イギリスの総選挙の投票日は6/8となりますので、コービンの討論会とインタビュー動画の翻訳記事を急いでアップすることにします。

http://www.newstatesman.com/sites/default/files/styles/nodeimage/public/blogs_2016/07/gettyimages-512659466.jpg?itok=ivVceL_Y


先日、立命館の松尾匡教授に紹介されたんですが、こちらのブレイディみかこさんのブログにあるコービンインタビューがすごいらしく。

▼ 2017英国総選挙:コービン労働党が奇跡の猛追。「21世紀の左派のマニフェスト」とは? 
- ブレイディみかこ/Yahooニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20170531-00071556/

 

▼ 久しぶりにコービンに泣かされた 
- ブレイディみかこ ブログ

http://blog.livedoor.jp/mikako0607jp/archives/2017-05-30.html

 

ブレイディさんが涙を流すほど感動したコービンのインタビュー動画、とても気になったので翻訳させてもらったという流れになります。



イギリス総選挙は、先進国で初めて「中央銀行の支配体制を突き崩すことになる首相」が生まれるかもしれない、非常に非常に重要な選挙です。

ぜひ皆さんにも、世界から注目されるコービンが何を話すのか、知っていただきたいと思いました。


*約40分と長時間ですので、完全な翻訳ではなく意訳を含む要約という感じになります。
正確ではではありませんし、意味を理解できず間違っているところもあるはずですので、あくまで参考程度にご覧いただければと思います。


まずは前半からどうぞ。
 


Jeremy Corbyn Q&A, Paxman interview - Battle for No.10 (29May17)
SkyNews/Channel4 special: 'The Battle for Number 10

https://www.youtube.com/watch?v=3RwEQPf3c6A

 

観客 : (拍手)

司会者 : 
今回の討論会は労働党の党首、ジャーミー・コービンさんをお迎えしています。
質問者はバランスを考慮して選別させていただきました。
保守党支持者、労働党支持者、無党派という具合です。

女性の質問者 : 
マンチェスターのテロの後、あなたは演説の中で、政府は全てのテロ攻撃を防止することはできない。テロの脅威を拡大させるより外交政策を縮小すべきだと発言しました。
ISISは明確に敵であり、交渉不可能だと思うのですが、なぜあなたは彼らに対する外交的態度を軟化させたのでしょうか?

コービン : 
私達の外交政策を軟化させたということではありません。
まず無実の市民が犠牲になったことを非難したまでです。
私達は全ての女性が安心して暮らせるような社会を望んでいます。
残忍で忌まわしい出来事でしたが、警察の捜査も進んでいます。
ポイントは、あるべき外交政策として、たとえばリビアのように広大な地域を、統治する政府なしに放置していけないということです。
それは血塗られた事態を招くことになりかねません。
とにかく、もっと多くの警官を配置すべきであり、減らすべきではないということです。
私達は警官をさらに1万人増やし、安心できる未来をお約束する。
そしてテロの起きない多文化社会を目指し、またムスリムの良き面も守ります。
全ての人々にとってもっと安全な世界を目指します。

観客 : (拍手)

女性の質問者 : 
もしその地域で軍事的協力が必要とされた場合、ISと戦う国々と連携しますか?

コービン : 
シリアでISと戦う国々や組織との連携は複雑です。時に彼らは互いに戦いもしている。
大事なのはISの資金源や武器の供給を断ち切るということであると共に、イランや近隣諸国を含め和平協議を進めることです。
それだけでなく、いまだ混迷の続くリビアとも建設的な対話をすべきです。
まだまだ可能性の眠るリビアです。難民キャンプの人々にも前向きな希望を届けたい。


男性の質問者 : 
マンチェスターでテロが起こりましたが、我が国でテロが起こるのは初めてのことではない。
貴方と労働党の議員2名はIRAをサポートしていましたよね?
テロを防ぐということに関して、いったいどうやってあなたを信用しろというのでしょうか?
        (*訳者注 : 場の空気が凍りつく 笑)

【4:10】
コービン : 
確かに私は政府から渡航禁止されていた北アイルランドに70年代と80年代に行きましたが、それは平和的な対話をするためであり、停戦に導くという結果にも繋がりました。
結果としてトニー・ブレアがベルファスト合意を成し遂げましたが、私達は皆満足していますし、ベルファスト合意は世界的にも停戦協議の良きモデルとして評価もされています。
今の世界では平和と対話こそが必要なのです。中東やコロンビア、もしくは南アフリカのような地域でも。

司会者 : 
それでは、あなたは実際的なテロ防止策として、武装した警官の数を増やすべきと思いますか?

