あと一週間で天下の悪税・消費税が10%になる。
 
私は経済学的見地から、「消費税は廃止にすべし」と強固に訴えていますが、世の中にはこの税がいかに狂っているのか理解されていない方がまだまだ多い。
 
そればかりか経済界を代表する団体、日本経済団体連合会(経団連)は20%を、経済同友会は17%をそれぞれ提唱までしている有様。
 
まったくバカげている。
 
このような仰々しい名前のついた経済団体は単なる経営者の集団であり、経済の専門家でもなんでもないド素人であるのに、その能力を超えて日本政府に提言などを行っているのです(笑)
 
「経営」と「経済」はまったくの別物で、いうなれば、経営は「ビジネスを介して人々から富(貨幣)を取り上げること」、たいして経済は「人々に富(貨幣)を生み出し分け与えるもの」。これくらいの違いがある。
 
「経済」の語源である「經世濟民」は、[世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと。また、そうした政治をいう。「経」は治める、統治する。「済民」は人民の難儀を救済すること。「済」は救う、援助する意( https://dictionary.goo.ne.jp/word/経世済民/ )]とされるが、「経営」とはまったく異なる。
 
人々から富を取り上げることに一生懸命な人たちが、いつのまにか尊敬の対象とされている意味が、私にはまったくわからないのだが、何か多くの人々の脳内では、「お賃金をくれる人=良い人」みたいな愚かな式が組み立てられているのだろうか。
 

富を取り上げるとはどういうことか。
 
経営者たちが躍起になる「無駄の削減」や「イノベーション」というものは、人々が受け取るはずだった所得を奪う行為で、誰かの富を別の誰か(主に資本家)に移し替えるだけの行為に他ならず、実体経済市場全体にとっては特に良いことはないばかりか、是正されなければならない行為であります。
(もちろんビジネスには貨幣の流通速度を速め、経済発展に寄与するというメリットもあります)
 
彼らは国家財政やマクロ経済を企業会計と同一視してしまう「家計簿脳」に陥り、決して「合成の誤謬」の概念を理解しようとしないため、ただただ富を食いつぶそうとしてしまいます。
合成の誤謬という病に侵されると、下図のような「国の借金1000兆円を返済しなければ」とか「社会保障費を消費税で賄おう」などという愚策に溺れることになってしまう。
 *下図は経済同友会の一次ソース( https://www.doyukai.or.jp/newsrelease/2019/190906_1306.html )を、ツイッターの有志が経世済民同好会(笑)の正しい認識と比較したもの( https://twitter.com/chiiko_ot/status/1173503580784840706 )です。
 
 
自由放任的な資本主義体制は、放っておくと富の偏りが生まれてしまうので、政府がその財政的権力をもって是正すべく介入しなければなりません。
富の偏在、つまり経済的格差が生じると経済停滞を招くことは、すでに幾多の経済学者に指摘されており常識。
経営者も放っておくと独自の家計簿的解釈で経済を誤解し続ける社会的害悪にしかなり得ませんので、カウンセラーとかをあてがったほうが良いんじゃないでしょうか。
まあ冗談はさておき、この資本主義の負の側面の拡張を放任し続けるどころか、後押しし続けたのが日本政府となります。
 

このようにして無能経営者が、そして無能政府が、わが国を「衰退途上国」にしたと言っても過言ではありません。
現在も、無駄を削減し続け、経済を緊縮にしたことにより足りなくなった財源の穴埋めを、あろうことか庶民の消費行動への罰金である消費税に求め、さらなる経済のシュリンクを加速させようとしているのです。
 
庶民の消費行動に、足かせである消費税を課し、消費活動を減退させるということは、そのまま誰かの所得の減少に繋がります。
「誰かの消費は誰かの所得」ですので、当たり前ですよね。
誰かの所得が減るということは、その彼の消費も減り、また他の誰かの所得も減ることになりますので、ここに経済の悪循環が完成してしまうことになります。
 

この悪循環をどう断ち切れば良いのでしょうか?
 
一つは「消費税の廃止」。もう一つは「政府による財政出動」が有効策であると考えられます。
 
そもそも徴税の役割とは財源を得るためにあるものではなく、景気の過熱した分野を冷やす「景気自動調節機能=ビルトインスタビライザー」のみに求めるべきです。(MMTの議論には、貨幣の流通を後押しするために租税が存在するというTaxes Drive Money=租税貨幣論もあります)
しかし、消費税にはその景気自動調節機能がない。
よく考えていただきたいのだが、消費税を課せられている病人から子供までを含む庶民全般が、儲かって儲かって仕方ないという景気過熱の状況が生まれることなんてありますか?まあないですね。
 
しかもである。一般的に税の役割として考えられている再分配機能も、消費税にはほとんどない。
そりゃそうだ。貧乏人から金を集めて貧乏人に戻すとかバカなのかという話になる。
さらには、すべて社会保障に使われると約束されていたはずの消費税収の8割が、実際は国債償還等に充てられ、通貨をこの世から消滅させているという事実まであるうえに、大企業を優遇するための法人減税の穴埋めにも使われてきたのだ!
1から10までトンデモだらけなのが消費税。こんなもん廃止して当然なのです。
絶対にこんな不正な税を許してはいけません。
 

そこで、消費税収に替わる財源を得るため、そして国民経済を後押しするための政策が、財政出動ということになります。
 
「え?財政出動すると財源が減っちゃうじゃん」と思われる方もおられるかもしれないが、それは誤りである。
財政出動すると、実体市場に通貨が創造されるので、支出することそれすなわち財源となることを意味するのです。
 
