多くの人が「景気」というものを、まるで自然の営みかのごとく捉えていますが、それはまったくの誤りで、景気は人為的な操作により良くもなるし、また悪くもなります。
 
消費増税なんかしたら、個人消費が冷え込み、景気が悪くなることはマクロ経済学の常識中の常識なのですが、日本政府や御用学者は大きな影響はないと見なし、無視して増税に踏み切りました。
 
巨大な象が会議室の真ん中にいるのに、誰も見ようとせず、空虚で間抜けな会議を続けてきた(Elephant in the room)ために、とんでもないことが起ころうとしています。
〇Elephant in the room(「見て見ぬフリ」をするという英語の慣用表現)
(画像: https://themillennialsnowflake.com/elephant-in-the-room-tired-of-being-referred-to-as-the-elephant-in-the-room-i-have-a-name-and-its-mike/ )
 
先日発表された「2019年第4四半期の実質GDP成長率がマイナス6.3%(年率、前期比)」という衝撃の数字をご存じでしょうか。
 
 
普通の先進国では、内戦や恐慌でも起こってなければこんな数字はなかなか出ませんが、この消費増税不況に加えて、コロナウイルスや五輪特需終了、世界経済減退などの負の影響などが矢継ぎ早にやって来るので尚更ヤバい状況です。
 
先日お伝えした通り、この消費増税恐慌の最中にあっても、安倍政権は「景気は回復している」と大本営発表を繰り返すのみで、自らの経済観測が完全に外れたこと、またその失政についても一言も謝らず、悪びれる様子さえ見せません。

2009/ 1- 3月期 -17.7(リーマンショック)
2011/ 1- 3月期 -5.5 (震災)
2014/ 4- 6月期 -7.4  (8%消費増税)
2019 10-12月期 -6.3  (10%消費増税)
(出典:内閣府 統計表(四半期別GDP速報)  p.13 https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/toukei_2019.html )
*リーマンショックや東日本大震災時の落ち込みは外的要因、災害によるものですが、消費増税による落ち込みは明らかに失政によるものです。しかも前者の落ち込みが一時的なものであるのに対して、後者は消費税増税により消費支出を減退させる影響が延々と続くタイプのものとなります。
 
誰がどう見ても会議室の中で巨象が暴れているのに、安倍さんや麻生さんたちはどす黒く澱んだ腹を揺らしながら、「象はいない」とホラを吹き続けているのです。

ご存じの通り、我々反緊縮ケインズ派は常に予想を的中させ続けていますし、その予想から警鐘を鳴らし続けてきました。
「会議室の中にどでかい象がいるのに、なぜ腹黒おじさん達は何も言わないの?」とずっと言い続けてきたのですが、腹黒おじさん達は聞く耳を持ちません。
政府の財政政策に大きな影響を与える財務省・財政制度審議会というのがあって、そこに属する民間委員(御用学者)らが、決して当たらない予想を発し続けているのですが、安倍さん達が耳を貸すのはこういう連中なのです。
 
〇予想を外し続ける土居丈朗・慶応大教授(財政審委員)
(参考:財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会 委員名簿 https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/member_fs.htm )
 
このような人物が政府のかじ取りを誤らせ続け、自殺者や生活保護受給者、休廃業者を増やす元凶となっているのに、一切責任も取らず、野放しになっているのはなぜなのでしょうか。
 
もし街中で、チンパンジーがトラックを運転してるのを見たら、誰もが止めようとするでしょう。
日本政府というトラックの運転席に鎮座する人たちがチンパンだったらどうでしょうか?

政府のかじ取りを誤らせているのは、御用学者たちだけではなく、経団連をはじめとする大企業の幹部たちもそうです。
経団連前会長の榊原氏もご多分に漏れず、上述の財務省・財政審に名を連ねていますが、消費税を19%にすることを政府に求めていて、実際にこういった提言に沿って政策が実現(消費増税、法人減税、派遣法、高プロ、自由貿易や各種規制緩和など)してきました。
 
しかし、なぜ経団連という経済のシロウトが政府の方針に口を出せるのでしょうか?
 
皆さんは「商売のプロだからに決まってるだろ」と言われるかもしれませんが、商売のプロは経済のプロではありません。
商売とマクロ経済はまったくの別物です。商売とはミクロの話なのです。
 
商売人は利益を上げるために、無駄を削減し、生産性を高めようとしますが、無駄を削減するとそこに生まれるはずだった賃金が失われ、マクロ視点で見ると逆に生産性が下がる結果に繋がります。
この手の勘違いを「合成の誤謬」と呼びますが、この点を経団連の腹黒おじさん達はまったく理解できないのです。
 
だって、経団連の腹黒おじさん達が「無駄を削減する!規制緩和バンザイ」と身勝手な商売と、政府への提言を繰り返した結果、我が国経済はどうなったでしょうか?
国民の所得が、20年間で120万円も減りました。 
120万円ですよ!!?
こんなクソみたいな衰退国家は地球上に他に存在しません。

(財政審や未来投資会議の御用学者以外の)本当の経済のプロはこんなことはしませんよ。
 
ワケのわかっていない経団連や御用学者の腹黒おじさん達が、消費税を上げろ、法人税を下げろ、財政赤字を減らせ、企業が商売しやすいように規制緩和しろ、貿易依存度を増やせと言ってきたその通りにやった結果が、現在の衰退発展国化甚だしいわが国の状況なのです。
 
http://editor.fem.jp/blog/?p=1388
日本は諸先進国と比べても群を抜く労働分配率の低い国、つまり奴隷国家です。
アメリカよりも酷い状況で私たち奴隷が働き、稼いだ上澄みを資本家たちがかすめ取っていきます。
 
そして大企業、つまり輸出企業やマスコミがいつも気に掛けている貿易は、GDPの1%ほどしかないのに、なぜ経済の大部分を占めるかのように語られているのでしょうか?
そしてなぜ輸出企業の社長は偉そうにテレビに出てきて「日本経済の今後は…」なんて恥ずかしげもなく語れるのでしょうか。
 
労働分配率を下げに下げ、所得を120万円も減らした巨象が会議室の中で暴れまくってる状況があったら、皆さんは見て見ぬフリをしますか?
ありえないでしょう。
我々一般国民が立ち上がって、「会議室の中で巨象が大暴れしてるのに、腹黒おじさん達が見て見ぬフリをしている!」と指摘していかなければならないと思うのです。
というか、大暴れしてる巨象ならぬチンパンジーが、経団連の幹部や財務省、安倍さんたちなのですけどね。
 
労働者から所得を奪い、経済を低迷させる消費税は、絶対に廃止にしなければなりません。
少なくとも、野党共闘の折り合いをつけるために、一旦5%減税でまとまるべきでしょう。
我々労働者に力を取り戻さない限り、我が国の未来はないと言い切っても良いでしょう。
 

アメリカの大統領選で、バーニー・サンダース候補が破竹の勢いで前代未聞、史上初の三連勝を飾りましたが、そのサンダースの経済アドバイザーのステファニー・ケルトン教授も「今が消費税を5%に下げる良い機会だ」と言っています。
(*初戦のアイオワは最多得票だったが、代議員数ではブティジェッジに負けた。不正選挙も疑われている)
 
11月にサンダースが大統領になったら、アメリカの属国である日本の酋長の安倍さんや、経団連、はたまた野党第一党代表の枝野さんは、その影響を受けてくれるのでしょうか?
 
アメリカではサンダースが、そして日本では山本太郎が早く実権を握る日が来ることを願い、後押ししていくのみですね。
 
今日はここまで。
ご覧いただきありがとうございました。
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