コービン : 
誰もが安全な社会に暮らしたいでしょう。
もちろん誰もが街角で武装警官などは見たくはないが、今は人命を守るため必要とされます。


男性の質問者 : 
コービンさん、あなたは私の質問にちゃんと答えていませんよ。
あなたは過去にIRAの活動を支援していた。
たとえばですが、ロックホールで殺されたIRAの若者のために式典が行われました。
おそらくあなたの選挙母体から、彼らがなぜ殺されたのか知らされているはずです。
         (*訳者注 : この辺うまく聞き取れませんでした。すいません、適当な訳です)

コービン : 
私はあの時、誰もが北アイルランドで殺された者のために黙祷を捧げていたロンドンにいましたが....

男性の質問者 : 
(コービンの答えをさえぎりながら)コービンさん、あの式典はロックホールで殺された若者に対する式典であり、彼らは二人のイギリリスの警察官を殺害しようとしていたからですよ。

コービン : 
私が寄付を行ったのは北アイルランドとの和平協議の対話のためであり、対話でしか打開できない状況で、それは良かったことだと信じています。
私達が明確にしなければならないのは、戻ることのできないBREXITの議論についてであり、アイルランドと北アイルランドの隔絶のことでもあります。
         (*訳者注 : この辺もうまく聞き取れませんでしたが、IRAに関する詳細な説明を避けている印象も感じました)

【7:05】
司会者 : 
(遮るように)OK、ありがとうございます。次にジョン・デアさん。

ジョン・デア(次の質問者) : 
コービンさん、多くの有権者があなたのマニフェストに賛同しているが、私にはあなたが本当にこの国を効果的に運営できるか確信がない。
あなたこそが国の舵取り役を担えるとどう納得させてくれますか?

コービン : 
我々のマニフェストに多くの人々が賛同していただけたことに感謝いたします。
このマニフェストは労働党ならびに多くの支持基盤から承認を得ています。
このマニフェストは我々が政権を取るために作ったものであり、これは未来への投資についてのもので、若者への投資のために作られたものです。
我々は膨れ上がった定員過多の教室も作らないし、病院で長い列に待つようなこともさせない、何百万の人が社会保障受けられず待ちわびる状況も許さないし、人々に路上生活をさせることも許さない。
我々の選択は非常に明確です。
このマニフェストは未来への投資を語ったもので、企業に少しばかりの法人税をかけ、超富裕層にも税金をお願いし、95%の人がこれ以上税金を払うことのないようにするものです。
もしくは富める者と貧しき者の格差が拡大する中における、緊縮財政の継続や公共支出の削減について語ったものです。
私はこのマニフェストにとても誇りを持っていますし、労働党を率いれることにも誇りを感じます。
そして何よりも、このマニフェストを政府として法律に制定し、実際に機能させることができることを誇りに思うのです。
           (観客、拍手)

司会者 : 
ジョンは実際にあなたのマニフェストを歓迎しているということでしたが、あなたのリーダーシップに疑問を投げかけていましたので、明確にお答えいただけますか?

コービン : 
私は、ジョンと私が分かり合えたと思っていますし、うまくやれると思っていますよ(笑)
ジョン、人々がお互いを認知しようとするとき...、もちろん人生においては自分が賛同できる人にも賛同できない人にも出会いますが、私は常に彼らをもっと知らなくてはならないと思います。
それは私が知らないことを彼らは知っているからです。
傲慢でいては他人の意見に耳を傾けることも、新しい知見を得ることもかなわないでしょう。
私にとってのリーダーシップとは、これ(口を指差す)を使うことよりも、これ(耳を指差す)を使うことに重きを置くことです。
           (観客、拍手)

女性の質問者 :
コービンさん、私のように、労働党を支持し続け、Brexitに賛成した有権者についてどう思うか聞きたいです。
あなたは移民政策についてどのようにお考えですか?
保守党は移民の受け入れ数まで約束しましたが、なぜあなたはしないのでしょう?