通貨を創造すること(信用創造)には経路が2つあり、一つは中央銀行が国債と交換する形で創造した貨幣(実体市場では使用不可能な準備預金)を元手にして、民間金融部門(大銀行など)が、民間非金融部門(一般企業や我々個人)に貸し出すとき。
しかしこの場合は、量的金融緩和の失敗からもあきあらかなように、実体市場の資金需要不足により、民間非金融部門がお金を借りないから通貨を創造できない。
もう一方は政府支出(財政出動)により生まれた民間金融部門の預金を、一般企業が受け取るとき。
この場合は政府が企業に仕事を発注する形をとるので、必ず信用創造され、実体市場に通貨が生まれる。
 
信用創造とは、誰かが借金した時に通貨が創造されるという機構ですが、お金の正体とは誰かの借金であり、借用証書だということになります。
(参考:通貨と貨幣の違い: https://business-textbooks.com/money-currency-bill/
 
ここで「政府債務である国債が1100兆円にも膨れ上がっているので返さなければいけない」と財務省のデマを信じておられる方がツッコミを入れるだろうが、ご心配なく。
MMTの視点では、政府支出後に発行された国債は金融市場を介して中銀の発行する準備預金と交換されるだけであり、ニューケインジアン左派の視点では中銀に引き取られた発行済国債は借換を繰り返し消化される。また中銀保有国債に満期が到来した時は、日本の場合は特別会計の国債整理基金とのやりとりを介して公債金という名の現金として財源化、国庫に納付されるだけとなる。
(参考:政府債務の償還と財源の通貨発行権 (借換債と交付債)について -富山大学名誉教授・桂木健次 https://slidesplayer.net/slide/11245273/
 
ところが、上記のような既発国債の会計処理を知ってか知らずか、政府はどケチで、その債務ヒエラルキー下部に属する民間銀行も民間企業もどケチなため、貸し借りが生まれない。
貸し借りが生まれないということは、借用証書たる通貨も創造されえないわけです。
 
通貨がこの世に生まれないから、人々は通貨を手に入れる機会を失い、投資もしなければ、消費もしない。
「誰かの消費は誰かの所得」です。
誰かが消費しなけれ誰かの所得が増えるはずもない。
 
政府が通貨を創造し、実体市場に供給しなければ、民間はただただ限られたパイ(通貨)を奪い合う弱肉強食の資本主義ゲームに没頭せざるを得なくなるという寸法。
そこに加えて、この実体経済市場に通貨が足りない状況で、市場から通貨を引き上げる消費増税であります。
こんな狂ったことを20年間やり続けた結果、この国は衰退し、台風ごときで復興もままならないほど防災体制、供給能力まで毀損され、二次災害となる熱中症で死人まで出す有り様になってしまいました。
 
「緊縮財政は人を殺す」のだ。
 

私の目には、「欲しがりません、勝つまでは」とか言いながらインパールに向かう大日本帝国軍そのものに見えます。
 
つい昨日、日経新聞が「消費増税に節約で勝つ 日常生活品にこそ削る余地あり」「日常生活費を削減するため、まずは買わない生活を」として、消費活動を抑制させ日本経済を破壊すべく、”買わないチャレンジ”と題して「何カ月かすると、それまでは当然のように思っていた物欲が、ほとんど強迫観念のようなものだったことに気がつきました」と気の狂ったことを書いていました。
 
日本経済新聞も、冒頭で触れた日本経済団体連合会(経団連)や経済同友会などと同様に「家計簿脳」まる出しのマクロ経済ド素人です。
(名称に経済〇〇と付けられた団体の多くが、経済ド素人なのはなぜなんだ?)

日本ではこんな気の滅入る話題ばかりですが、海の向こうでは、本日、一つの兆しが生まれました。
 
欧州中央銀行のドラギ総裁が、
「ECBと各国政府は、金融政策ではなく財政政策に力を入れるべきで、MMTやヘリマネのようなアイデアにもオープンでになるべきだ(要約)」と発したのです。
 
この発言が、どこまで具体性を帯びた政策を想定しているのかわかりませんが、ドラギはECBと各国政府に向けて言っているので、各国政府に財政出動を勧めたうえで、ECBは金利面などでサポートにまわるということなのかもしれません。
また、発言からは「ECBが国債を直受け(財政ファイナンス)し、庶民に直接届ける」というようなこともうかがえるし、最後の貸し手( Lender of Last Resort「LLR」)役を担うということなのかもしれません。
 
ひょっとしたら先日のローレンス・サマーズの「金融緩和無効論・財政支出有効論」の発言( https://twitter.com/motidukinoyoru/status/1175748780118794240 )が影響を与えたのかもしれませんが、欧米の超大物の発言となれば自民党や財務省、経団連も無視はできないでしょう。
 

日本でも、山本太郎の影響もあり、国民民主の小沢一郎議員や原口一博議員、また立憲の川内博史議員ら大物議員からも消費税減税や積極財政の声が聞こえつつありますから、期待しても良いのだろうと思います。
 
それにしても、我々庶民が声を大にして「消費税廃止し、積極財政に転じなければ日本が衰退国家になる!!」と訴えていかなければならないと思います。
 
青山まさゆき議員のように諦めちゃった人も多いのでね..。

 

消費税は廃止にしましょう。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

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