プロパガンダは常に8割の事実に2割の虚偽情報を混ぜ込んで、扇動する。


オウムの麻原氏とサリン事件の主犯ら7名の死刑が執行されたので復習してみたいと思います。

ラジオ番組等で宮台真司先生や田原総一郎氏が述べているとおり、今回の死刑執行は政権の不祥事(モリカケ、公文書改竄、官邸の検察への圧力、各省庁の捏造と隠蔽)を隠すためのスピンコントロール的な意味合いがあるのではないかと思いますが、それにしてもこれから複数の再審請求が出されるとされているなか処刑を急いだのは、国家に都合悪い情報が隠されていたからではないかとも疑ってしまいます。

そもそも意思疎通の不可能な麻原が、オウムから離れた四女に遺骨を譲渡するなどという遺言をわざわざ残しますかね。
アレフに遺骨を渡すことで麻原を神格化されたくない国家にとってあまりにも都合が良すぎる。

また、宮台先生が同じく上記ビデオで、現在の安倍内閣や官僚、またそのフォロワー達(ネトウヨ含む)のオウム化・カルト化、同じように別集団のオウム化する可能性を心配しているように、今の我々の社会はいまいちオウムのことを社会心理学的、政治思想的に総括しきれていないにも関わらず、麻原らを死刑執行したことには、非常に薄気味悪いものを感じます。

そんなわけで、私の視点で注目したいポイントがあります。

例えば、以下は今まで陰謀論者が意図的に語ってこなかった事実。
 

▼オウムの政治的思想

 反米
 反原爆
 反軍需産業
 反ユダヤ(反タルムード)
 反フリーメイソン・イルミナティ
 反ディープステイト(米国と日本の影の政府)
 反グローバル企業(ロックフェラー・ロスチャイルド・モルガン等)
 反NWO(新世界秩序)
 反戦主義
 自作自演戦争説
 人工地震説
 不正選挙説
 エイズ=生物兵器説
 反在日米軍
 反ジャパンディスカウント
 米国による日本弱体化説
 親労働組合
 親ロシア
 親ベトナム・親キューバ・親アフガニスタン

   *後で触れるが上記のオウムの政治的思想についての多くは、通称「反Aビデオ(尾崎ビデオ)/ 原題”戦いか破滅か!現代の黙示録を解く!”」で語られている。
 


おわかりいただけただろうか?
上記主張のほとんとは、陰謀論者が言ってることと同じ内容です(笑)
 *上記主張に関しては細かい証拠も残っているので、気になった方は調べてみてください。

しかもこの手の主張は陰謀論どころか、実はナチスの主張とも多くが合致するこのにもお気づきいただけるでしょう。
それどころか右翼や左翼の主張、ロシアの主張なんかとも似ている。

【参考】
▼ ロシアと国際金融資本について① ~REN TVの暴露番組
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-11508464731.html

村上春樹は「原爆はアメリカの実験だった」と「反Aビデオ」で語られる内容とまったく同じことを言っていますが、しかしだからと言って、彼が反社会的人物とは言えないことも明確であり、主張が同じだからといって同一の志向性にあるとはいえません。

この世界で反米の人間がどれだけいるのかと考えたら、世界の人々の半分くらいが反米だということをもって、その世界の半分の人たちがオウムと同じ思想を持つ、なんてことは言えないことも明白でしょう。

つまりこれらオウムの情報を得て、どう考えるかはアナタ次第ということになりますが、同時にこの手の政治思想を持つ集団などが先鋭化することによるオウム化という問題も気をつけなければならない、と自戒とともに深く思います。


さて、その「反Aビデオ」をご紹介しようと思いますが、変に洗脳されるといけないので、「反Aビデオ」をご紹介する前に、まずはオウム批判や分析系のビデオを見ていただきたいです。

因みにオウムに関しては謎が多く、「第7サティアンで製造されていたのはサリンではなく覚せい剤」「オウムは統一教会(早川紀代秀)に乗っ取られていた」「北朝鮮と結託していて日本国家の中枢を破壊する計画があった」等多くの諸説が蔓延していますが、その辺の真相は私にはわかりません。

▼ 犯罪集団オウム真理教の真実
https://www.youtube.com/watch?v=Ia4H_6HJuxs&t=1s


 サリン事件から20年後に作られた番組。上裕氏の証言を中心に制作。

▼ オウム事件について、われわれが忘れてはならないこと  
https://www.youtube.com/watch?v=rzv6PUvr7k8

 事件当時からオウムを調査してきた社会学者の宮台真司教授の見解

▼ 19910928 朝まで生テレビ「激論!宗教と若者」(オウム真理教、幸福の科学) 
https://www.youtube.com/watch?v=LSyW8M33s30

