COP26やグレタ・トゥンベリ師のことが多く報道され、NHKでもだいぶ歪んだSDGsのごり押しが始まったりと、気候変動問題がかなりクローズアップされています。 

SDGsに関しては、何やら環境保全のために我慢して資源の無駄遣いをしないようにするもの、民間がクラウドファンディングなどによって環境投資などを成し遂げるもの、というような印象を与える報道ばかりが目立ちますが、どうもおかしな方向にいってるように感じます。

本物のSDGsは、環境目標ではなく、「持続可能な開発目標」と考えるとわかりやすいようです。
人間を犠牲にしてでも環境を守ろうというものじゃなく、誰にとってもにやさしい開発を目指すというものです。

【参考】▼ SDGsはどのようにして生まれたか?
 朴勝俊(関西学院大学教授) グリーン・ニューディール政策研究会


例えば小泉進次郎・元環境大臣らが主導して「レジ袋の有料化」を導入し、それがSDGsの一環であるように捉えられていますが、SDGsはその目標の1番目に「貧困をなくそう」と謳っており、また「誰一人取り残さない」をコンセプトとしていますので、レジ袋の有料化で貧困層が苦しみ、レジ袋製造業者も苦しむ実態からは、とてもSDGs的とは思えません。
ポリ袋が海洋ゴミに占める割合も0.6%ほどだといいますので、有料化にあまり意味はないとの意見もあります。
私自身は、本来なら安価で生成できる「海洋生分解性プラスチック」や「バイオマス素材」製レジ袋の開発・製造のため、公共投資すべきものだったんじゃないかと思います。

フランスでは、環境配慮の一環としてガソリン税が引き上げされたことが発端になり、新自由主義者・マクロン大統領に対抗する「黄色いベスト運動」や暴動が起こりました。 

ネオリベや意識他界系、バラモン左翼様は「自分と環境」のことしか考えず、社会に生きる人々のことがすっぽり頭から抜け落ちてしまっています。


表題の「グリーン・ニューディール」にも少し焦点が当たるようになってきましたが、SDGsと同様に、テレビでやってるものと私達が推奨するグリーン・ニューディールとはちょっと違います。

グリーン・ニューディールは、多くの人たちが誤解しているような、もののけ姫的感覚で「人間には豊かさはもう必要ない!環境保護第一だ!」とやるものでも、「里山切り開いてメガソーラーで大儲けや!」とやるものでもありません。

バラモン様の脱成長系ポエムとか、レントシーカーの補助金チューチュー系ビジネスとは似て非なるものなのです。
私達の掲げるものこそが本物のグリーン・ニューディールですので、まがい物に騙されないでいただきたいです。

GNDは気候変動の影響を受けて苦しむ貧困層やマイノリティーのためにグリーンインフラを充実させ、さらに雇用を生み出し持続可能な経済的安定を獲得しようという野心的な試みです。
第一に「公正な移行(Just Transition)」を掲げていますので、気候変動対策のために経済的弱者に不利益を被らせるだとか、開発ビジネスに精を出すだとかという対局にあるものを考慮して設計されました。

公共施設や公共交通を脱炭素化し、エコな住宅を建設し安価で低所得者層に提供し、洪水や干ばつで苦しむマイノリティーの人たちのためにエコな灌漑施設や干ばつ対応を設置する、脱化石燃料で再生可能なエネルギー供給システムを構築する。そしてそのための資金を公共投資により捻出し、グリーンインフラ整備をするための多くの雇用を生み出し、経済に好循環をもたらすというものです。

言わずもがなですが、自民党政権がやっている「政府は金を出さないけどちょっと企業減税してやるから、おまえらあとは脱炭素よろしくな~」なんてシロモノともまったく違います。

グリーン・ニューディールとは、グリーンなニューディールです。
ニューディールは1930年代の大恐慌から復興するための経済政策で、中間層以下の低所得者らを経済的に支えることで経済復興を成し遂げました。
グリーン・ニューディールは、その現代版なのです。


そんなわけで、今日の本題。
正しいグリーン・ニューディールを知るためのバイブルともいえる書籍を発売します。

「グリーン・ニューディールを勝ち取れ」(原題: Winning the Green New Deal)です。

アメリカ発祥のサンライズ・ムーブメントは発起人ヴァルシニ・プラカシュ氏らが、気候変動に対応するために政治家らと交渉を繰り返しながら作り上げたものです。
民主党の下院議長のナンシー・ペロシの事務所を占拠した騒動を覚えておられる方も多いでしょう。