【9:45】
コービン : 
私達は国民投票の結果を受け入れ、EUを離脱しますが、まず優先事項として、私達の労働市場を守るためにEUとの自由貿易協定に関して議論する必要があります。
もっとも近いご近所としてのEUとの未来の関係性についてです。
移民政策についてですが、EUにおけるヒトの自由な往来が問題になり、私達はEU離脱を選択しました。
この先はこの国の経済状況なども鑑みながら移民政策を考えねばなりません。
我々は移民を制御しなければなりませんし、我が国とEUの保護(保護貿易のこと?)もしなければなりません。
         (*訳者注 : この辺の訳にあまり自信ありません)
同時に考えなければならないのが、これから移住してくる人たちに対しては、今以上に良い医療サービスや教育や交通システムを提供できないということです。
それらを維持するための資金が膨大であるためです。
しかし加えて言いますが、私達は企業が低賃金の労働者をこの国に連れてきて、さらなる賃金削減によって使役することを許さないということです。
           (観客、拍手)
私達は過去に恥ずべき賃金削減を経験しコミュニティーに大きな衝撃をもたらしました。
一方で労働党の党首で首相だったゴードン・ブラウンが講じたような効果的な地域投資を復活させなければいけませんし、新しい移住者のためのセイフティネットも必要でしょう。
我々はEU離脱を受け入れるが、同時にEUとの良い関係を望み、我々自身の将来もコントロールします。

司会者 : 
ロクサーヌ(質問者の女性)が、あなたが移民の受け入れ数について語らないと指摘しましたが、48000は多いですか?少ないですか?
            (*訳者注 : 現在は年間24万8000人の純増)
【12:00】
コービン : 
私は移民の制御に関しても考えてきましたが、たぶん今より多くはならないでしょう。たぶんですが。
これ以上の移民受け入れは、教育分野や就労支援分野の資金不足により困難であることも理解する必要があります。
           (観客、拍手)

司会者 : 
OK、ミランダ、どうぞ。

ミランダ(質問者) :
私には、労働党のBrexitに対する姿勢が魅力的には見えません。
保守党と労働党に大きな違いが見出せないのです。
私が労働党に投票すべき理由を教えてください。

コービン : 
我々は民主的な選択であった国民投票の現実を受け入れなければなりません。
この選択はEUから去ることでもなく、ヨーロッパを去ることでもありません。
私達はこれからも関係性を維持しなければならないのです。
我々はEUの国々にイギリスにおいての権利を保証します。
特に英国の大学はヨーロッパと良い関係を保つべきで、労働の権利も守るべきです。
警察やインテリジェンスの情報共有や、環境保全に関する合意なども大事なもののひとつです。
海を挟む両岸で海洋汚染に関する同意と共同作業が必要です。
とにかく、ヨーロッパとは分別ある自由貿易関係を構築しなければならないということです。
イギリス製の車もドイツ製の車も部品は両サイドから供給され、同じことが飛行機や多くの製造業についても言えます。
このような取引は続けるべきだし、続けなければなりません。
もしやめてしまったら産業を破壊してしまうということです。
しかし私達が望まないことは、タックス・ヘイブンを介した低税率によってヨーロッパを脅かしたくないというようなことです。
高い賃金と良い投資によって経済を成長させ、隣国と、そして世界との良き関係を作るのです。
           (観客、拍手)

【15:05】
次の男性質問者 : 
こんばんは、ジャーミー。
私は労働党支持者の善良な両親に育てられた、零細企業の経営者です。
なぜあなたは、私を投票不可能にする政策を掲げたのかお答えください。
たとえば、26%の法人税、ゼロ時間契約(Zero-hour contract:非正規労働)の廃止、10ポンドの最低賃金などを掲げ、子供の教育費に上乗せすることなどです。
           (観客、拍手)

コービン : 
法人税は2010年には28%でしたが、政府はどんどん減らしていきました。
私達はそれを止め、26%に戻す必要があります。
なぜならこの国は富める者と貧しき者の間で悪い格差が開いているからです。
法人税を下げていった結果を想像してください。
あなたは子供達が定員飽和状態のクラスに通う姿を見て幸せですか?
あなたは多くの子供達がおなかを減らしながら学校に通う姿を見て幸せですか?
あなたは多くの人々が病院で手術のために列をなし、百万の人々が公的社会介護を待ちわびている姿を見て幸せですか?
あなたはこれらの問題を無視することを看過できないはずです。
私はあなたのような伝統的な労働党支持者が、労働党が人々が幸せになるための政策をもつから支持していると信じています。
あなたのお子さんがもし将来家を建てたいとするなら、私達はより良い機会を与えられるでしょう。
あなたのお子さんがもし大学に行きたいとするなら、私達はその費用をかせようとはしません。
なぜなら私たちは、子供達が大学を卒業し資質ある市民となったことで利益を得るからです。
私たちのマニフェストでは、子供達により良い生活を送ってもらい、経済を良くするための調整をしているのです。

