共謀罪の構成要件を改め、組織犯罪処罰法とくっつけて、テロ等準備罪(組織犯罪処罰法、正式名称:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)とした法案。

ややこしいですが、こちら、通称「共謀罪」と言います。

マスコミはこの共謀罪法案が通過した今になって「共謀罪はテロ対策ではない」と、政府が嘘をつき続けたことに触れているのですが、もっと早くに言ってほしかったですね。


特に以上の視点が、あまりマスコミによって語られていなかったのですが、このように問題の本質に触れない手法は、郵政民営化の時もTPPの時も起こったことです。
逆に安保や原発のときには起こらなかったこととなりますでしょうか。

マスコミや有名人は、本当に都合の悪い法律の本質部分には目をつぶるようなのです。


共謀罪は第一次アーミテージレポートの劣化コピーと位置づけられると思います。

知っている方も多いと思いますが、「アーミテージレポート」や「年次改革要望書」は、ある意味「予言の書」であります。

ここに書かれていることがどんどん現実になっていくので、これから何が起こるか確認する意味でも重要であるはずですので、再度見ていきたいと思います。


その前にマンガでちょっとひと息。

 

▼ まんがイラスト ぼうごなつこのページ

http://bogonatsuko.blog45.fc2.com/

 

 


さて、15年に山本太郎議員が「安倍政権の政策はアーミテージレポートの完コピだ」と発したことで有名になったアーミテージ・ナイ・レポート。

アーミテージ氏とナイ氏は先日亡くなったブレジンスキー氏と同じく、国務省系官僚のOBにより構成される「CSIS」の理事を務める、いわゆるネオコン派であります。

ジャーナリストの山崎淑子さんは4年も前に、米国の「共謀罪×愛国者法」が日本の「共謀罪×秘密保護法」の元ネタであり、00年の第1次アーミテージレポートでその計画が綴られていると注意喚起しています。

 

確認してみましょう。

 

▼ 山崎淑子コラム『 #秘密保護法案 に内在され、仕込まれている米愛国者法と共謀罪の本性とは?』
2013/11/18 山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル! 

http://enzai.9-11.jp/?p=15668 

特定秘密保護法案が今週後半にも、強行採決されようとしています。
 日米司法の冤罪被害者(http://enzai.9-11.jp/?p=3520)である山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル!が同法案の成立に反対する理由は山ほどありますが、最大の懸念は、これが「米国並みの法整備を整えるように」との米側要求(アーミテージ氏とナイ氏のCSIS、2000年のリポート)によって、日本の警察官僚が準備した治安法案であるという危険な背景にあります。
 
 ご周知の通り、米国には極めて適用範囲が広く、有罪無罪のガイドラインが曖昧なため冤罪多発の温床となっている“共謀罪”が存在し、1980年代から猛威をふるって『密告・監視・言論統制社会』を強化させてきました。
 
これに加えて、周到に準備されていた“愛国者法”を2001年9月11日のテロ事件を理由に、翌月の2001年10月にスピード採決、米議会が可決成立させた実績がある“超法規的”法律。それが愛国者法です。911直後、米国民はテロへの恐怖心と愛国心が高揚するさなか、「ドサクサまぎれ」の超スピード成立に、疑問の声をあげるどころか歓迎ムード一色の雰囲気でした。
(後略)

 


さて、実際のアーミテージ・ナイ・レポートではどのように書かれているのか、”テロ対策”や”日米間の情報の共有”の部分だけ抜き出します。

 

▼ 2000年 第1次 アーミテージ・レポート  (INSS Special Report) 
 2001 年 2 月 9 日  日商岩井ビジネス戦略研究所 溜池速報

http://tameike.net/pdfs1/inss.PDF

 

(前略)
【諜報活動】
44. 皮肉なことに冷戦の終了と共に、脅威はより曖昧になり、政策上の選択肢はより複雑になり、このため世界中の安全保障への脅威について、死活的な情報を調査し収集することへの必要性はますます強まった。
日本政府は、現状の日米諜報協力がその必要を満たしていないことを明らかにしている。

45. 米国にとっては、この分野で日本と協力を拡大する可能性は明らかである。
同盟国は分析を比較し、また競合させることで政策を一致させる必要があるが、同時に相違点を明らかにすることも必要である。
諜報を共有することは最終目的をも共有することを意味する。
それ以上に、分業(相互の比較優位に沿って分析作業を分かち合うこと)は諜報部隊に恩恵をもたらす。
日本は世界中に関与しており、戦略的諜報対話のために貴重な情報と分析をもたらす能力を有している。

46. おそらくそれ以上に、 日本との戦略的な諜報協力は遅きに失したといえる。日米の諜報協力をしないままだと、同盟にとって共通の理解と行動が必要になったときに、われわれの認識、さらには政策までもが分裂してしまいかねない。

