「Donbass Genocide」と画像検索した結果:多くの虐殺現場が確認できる。

 

 

アメリカ民主社会主義者(DSA)とれいわ新選組の声明


サンダースやオカシオ・コルテスが所属する「アメリカ民主社会主義者(DSA)」は公式声明で、ロシアの侵攻を非難しウクライナから撤退せよと要請しつつも、米国の「帝国主義的膨張主義」が紛争の原因になったと批判し、アメリカがNATOから脱退することを求めた。

加えて、「新自由主義の失敗が明らかになり、支配階級は帝国主義や軍国主義、戦争を通じたディストピア的な新しい世界を目指そうとするから気をつけなければならない。社会主義者は解決策を提示せよ」と述べた。
https://www.dsausa.org/statements/on-russias-invasion-of-ukraine/

なんと、「NATO解体」と同義の提言を発したのだ。
さすがとしか言いようがない。

これに対して、バイデン政権の顧問のマイク・グウィンは激怒。
バイデンは、ウクライナで政権転覆を演出し、クーデター政権に50億ドル以上ともいわれる資金提供をしたオバマ政権の副大統領であり、その軍事的・財政的援助により、まさに「帝国主義的膨張主義」に加担した当事者とも言える。


DSAも2014年の政権転覆を「クーデター」と呼んでいるので、だいぶ私と似た視点を持っているらしい。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10561299/AOC-Bernies-Democratic-Socialists-group-blames-Russia-invasion-demands-end-NATO.html

サンダースは開戦前の2月10日に「各国は自由に外交政策を選択できるべきです。しかし、それらの選択を賢明に行うには、コストと利益双方を真剣に検討する必要があります。事実として、米国とウクライナがより深い安全保障関係を結ぶことは、両国にとって非常に深刻なコストを伴う可能性があります」と述べ、ウクライナのNATO加盟に懸念を示している。

米国・ロシア双方がウクライナから手を引かなくてはならないし、ドンバスの虐殺は、国連などの国際的機関が対処しなければならないのではないだろうか。

日本にも、似た視点を持つ人たちがいる。
 

 

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【声明】ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議について(れいわ新選組 2022年2月28日)
投稿日: 2022年2月28日 
https://reiwa-shinsengumi.com/comment/11439/

なぜ決議に反対するのか。

今、日本の国会として、一刻も早く異常な事態を終わらせようという具体性を伴った決議でなければ、また、言葉だけのやってる感を演出する決議になってしまう。

では、明日決議される内容に加えて、今、国会として強く政府に求めるならば、何を決議するべきか。

 ・ ウクライナ国民への人道支援のさらなる拡大と継続、及び戦火を逃れ避難する人々を難民として受け入れ
 ・ プーチン大統領による核兵器の使用を示唆する発言と行動に、唯一の被爆国である日本の総理として強く撤回を求める
 ・ 今回の惨事を生み出したのはロシアの暴走、という一点張りではなく、米欧主要国がソ連邦崩壊時の約束であるNATO東方拡大せず、を反故にしてきたことなどに目を向け、この戦争を終わらせるための真摯な外交的努力を行う
 ・ 国内においては、この戦争によって原油高などの物価上昇により生活や事業が圧迫される状況に対して、消費税減税、ガソリン税0%、一律給付金などで日本国内に生きる人々を守る
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他の党に比べて、極めてまっとうだと思う。
 


さて、今回もあまりにも長文になってしまったので、このへんで絞めることにする。
以上、また何かあったら報告する。

cargo










【おまけ情報】
ウクライナで2006年から使用される500フリヴニャ紙幣の裏面
(見覚えのあるものが…)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%83%8B%E3%83%A3

2005年から2010年までは新欧米派のユシチェンコが大統領を務めた。
ユシチェンコはウクライナ独立後の1993年から1999年まで、ウクライナ国立銀行理事長を務めている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Viktor_Yushchenko


クーデター政権が樹立した2014年に通貨価値が約70%も暴落している。
いったい誰が儲け、誰が苦しんだのだろうか。

2016年に発行された新500フリヴニャ紙幣からは、アレが消えている…。「透かし」にでも隠したのだろうか。

https://en.wikipedia.org/wiki/Ukrainian_hryvnia