憲法記念日でしたので、憲法のお話を。

1947年に中学一年生向けに作られた社会科の教科書が素晴らしいです。

皆さんは、この写真をご覧になったことがあるでしょうか?



この有名なイラストの原典が「あたらしい憲法のはなし」です。

あまりに素晴らしいので、私の好きな箇所を抜粋しますね。
 

▼ 「あたらしい憲法のはなし」 日本平和委員会 文部省
https://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html


二 民主主義とは
(中略)
 みなさんがおゝぜいあつまって、いっしょに何かするときのことを考えてごらんなさい。だれの意見で物事をきめますか。もしもみんなの意見が同じなら、もんだいはありません。もし意見が分かれたときは、どうしますか。ひとりの意見できめますか。二人の意見できめますか。それともおゝぜいの意見できめますか。どれがよいでしょう。ひとりの意見が、正しくすぐれていて、おゝぜいの意見がまちがっておとっていることもあります。しかし、そのはんたいのことがもっと多いでしょう。そこで、まずみんなが十分にじぶんの考えをはなしあったあとで、おゝぜいの意見で物事をきめてゆくのが、いちばんまちがいがないということになります。そうして、あとの人は、このおゝぜいの人の意見に、すなおにしたがってゆくのがよいのです。このなるべくおゝぜいの人の意見で、物事をきめてゆくことが、民主主義のやりかたです。


立憲主義が図的に表されています。
行政、立法、司法の三権こそが憲法を守らなければいけないことが、中二でもわかりますね。
 

七 基本的人権
(中略)
人間がこの世に生きてゆくからには、じぶんのすきな所に住み、じぶんのすきな所に行き、じぶんの思うことをいい、じぶんのすきな教えにしたがってゆけることなどが必要です。これらのことが人間の自由であって、この自由は、けっして奪われてはなりません。また、國の力でこの自由を取りあげ、やたらに刑罰を加えたりしてはなりません。そこで憲法は、この自由は、けっして侵すことのできないものであることをきめているのです。
(中略)
これを「自由権」というのです。しかもこれは人間のいちばん大事な権利です。このいちばん大事な人間の権利のことを「基本的人権」といいます。あたらしい憲法は、この基本的人権を、侵すことのできない永久に與えられた権利として記しているのです。

 


 

十二 財政
 みなさんの家に、それ/″\くらしの立てかたがあるように、國にもくらしの立てかたがあります。これが國の「財政」です。國を治めてゆくのに、どれほど費用がかゝるか、その費用をどうしてとゝのえるか、とゝのえた費用をどういうふうにつかってゆくかというようなことは、みな國の財政です。國の費用は、國民が出さなければなりませんし、また、國の財政がうまくゆくかゆかないかは、たいへん大事なことですから、國民は、はっきりこれを知り、またよく監督してゆかなければなりません。
 そこで憲法では、國会が、國民に代わって、この監督の役目をすることにしています。この監督の方法はいろ/\ありますが、そのおもなものをいいますと、内閣は、毎年いくらお金がはいって、それをどういうふうにつかうかという見つもりを、國会に出して、きめてもらわなければなりません。それを「予算」といいます。また、つかった費用は、あとで計算して、また國会に出して、しらべてもらわなければなりません。これを「決算」といいます。國民から税金をとるには、國会に出して、きめてもらわなければなりません。内閣は、國会と國民にたいして、少なくとも毎年一回、國の財政が、どうなっているかを、知らさなければなりません。このような方法で、國の財政が、國民と國会とで監督されてゆくのです。
 また「会計檢査院」という役所があって、國の決算を檢査しています。

 

「國の財政が、國民と國会とで監督されてゆく」
その通りです、国民と立法府が行政を監督していかなければなりません。

十五 最高法規
 このおはなしのいちばんはじめに申しましたように、「最高法規」とは、國でいちばん高い位にある規則で、つまり憲法のことです。この最高法規としての憲法には、國の仕事のやりかたをきめた規則と、國民の基本的人権をきめた規則と、二つあることもおはなししました。この中で、國民の基本的人権は、これまでかるく考えられていましたので、憲法第九十七條は、おごそかなことばで、この基本的人権は、人間がながいあいだ力をつくしてえたものであり、これまでいろ/\のことにであってきたえあげられたものであるから、これからもけっして侵すことのできない永久の権利であると記しております。
 憲法は、國の最高法規ですから、この憲法できめられてあることにあわないものは、法律でも、命令でも、なんでも、いっさい規則としての力がありません。これも憲法がはっきりきめています。
 このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、國会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の國がほかの國ととりきめた約束(これを「條約」といいます)も、國と國とが交際してゆくについてできた規則(これを「國際法規」といいます)も、日本の國は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。
 みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。


「憲法第九十七條は、おごそかなことばで、この基本的人権は、人間がながいあいだ力をつくしてえたものであり、これまでいろ/\のことにであってきたえあげられたものであるから、これからもけっして侵すことのできない永久の権利であると記しております。」と、憲法11~13条で語られた「基本的人権」を再度97条を軸に引用しています。

自民党の改憲案では97条から「基本的人権」を削除しようとしています。

憲法や民主主義の中で最も大事な「基本的人権」だからこそ、何度もしつこく言わなければなりません。

自民党は「ダブってるから削除するんだもんね」と言っていますが、自民党が基本的人権を削除しようとする意図が透けて見えますね。

「あたらしい憲法のはなし」で語られるように、「このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、國会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。」ということです。


憲法違反を繰り返す安倍自民党。

中学生でもいかにこの人たちがいかにクズいのかわかってしまいます。

 

 

昨日の憲法集会で97条のことを話すコメディアンの「おしどり」が素晴らしかった。

単なる原発芸人じゃないのですね。

(おしどりは1:05くらいから)

 


中二でもわかる「あたらしい憲法のはなし」。

全文もとてもおもしろいので、ぜひご覧いただきたい。

というか、ぜひ「基本的人権が憲法の何条に書かれているかさえ知らなかった」行政府の長・安倍さんにも呼んでもらいたいですね。
大丈夫。安倍さんでも理解できるレベルですから。


▼ 「あたらしい憲法のはなし」日本平和委員会 文部省
https://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html



本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

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