47. 日本にとっても、米国との間の情報協力の発展は重要である。日本の更なる国際貢献のためには、より強力な日本独自の諜報力とともに、米国との協力拡大が必要である。

(中略)
51. 米国が行うべき事は以下の通りである。
●国家安全保障担当補佐官は、諜報協力の強化を政策上の優先事項としなくてはならない。

●CIA長官は米国の政策策定者と調整し、日本の国家安全保障上の優先事項と合致するような方法で、日本との協力を拡大しなければならない。
不法移民・国際犯罪・テロ等の国境を越える諸問題は、すべて両国で省庁間の調整を必要とする。

52. 日米間のより緊密な情報関係には、両国の政治的な支援も必要となる。この観点から、日本は以下の数点の措置を取る必要がある。
●日本の指導者層は、機密保持のための新たな法律について国民的、政治的支持を得ることが必要であ る。

●諜報能力の改善は日本の政策決定の支援体制を改善することになるが、日本の指導者たちはみずからの意思決定プロセスをも改善する必要があ
る。諜報の共有は日米間だけではなく、日本政府内でも行われるべきである。

●これまでの経験からいって、諜報プロセスにいかに国会を含めるかについての議論が必要である。
民主主義国家における諜報の監視は、政治的な支持を維持するにあたり決定的に重要な要素である。


なるほど、大筋にではありますが、宗主国のアメリカ様が日本をどうしたいのか指令が送られていますね。

第二次、第三次ではどのような記述があるのかも気になったので、ざっと読んでみました。

結果は以下の通りです。

 

▼ 2007年 第2次アーミテージ報告
憲法改悪反対共同センター

http://ratio.sakura.ne.jp/uploads/2007/05/070216armitage.pdf

 

(前略)

地球規模の対テロ戦争は、問題を正確に捉えていない誤った命名である。
実際には、これは過激主義との戦いであって、軍事的手段で対応できるのはそのわずかな部分にすぎない。

過激主義に対抗し、アラブ世界での進歩――『国連アラブ開発報告』で示されているような――を奨励するにあたって、日本の豊かなソフトパワーは、長期に
およぶ過激主義の根源に向けることができる。
増大しつつある過激主義に対抗し、それへの代案を提示するために、開発援助といったソフトパワーを戦略的に位置づけることは、日本にとって重要な地球規模の使命である。
(後略)


第二次ではほとんどテロ対策や情報共有に関して、日本の法律に手をつっこむような内容には触れらていませんね。

 

▼ 2012年 CSIS「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載 
2013.2.3 IWJブログ

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226

 

 サイバーセキュリティー
情報保証における共通の安全装置と標準を持たずしては、米国と日本の通信経路は外界からの侵入に対して大変脆弱である。米国は国家安全保障局(NSA)と共にサイバー対策を運用する一方、日本は同等のレベルを満たしていない。この不均衡を軽減するために、米国と日本は共通の情報保証標準の研究と導入に向けた共同サイバーセキュリティーセンターを設立すべきである。そのような開始は日本の脆弱なサイバーセキュリティー基盤を強化し日本の国防を援護するだろう。サイバーへの理解と協議なしには、安全保障上の問題に関する同盟のより強大な連携は制限されるだろう。

(中略)
 日本に対する提言
新しい役割と任務の見直しにおいては、日本は地域の有事における自国の防衛と米国との共同防衛を含めることで責任の範囲を拡大する必要がある。同盟国には、日本の領域をはるかに超えて拡張した、より堅牢で、共有され、相互運用の可能な情報・監視・偵察(ISR) の能力と運用が必要である。

平時から緊張、危機、戦争状態まで、安全保障上のあらゆる事態において、米軍と自衛隊が日本国内で全面協力できるための法制化を、日本側の権限において責任もって行うべき。
(後略)


以上、IWJの訳文は山崎淑子さんらによるものです。

第三次でもテロや情報共有に関しては、ほとんど具体的なことは触れられていない。

不思議ですね。

第一次では「秘密保護法制定」にまで踏み込んできていたのに、第二次、第三次ではほぼ触れられていない。

「日本政府がすでに要求を受諾したから、これ以上要求する必要がない」からと捕らえるべきなのでしょうか。


結論をまとめるとすれば、アーミテージレポートからわかることは、テロ対策を口実とした通信傍受の強化と日米の情報連携の強化となりますでしょうか。

この点に関して、現在の日本は、「NSC設立」、「特定機密保護法」、「通信傍受法の拡大」、「共謀罪」まで進んだ状態となっています。

今後は、「通信傍受法のさらなる拡大」、「FEMA設立」、「憲法の緊急事態条項の付与」へと進んでいくのでしょう。

ニーメラーで言うところの2段階目までは進んだ感じでしょうか。


以下は大正時代の「治安維持法」を扱った新聞記事




本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

cargo

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