 麻原をはじめ村井や上裕などのオウム幹部、幸福の科学幹部、元東大教授の西部邁先生、作家で幸福信者の景山民夫氏らが出演。

特に上記の朝生のビデオは凄まじく面白い。
91年といえばサブカル・ニューアカの全盛期で、タブーなくスピリチュアリズムを扱っている。

故・西部邁先生は保守派の経済学者・思想家ですが、この朝生のビデオを介して、なぜ彼がオウムを認めた宗教学者の中沢新一氏(現明治代教授)を、88年に東大の教授陣に反抗し、そして自身が辞職してまで迎え入れようとしたのか、理解できた気がすします。
それはやはり西部先生がエドマンド・バークの理論から「保守主義とは人間の知性を凌駕する伝統や慣習を重視する」との論理を軸としていることにも繋がるということなのだと思います。

私は90年代に中沢新一(現・明治大教授)の「チベットのモーツァルト(84)」にハマり、「アースダイバー(05)」まで継続的に読み進めたクチですが、今回オウムを再調査するにあたり、中沢先生の「虹の階梯―チベット密教の瞑想修行(81)」がオウムのバイブルと言われていたことを、恥ずかしながら初めて知りました。

密教や神秘主義、スピリチュアリズムの側面に限らずとも、政治思想面でいっても、例えば当時陰謀論的な情報に触れていなかった私が、もし1994年に「反Aビデオ」を見ていたら間違いなく洗脳されているんじゃないかと思います。

誰でも、一度教団に足を踏み入れてしまえば、Neuro-Linguistic Programming(神経言語プログラミング)などの高度な科学的洗脳テクニックにより虜になっていく可能性があるのだと思います。

私は過去に、アレフの洗脳手法に関して元アレフ信者にじっくりとヒアリングをしたことがありますが、善悪の判断が不明瞭になる領域に足を踏み入れることは、本当に怖いものだと感じました。


そんなわけで、皆さんも一度気持ちを引き締めなおしてから通称「尾崎ビデオ」、別名「反Aビデオ」をご覧ください。
(オウム信者の脱洗脳に尽力した苫米地英人氏の調査によるとオウムビデオにはサブリミナル・メッセージが仕込まれているので、注意が必要です)

▼ オウム真理教 制作 「戦いか破滅か!現代の黙示録を解く!」
https://www.youtube.com/watch?v=5kN4UoOcmF0

 

「反Aビデオ」の内容は、おそらく80年代後半から陰謀論を展開し、書籍を発表していた宇野正美さんや太田龍さん、広瀬隆さんらの影響を受けて再構築されたなのだと思いますが、ひょっとしたらロシアからの直接の情報も含まれる可能性もあります。

 「近代の戦争は全て彼ら”影の政府”が仕組んだものだ」
 「米国は、対日貿易による財政赤字で95年に破綻する」
 「米国が植民地日本の富を奪うために攻撃しようとしている」
 「バブル創出とバブル崩壊は米国多国籍企業の陰謀(大恐慌と同じ構造)」
 「世界統一のため30億人を殺害する計画(ハルマゲドン)」

…など、虚実入り乱れた情報が提唱されていますが、「反Aビデオ」が1994年に作られたもので、不正確な情報も多いことを鑑みても、インターネットのなかった時代にこれだけの情報を収集する能力があったことは驚嘆に値します。


オウム真理教の修行システムは不可知領域を知るための段階構造により構築され、その各段階ごとに知りえる、真理に近づくための情報があるとするもので、真理に到達したければ、システムに没入する他ない構造になっていました。

ヴィドゲンシュタインが「語りえぬもの」で、ハイゼンベルクが「不確定性原理」で不可知領域の存在を証明したように、また当の釈尊でさえ不可知なものがあると、「わからないものはわからない」としているのですが、高学歴の人間であればあるほど、知的好奇心から、「真理」という情報を確定させるために不可知領域に踏み入りたくなってしまうのでしょう。


それにしても、坂本弁護士一家刺殺事件からサリン事件に至る一連の事件が、高学歴の人間がやったとは思えない稚拙さで、しかも結局動機もわからないし、本当にオウムの犯行なのかどうかさえもわからない事件もあるというのがもっとも気になるところです。

検察も「上九一色村の土壌からサリンの残留物が検出されたことから地下鉄サリン事件はオウム真理教が組織的に行ったと推定したが、決定的な証拠が得られなかった」としているのです。


