あけましておめでとうございます。

薔薇マーク呼びかけ人の井上智洋准教授(駒沢大学)と令和ピボットの藤井聡教授(京大)、そして昨年、薔薇マークと令和ピボットで日本に招聘したビル・ミッチェル教授(ニューカッスル大)、今年招聘予定のランダル・レイ教授(バード大学)がNHKの「欲望の資本主義2020」に出演していたのでご紹介したいと思います。(デイリーモーションだけど)

▼BS1スペシャル「欲望の資本主義2020〜日本・不確実性への挑戦〜」part1 20200103
https://www.dailymotion.com/video/x7q0xql

▼BS1スペシャル「欲望の資本主義2020〜日本・不確実性への挑戦〜」part2 20200103
https://www.dailymotion.com/video/x7q0xvh

「Japan as No.1」と言われた80年代から打って変わって「Japanification」と言われる今の衰退化し倒した日本の経済状況についての番組となります。

ついでに19年の「欲望の資本主義」も「貨幣論」等と題されていたので見たのですが、これはいただけなかった(笑)
「貨幣の価値は、皆が価値を持つと思うから価値を持つ」という循環論法でおなじみの岩井克人教授(東大)のプロモーション番組になっていました。
トートロジーというのはTVマンがいかにも好みそうな詩的な帰結方法だろうと思うのですが、よく考えれば何も説明していないことに気づきます。
「砂糖は甘いんです。僕は昔から甘いといえば砂糖だと思っている」というようなことしか言わない小泉進次郎みたいなものですね。

そしてプロデューサーの趣味なのだろうか、資本主義や経済学を何か悲壮感漂うカタストロフィーに導くものだと固定化させてしまっているきらいがある。(あとナレーションが辛気臭い)

今回の「2020」は井上先生、ミッチェル先生、スティグリッツ先生をピックアップしていて多少マシだけど、やはりNHKのセンスのなさが光っていました。

結局、「Japanification」の理由を公的債務と少子化、生産性のせいにしてしまってる。

番組全体が、いまだにニュートン力学だけを信仰し、量子力学を理解しないトンデモ物理学者の論調で占められているという感じです。

しかし、MMT(Modern Money Theory)をそこそこ好意的にも扱っており、主流派の誤謬にいろどられた認識を覆す希望も見いだせました。

番組を見て感じた、NHKに対する何点かの懸念点と要望を、備忘録的に以下に記しておきます。

①「租税貨幣論」「ビルトイン・スタビライザー」くらいは説明しないとMMTの理論的担保がなされない
②信用乗数が低く資金需要の少ない現在においては、政府支出による信用創造でしか通貨を作り出せないことを理解しなければならない
③中央銀行による準備預金供給(量的金融緩和/買いオペ)では、実体経済市場に殆ど通貨が創造されないことも理解しなければならない
④「合理的経済人」とか「期待」を前提とする呪縛から解き放たれなければならない
⑤格差是正は、国民経済の浮揚につながる経済政策であることを理解しなければならない
⑥量的金融緩和は2016年頃からすでに店じまい体制に入っていることを理解しなければならない
⑦くだらない精神論や脱成長論に帰結させ、ごまかしてはいけない


今日はここまで。

また次回。

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