今日の記事は全然難しい話じゃないですし、文章も短めにしました。

おそらく、あまり経済に関心がない人でも以下のようなグラフを見たことがあるのではないでしょうか。



名目GDP 出典:小川製作所
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2104/19/news005_3.html


実質賃金  出典: 雑誌『KOKKO』編集者の井上伸氏(井上伸@雑誌KOKKO @inoueshin0)
https://itsuro-soga.com/2020/07/28/%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%AA%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/


名目GDPに関してはとうとうCMにまでお目見えし、多くの人が「日本は世界で唯一衰退しているヤバい国」なんだと認識したでしょう。
 


この手の認識は、我々は10年前から共有し、その処方箋もずっと提示してきました。

最近はやっと多くの国会議員がツッコミを入れることで、政府も渋々「日本の衰退化」を認め、岸田は「給料を上げる!原因となった新自由主義を転換する!」とまで言い出しました。
(アベ・スガ政権下では「アベノミクスで成長している!」という虚偽宣伝の一辺倒で、認めることはありませんでした)


その過程で、国会質疑の場において共有され出したのがこちらの図です。
実際に複数の議員が使用しています。

これは企業の利益の分配を示すもので、給料や設備投資を減らして配当金や内部留保を増やしていることがわかります。



 出所:山本太郎衆議院議員
https://news.yahoo.co.jp/articles/e2f61904312d481cf0c681086f04f16358db036c?page=4


しかし、往生際の悪い日本政府は、その原因と責任をごまかすためにこれらの認識をも悪用しだしました。

◇◇◇◇◇◇◇

こちらは2月14日、立憲立憲の反緊縮派・福田昭夫議員の質疑における一幕です。
福田氏の「経済低迷の原因は何か」との質問に、山際大臣は以下のように答えます。

 

〇山際大臣(経済再生担当・新しい資本主義担当)
「80年台に新自由主義が拡がり、バブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによって企業が賃金を抑制、消費者が将来不安から消費を抑制した結果、需要が低迷しデフレが加速、企業の賃上げが生まれない悪循環が生じた」

衆院予算委 令和4年度総予算 一般的質疑(2022年2月14日)
https://www.youtube.com/watch?t=6704&v=cCu9sBYF12I&feature=youtu.be


「バブル崩壊と行き過ぎた市原理主義によって賃上げが起こらない構造になった」と、まるで「政府のせいではなく企業と国民のせいだ」と言わんばかりです。

いやいやいやいや、緊縮財政・消費増税・規制緩和が原因だと認めなければ新自由主義も不況も脱却できませんよ。
(加えて言うならバブル崩壊以降の過剰な不良債権処理やグローバリズムも原因です。また、バブルを意図的に崩壊させたのも日本政府です。 参考→ https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12664064019.html

この質疑で福田議員は、経済停滞の原因を、株主至上主義で分配が歪み、格差と貧困が拡大した。格差拡大したのは消費増税(直間比率の見直し)と非正規雇用の二つが主因だった。そのことにより、余計に財政まで悪化させ、更なる緊縮財政を行ったたからだとしました。

福田氏の言う通り、税制や企業利益の分配構造を歪めたり、労働規制を緩和して経済を破壊したのは日本政府なんですよ。

それを政府は自らの失策を認めず、「バブル崩壊で企業が賃下げして消費が落ち込んだから」という理屈に集約させてしまってるんです。

山際大臣の答弁のあと、鈴木財務相もまったく同じ文言を繰り返すのですが、これが「政府の新しいコンセンサス」になったみたいです。

質疑内容からもう少し引用します。

 

〇福田議員
「直下比率を是正し過ぎた結果、法人税収が減少し、消費税収が増えた。消費増税が経済停滞の原因だ」(発言要旨)

〇鈴木財務相
「消費税は、社会保障と税の一体改革のなかで、その増収分は社会保障の充実・安定化に充てることとしている。その受益は低所得者ほど大きく、所得の再分配に繋がる面もあることから、そうした受益の面と合わせ評価するべきと考えている」

…と、いつもの聞き飽きた念仏。
後述するけど、勿論これも嘘ですよ。

そのうえで、鈴木財務相は不況の原因をこう語ります。

 

〇鈴木財務相
「我が国の経済については1990年台のバブル崩壊以降、低い経済成長とデフレによって企業が賃金を抑制、消費者が将来不安から消費を抑制した結果、需要が低迷しデフレが加速、賃上げが生まれない悪循環が生じた」

…と、山際大臣とまったく同じ念仏を唱えています(笑)

消費税導入は1989年で、5%増税は1997年だったが、「経済の低迷の原因は消費税のせいでも、政府の失策のせいでもない」と言うのです。

重要なのは、上記の「1990年台のバブル崩壊以降~云々」という念仏が、「日本政府の新しいコンセンサス」になったということです。

「日本政府の新しいコンセンサス」とは、「日本政府の新しい嘘」ということです。

こんなことじゃ新しい資本主義の実現も、新自由主義からの転換も、賃上げも、絶対に不可能です!!

だって、原因をごまかしてしまって自らの責任だと認めないんだから。
気が狂ってますよ。

Fuck You!!!!!(ꐦ°᷄д°᷅)

ちなみに鈴木財務相は、「非正規・派遣労働の拡大はちゃんと規制してるからダイジョブダイジョブ!多様な働き方が増えて良かった!同一労働同一賃金でがんばる!」との向きで答えていますが、この点も頭がおかしいとしか言いようがありません。

小泉竹中の規制緩和で派遣業者が世界断トツに増え、非正規労働が4割にも届き、国民の平均的収入は120万円も減ったのですよ。



そして、「直間比率是正(法人税減税の穴埋め)のため」導入された消費税は、いつのまにか「社会保障の財源」という嘘にすり替わり、消費税収は実際に法人減税の穴埋めに使われてきました。
これ以外の事実はありませんし、「消費税収の全てが社会保障に使われている」との説明も嘘です。


経団連による「直間比率是正(法人税減税の穴埋め)のため消費税を導入しろ」という命令書



いつもの図(法人税減税されるにしたがって消費増税)

消費税収が社会保障に使われていないことの証拠(国会質疑より)はこちら。

 



日本政府は、どんどん「新しい嘘」を量産し、責任を転嫁し、これ以上経済を破壊するのはやめなさい!


以上。
今日はここまで。

また次回!

cargo