昨年の増山れなさんのベーシックインカム映画の上映会で、安部芳裕さんと話したときに山口薫先生の「公共貨幣」を激推ししていたのですが、良い機会なのですこしまとめてみたいと思いました。

オルタナ情報や金融システムに関してリサーチしている人たちの間では山口薫先生の「公共貨幣」について知る人も多いと思います。

松尾匡先生のヘリマネ論が現在の金融システムのマイナーチェンジ案を提唱しているとしたら、山口薫先生の「公共貨幣」論はまさしくメジャーチェンジ案を提唱していることになります。
 

▼ 山口薫 (経済学者)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E8%96%AB_(%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E8%80%85)
Ph.D.(理論経済学)
カリフォルニア大学バークレー校大学院博士課程で数理経済学(一般均衡論)を学ぶ。
指導教授であったジェラール・デブルーは1984年に、またジョージ・アカロフは2001年にノーベル経済学賞を受賞した。
その後カリフォルニア州立大学、サンフランシスコ大学、ハワイ大学、MIT経営大学院カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクール 等で教鞭をとる。
ユネスコ系NGOの世界未来研究学会(World Futures Studies Federation - WFSF)前理事、世界科学芸術アカデミー (The World Academy of Art and Science) フェローとなり、アメリカの連邦議会でもシカゴプランの重要性を訴える。

2013年、信用創造と債務貨幣マクロ経済システムの欺瞞を暴いたところ、同志社大・教授職を解雇されてしまう。以降、二度の提訴に至る。
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/AboutUs-j.html
 

 


上述のように、主流学派の学者として素晴らしい経歴をお持ちの山口先生が、2013年に信用創造を放棄するシカゴプランに触れた『Money and Macroeconomic Dynamics』を出版した直後、同志社大学に解雇されてしまいます。

解雇後の2015年9月に出版した「公共貨幣」がオルタナ派のあいだで話題となり、今に至るという経緯です。


さて、まずはシカゴプラン https://en.wikipedia.org/wiki/Chicago_plan って何?ということですが、1929年の世界大恐慌後にアーヴィン・フィッシャーをはじめとするシカゴ大学の6人の経済学者により提唱された金融システム改革論です。
債務危機の原因は恐慌を産み出す負債貨幣システムの構造であると指摘しました。

その理論を山口先生が以下で簡単に説明していますのでぜひご覧ください。

 

シカゴプラン研究会(公共貨幣、ポジティブ・マネーなど)
https://www.facebook.com/ChicagoPlanforJapan/posts/457213631096775

・現在の通貨制度では信用創造により金融機関が通貨を無から創造できるため、実質上通貨供給量は中央銀行ではなく大手銀行などの金融機関が管理している(英国では流通している英ポンドのうち97%以上が、日本では82.5%が金融機関による信用創造により発行)。

・金融機関はあくまでも営利活動として通貨発行=融資を行うため、好景気時には通貨発行が過剰に行われてバブルやインフレを生む一方、景気が後退すると貸し渋りや貸し剥がしを行い、恐慌やデフレを引き起こす。

・また、通貨が銀行融資=債務として発行されている以上、常に通貨流通量以上の債務が政府債務あるいは民間債務として社会に存在しており、椅子取りゲームよろしく必然的に誰かが椅子に座れなくなる=破産に追い込まれる構造がある。

・このため、銀行が現在行っている信用創造を禁止し、あくまでも中央銀行自体が、あるいは中央政府の通貨管理局が通貨発行権を回復するようにすることで、政府への無利子融資を実現したり、金融機関による通貨流通量の不適切な管理を是正したりできる。

・米国では憲法により、議会に通貨発行権が認められている。日本でも法律により、政府通貨の発行が可能で、実際500円玉以下のコインとして流通している。なので、政府通貨の発行は現行法の枠組みでも可能(そうでなければ法律を改正すればいいだけ)。
 

 


私も懇意にさせてもらっています元参院候補者でジャーナリストの増山れなさんが、山口先生にインタビューしています。

 

▼ 公共貨幣山口薫×増山れな
https://www.youtube.com/watch?v=VrV9iZKwzM0

【抜粋】

・もともと貨幣改革の研究をすると大学を追われることはアメリカで知っていた
・250年間もこの債務貨幣経済システムを運用することによって富を得てきたウォール街の人たちが、その根幹を崩してしまうような研究を許すはずがない
・OWS、トランプ、Brexitの例をみるように1%の支配階級の統制は急速に崩れてきている
・トランプは三年で10兆ドルの債務を返済する義務を負うが、借り換えでこの額を返済するのは不可能であるので、唯一の解決策である政府紙幣を発行するしかなくなるかもしれない
・左右や資本主義vs社会主義などの分断統治を乗り越えて貨幣改革を成し遂げなければならない
・ブロックチェーンを利用した電子マネーで政府通貨を発行するべきだ
 


山口先生、すごく良い人だなあという印象です。
インタビュー動画自体がとても短い中で、簡潔にわかりやすく論理を説明してくれています。


長めの尺のビデオも紹介しますね。

 

▼ 電子公共貨幣で新国生み  山口薫
https://www.youtube.com/watch?v=96r0CCpsQsg

【抜粋】
スライブ動画の図を使って国際金融権力による世界の支配構造を説明    
リンカンやケネディー、カダフィーは中央銀行制度にてこ入れし、政府通貨を発行しようとしたから暗殺された


富の集中 2015 62人が世界の富の半分を所有 →  2016年には8人が世界の富 の半分を所有
  

(http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-21001)


「フィッシャーの交換方程式[MV=PT]」を用い、金融市場と実体経済市場の乖離を指摘


なぜ金融緩和によってベースマネー(マネタリーベース:日銀が創造するお金)を増やしてもマネーストック(マネーサプライ:市中に出回る)が増えないのかをリフレ学者は説明できない
新古典派、ケインズ学派も説明できない


好景気不景気が繰り返されるのは、神の手ではなく人の手で生み出した欠陥債務貨幣システムが原因




この問題を解決できるのが「公共貨幣」
ベースマネーとマネーストックを統合し、政府だけが貨幣を発行、市場で都市銀行に信用創造させないようにする


この250年間の資本主義経済で最大の発明である「仮想通貨」を利用すれば公共貨幣の発行も容易に可能となる


電子公共貨幣(EPM)を法貨として発行するための法改正

 
EPMの導入効果


「公共貨幣で新国生み」イニシアティブ

 


公共貨幣  山口 薫  (著)

公共貨幣 公共貨幣
 
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本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

次回ももうちょっと「公共貨幣」に関して掘ってみたいと思います。

ではまた。

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