書籍「グリーン・ニューディールを勝ち取れ」には、そのサンライズ・ムーブメントのメンバーのほか、書籍「ショックドクトリン」や独立系メディア「デモクラシー NOW!」でお馴染みのナオミ・クライン氏、またノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授などが論文を寄稿しています。

この書籍を、私たちグリーン・ニューディール政策研究会(https://green-new-deal.jimdofree.com/)が中心になり翻訳しました。

翻訳は、関西学院大学教授の朴勝俊さん、翻訳家の山崎一郎さん、緑の党・元代表の長谷川羽衣子さん、れいわ新選組・衆議院議員の大石あきこさん、そして私、高卒ミュージシャンのcargoらが担当しました。

私は、私自身が大ファンでもあるノーベル経済学賞者のスティグリッツ教授や、ネイティブ・アメリカンの活動家・ジュリアン・ブレイブ・ノイズキャット氏らの論文を担当し翻訳しました。

2002年に刊行された「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」は、当時世界銀行のチーフエコノミストであったスティグリッツ教授が、米国とIMFの醜悪な新自由主義・グローバリズム改革を暴露した衝撃の一冊でしたが、その書籍を2010年頃に読んで大ファンとなった私が、彼の論文を翻訳できる機会を得ることができたのは非常に光栄なことでした。

「グリーン・ニューディールを勝ち取れ」は、世界の最先端を知ることができる一冊です。
 

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「グリーン・ニューディールを勝ち取れ」
https://www.bookcellar.jp/product/detail/1314927

ヴァルシニ・プラカシュ 【著】 ギド・ジルジェンティ【著】 
朴 勝俊【翻訳】 山崎 一郎【翻訳】 長谷川 羽衣子【翻訳】 大石 あきこ【翻訳】 cargo【翻訳】 青木嵩【翻訳】 ヒル ダリア エイミー【翻訳】

発行元:那須里山舎
流通委託先:トランスビュー
発売 2021/11/30
ISBN: 978-4-909515-05-6
¥ 2,400(税別)

内容紹介:
2018年10月、科学者たちは私たちが経済を化石燃料から脱却させなければ、壊滅的な気候変動に直面するまでに残された時間は12年に満たないと警告しました。
そして、今年、国際気候変動科学者の6次報告では、人間の産業活動の気候変動への影響は確定的なものとなり、2019年後半から1.5度に抑えることが削減目標の世界的スタンダードになっています。

上記の目標を達成するために「私たちはどのように行動すればよいか」そして「どのような社会にすればよいか」

気候変動は、社会的弱者を作り出し、気候災害や食糧危機などは、貧困・格差を拡大させていきます。また、単純に二酸化炭素を減らす社会にすればよいというわけには、いきません。産業のありかたを変化させることで、社会的に不利益を被る人々がでないようにする必要があります。グリーン・ニューディール政策ビジョンは、すべての人に経済的・人種的正義を保証しつつ、気候の大災害を回避するために経済を迅速かつ大幅に変革するというものです。

本書『グリーン・ニューディールを勝ち取れ』では、第一線で活躍する若者の活動家、ジャーナリスト、政策立案者、研究者が、気候変動の大惨事を回避するために変革的なアジェンダが必要な理由と、私たちの運動が勝つためにどのように組織化できるかを説明しています。本書は、社会運動団体のサンライズ・ムーブメントの共同創設者であるヴァルシニ・プラカシュ、グリーン・ニューディール政策の立案者であるリアナ・グン・ライト、ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツ、反グローバリゼーションのジャーナリストであるナオミ・クライン、国際的に有名な環境保護主義者のビル・マッキベンなどがエッセイを執筆しています。不平等や人種差別に立ち向かわなければ気候変動の危機を解決できない理由、政治的に可能なことを再定義し、化石燃料の億万長者の反対を押し切って運動を展開する方法、そしてグリーン・ニューディールによって私たち全員のために公正で繁栄する経済を構築する方法を学びます。

本書の大部分の著者は、アメリカでZ世代・ミレニアル世代とよばれるハイティーンから30代半ばまでの若者世代であることです。
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この書籍で本物のグリーン・ニューディールを知っていただきたく思います。

グリーン・ニューディールや経済的公平性は、座ってツイッターをやってるだけで勝手に訪れるものではないことがわかります。



那須里山舎の白崎一裕さんツイッターより


本日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
では、また次回。

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