最後に、先日のアベマTVの番組から宮台教授の発言を抜き出します。
▼ 松本智津夫死刑囚を知らない若い世代が知るべきオウム真理教
https://www.huffingtonpost.jp/abematimes/asahara-20180709_a_23477362/

「彼らは僕と同世代。人も社会も輝きに向かって上昇する高度経済成長期に成長した。それが大学に入る頃、あるいは社会に出る頃、そういう時代が終わっていることに気がついた。日本は1973年から低成長時代に入ったし、続く80年代は"お祭り騒ぎ"のバブル時代。そんな社会に自分の居場所がないと感じる人間はたくさんいた。そこでオルタナティブな世界を作るオウム真理教が見出された

「オウム真理教は"ソフト路線"の裏で着々と海外展開と、サリンやVXガスなどの毒ガスだけでなく、銃の密造などによる武装化も進めていた。日本の支配者はアメリカなので、世直しのためには最終的にアメリカと戦うためのものが必要になると考えていた。ある意味では合理的だが、ちょっとマンガ的でもあるストレートさがあった」

「上祐氏は教団が総選挙に出ることに反対するなど、幹部たちとの間に齟齬が生じていたためにロシアに飛ばされたためサリン事件には関与していないが、そうでなければ死刑になる犯罪に関わっていたかもしれない。上祐氏をはじめとする元信者に聞いて感じたのは、誰もが幹部になりうる立場にあったし、幹部になれば誰もが同じことをした可能性があるということ。また、幹部たちは裁判で"麻原に言われたから"と証言しているが、普通だったら"いくらなんでもできません"と断るはずだ。それでも断れなかった理由については、裁判では明らかになっていない

「松本死刑囚は特殊な他者操縦の手法を使い、強い恐怖や崩壊感覚が生じさせた。信者たちは恐ろしい体験をしたくないという思いから言いなりになってしまっていた。僕も麻原や幹部が使っていたのと同じような手法を学んだことがあるが、3〜5分間くらい話すだけで吐いたり気絶したり、あるいはその寸前の状態から立て直したりと、手品のような姿に圧倒された。体が浮いているという体験、体が燃えているという体験、あるいは神の声が聞こえるといった体験を生じさせることもできる。そんな心の中に食い込むトレーニングによって操られた状態から逃れることは難しい。つまり脅されたわけでも、ある価値観に洗脳されていたわけでもなく、ただ"神秘体験を引き起こした麻原はすごい人だ"ということがあっただけ。そして、"麻原はすごい人だ"という前提で省庁制も回っていた。そこには今の首相官邸周辺とまったく同じ、権力者に気に入られるための忖度競争があったはずだし、これは帝国陸海軍や日大アメフト部のメカニズムとも一緒僕たちがよく知っている問題と同じ構造は今も繰り返されている。このことが多くの人に理解されないまま事件が忘れ去られるのであれば、同じことは再び繰り返されるだろうし、繰り返すことは非常に容易だ

「確かに松本死刑囚は社会に対する怨念を持っていた可能性があり、それによって社会の周辺、あるいは外側に出てしまったのだと思う。それが何と結びつくと"教祖"になってしまうのか、僕も知りたい。だが、そういうことのできる役人はいないだろう。ただ、ネトウヨを見れば分かるように、社会に漠たる怨念を持っている人たちは今もいるし、地下鉄サリン事件から10年後の2005年くらいから、若い人が宗教団体に入るケースはどんどん増えている。生きづらいけど、そこに行けば仲間がいて正直になれる。演技しないでいられる。教団幹部とは違うかもしれないが、今の若い人たちも負け組にならないように、落ちないようにと必死で生きていて、不安があるという点では同じだ。LINEの既読プレッシャー、キャラクターを演じ、KYにならないようにして、怯えながら生きていいる。性愛からも退却、"意識高い系"のような演技空間の中で日常を生きるのがどれだけ楽しいのか。この社会はクズだ、クソだと思うヤツがたくさんいても不思議ではない

2020年の東京オリンピックの後、日本は崩れていくと思う。そんな時、免疫のない若い人たちが宗教に関心を持ち、教団を回している人に神通力があると思い、この人達に従っていればなんとかなると考える。そしてその先には組織の忖度競争があり...と考えれば、誰もがオウムのようになる可能性がある。宇佐美さんがオウムを知っているギリギリの世代だと思うが、やはり物心が付いていない人たちは当時のことを覚えていないので、不安も恐怖も憎悪もない。だからこそ年長者が、昔オウム真理教というのがあって、人々がこういう動機で入って、こういうことになってしまったと述べ伝えていくべきだ」

 

 

 

 

本日はここまで。
ご覧いただきありがとうございました。

cargo
GOKU