そして中小企業に関してですが、私自身も中小企業で働き、働く人々の声に耳を傾けてきました。
多くの労働者は大企業から搾取されてきましたが、我々はその懸命に働く人々を守り新しい経済システムを作りたいのです。
もちろん2020年までに最低賃金を10ポンドに引き上げるのですが、それはWorking tax credit(勤労税額控除)からも少し使うかもしれません。
                   (*訳者注 : 意味がいまいちわかりませんでした。 原文はたぶん →surely a 10pound an hour minimum wage living wage a real living wage by 2020 would mean we actually spend probably a bit less of working tax credit)
しかしこれは多くの人々を幸せにし、地域経済に対し多くのお金を消費することに繋がります。
あなたにもう一度考えてもらいたいのですが、いったいどうやって我が国は福祉国家となり、国民保険を確立したのでしょうか?
それは冷戦時代に、労働党が勇敢に戦ったからであります。
そして将来も労働党は同様のことをするでしょう。
           (観客、拍手)

【18:19】
別の男性質問者 : 
こんにちは。私はあなたの核縮小に対する姿勢をずっと支持してきました。
あなたは核を廃絶することに準備はできていますでしょうか?
もしそうなるならどのような環境になりえるでしょうか?

コービン : 
私は核ホロコーストから安全な世界に住みたい。
核兵器が使われれば世界のどこにいても災害となります。
私は生涯を通じて反戦活動組織や国連とともに核非拡散のため、核廃絶のため活動してきました。
私は、首相の責任は世界平和に貢献することだと思っています。
それは危機に対し敏感であり、6者協議における中国のふるまいや、オバマ元大統領のイランとの核協議に注意を払うことでもあります。
それだけでなく、他のサイバー攻撃などの脅威もあります。
ちょうど二週間前に国民保険サービスに攻撃があったばかりでもあります。
さらにはマンチェスターテロも起こりましたが、我々は国際社会とともにインテリジェンスの拡大を通じて我々の生活と社会を守るべきであり、さらなる世界の安全のために貢献するべきでしょう。

司会者 : 
デビッドの質問とともに実際的な議論を続けましょう。
あなたは11日後に首相になるかもしれませんので、潜水艦の兵士に命令書を送らなければならなくなりますが、できますか?

コービン : 
私は適切な命令を下すでしょう。
彼らこそ我々の責任ある海軍兵士なのですから。

司会者 : 
OK、今夜は我々の質問に答えていただいてありがとうございました。

 

 

アメリカやフランスの大統領選をしつこく報道していた日本のマスコミが、イギリスの総選挙に関してはほとんど触れないんです。

僕が知る限りではこの数日で、NHKでテロ報道とからめる形で、2回のみって感じでした。
よほどコービンの存在が都合悪いのでしょうかね(^^)


おそらく、マスコミとしては、欧州において右翼も左翼も「過度な移民の流入」に反対していることを、日本国民に知られたくない。

あくまで「人種差別の感情をあらわにする極右が移民に反対している」というむきで印象づけたいのでしょう。


経団連やグローバル企業、政財界のお金持ち達は、奴隷のように低賃金で使役できる外国人労働者の流入を期待していますので。


アメリカの大統領選では、
「移民に寛容な正義のリベラル・ヒラリー」 
   VS 
「差別主義者の悪のオルタナ右翼・トランプ」という構図、

フランスの大統領選では、
「移民に寛容な正義の中道リベラル・マクロン」 
   VS 
「差別主義者の悪の極右・ルペン」

という構図をもって印象操作したかったのだろうと思います。


もちろん、ご存知の通り、ヒラリーもマクロンも、単なるネオリベグローバリストであります。


ところがイギリスの総選挙は、
「過度な移民流入に反対するが寛容な左翼・リベラルのコービン」 
   VS 
「移民流入に反対する保守のメイ首相」という構図です。

そればかりかコービンは「人々のための量的金融緩和」を提唱しており、「ヘリマネ」に近い政策をもって、グローバリストの利権の本丸である中央銀行の支配体制を突き崩そうとする存在であり、グローバリストにとっては非常に都合の悪い存在でもあります。


あれれ? 
マスコミは「移民に寛容なリベラル」を応援してるんじゃなかったっけ??

おそらく、印象操作のやり方に困ったマスコミは、無視することに決めた、ということなのではないでしょうか。


移民政策に反対する人たちが画一的に、外国人を嫌っているわけでもないし、ましてや人種差別主義者であるわけもないのです。
 


次回は、コービンの討論会の後半をお伝えします。

ご覧いただきありがとうございました。


cargo(GOKU)

 

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