先月訪日したノーベル賞経済学者のスティグリッツとクルーグマンの、安倍政権に対する提言は”祭り”ともいえるほどに話題となりましたが、日本でも元金融大臣の亀井静香議員がまったく同じことを異口同音に発しています。


ということで、本日は上記三方の発言を比較してみたいと思います。

ちなみに、亀井静香氏のインタビューが行われたのは3/17なので、後だしジャンケンではない。
亀井静香氏は常に同様の発言を一貫して続けている。

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▼ 亀井静香インタビュー  抜粋・要約


出展: 高橋清隆の文書館
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1896654.html
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1896908.html
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1896971.html

■ ハゲタカのための政治はやめるべき
政府は年金をハゲタカの餌として提供している。
株価が下がれば兜町に年金基金(GPIF)をつぎ込み、上がればハゲタカが米国に持ち帰る。
国民は株価の変動によって財産を持っていかれ、生活が苦しくなっている。


■ 地域に即した財政出動を
新幹線や道路整備など進め、スーパーゼネコンだけでなく地域への波及効果を見越した財政出動(公共投資)をしなければならない
東京一極集中も変えなければならない。


■ マイナス金利政策も意味がない
銀行に金が貯まるようにしても、借り手がない。経済が悪くて店舗や工場を増やしたりできない状況を踏まえずにやるから結局、兜町に流れていく。
ローンの金利が下がったと威張っているが、庶民の目から見たら、銀行に預けておいても駄目だし、兜町のばくち場に投げ込んだって、ヘッジファンドの餌食になるだけ。
庶民に何もいいことない。
実体経済に良い影響は与えない。


■ 景気浮揚のために需要を増やすべき
景気をよくするためには、消費を増やすことが必要で、そうすれば生産も雇用も増えていく。
中小企業がもうからないまま同一賃金・同一労働と言ってみたところで、状況を改善することは不可能


■ 消費税増税は絶対にダメ。  保育園など福祉に財政出動を
経済を良くするには、中身を伴う財政出動が必要だ。新幹線のほかに、保育園の増設や保育士の増員、福祉関係施設の整備などが急務。
増税は絶対駄目。
そもそも、やれない。やらない状況をつくるために米国の学者の手まで借りてるが、日本人の頭で考えたってできっこない。
かつて、増税で景気が良くなった例は1つもない。


■ 新安保には反対
自主防衛を強化するならいいが、外国にまで出掛けて行って、米国に言われて戦争の手伝いをすることを後押しするような新安保には反対だ。


■ 日本国民の魂の自主憲法制定を
国民が最も恐れてるのは、消費増税延期と引き換えに改憲に着手すること。解散・総選挙を目して「国民の声を聞く総理だ」と演出している。
改憲は経済失策の目くらましとなる。
ごまかしだけで憲法改正はできない。一部を改正して手続きをちょっと変えても、「変えた」などとは言えない。
やるなら日本人の魂のこもった自主憲法を制定するのが、本当の憲法改正だ。


■ 野党結集を
憲法学者や文化人に加え若者まで、今まで声を上げなかった人たちが声を上げている。そういううねりの中で野党が結集しなければならない。
農業団体や生協を含め、国民運動の中で選挙を勝っていく仕組みを作る。


■ マスコミは死んでる
マスコミにまともな報道を期待したいが、今のマスコミは死んでる。
戦中と一緒。権力におもねているだけ




先月訪日したノーベル賞経済学者のスティグリッツとクルーグマン、2人の提言も以下にまとめておきます。

まずはクルーグマンから。

官邸から「この会合の内容はコンフィデンシャルで機密扱いなので他言なきように」と釘を刺されていたのに、何かが気に入らなかったのか、クルーグマン自身が”うっかり流出”させてしまった(笑)
もちろんマスコミが報道することはない。(扱ったのはゲンダイだけ)
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▼ ポール・クルーグマン: 私が東京で言ったこと


英文の原典  https://twitter.com/paulkrugman/status/713695837927448576
日本語訳  http://ch.nicovideo.jp/niconicoffee/blomaga/ar997582


○ 世界的なデフレ化が進行 - We are all Japan now 「日本化 Japanification 」
全世界の先進国が日本化し、デフレで経済が悪化している。
少しでも景気の良い国に資本が集中するため、通貨高になり、国の競争力を弱くして、やがてその国の景気が悪くなるという悪循環に陥る構造。
円高は他の主要経済国からの資本流入により引き起こされた。


○ 量的金融緩和はすでに限界。 これ以上のマイナス金利も無意味
金融緩和は一応成功したが、財政出動がままならない。
マイナス金利は今は有効に機能しているが、これ以上は無意味だ。


○ 財政出動(公共投資)せよ。 消費税増税は見当違い
日本は累積債務が巨額だが、自国通貨建て(日本円)の国債であるし、国債の長期金利がマイナスになっていることもあり、今なら財政出動しやすい。
需要喚起の為に借金に耐え財政支出せよ。
財政難だからと消費増税するのは見当違い。


○ 構造改革(規制緩和)は需要を押し上げない。 少子化対策せよ
構造改革はだいぶ的外れ。
デフレ脱却にも繋がらない。
将来の労働力を拡大(少子化対策)することのほうが優先されるべき。


○ 民間の賃上げを喚起せよ
日本の民間部門における賃金を上げを促すべき。
企業のデフレマインドには、道徳的な呼びかけ以上の制度による手段が必要。
インフレターゲットは2%以上に。


○ デフレ不況脱出には、経済主要各国で協調した財政出動が必要
緊縮財政から脱し、各国が協調して財政出動を行うべき
ヨーロッパは統一通貨ユーロを使っているので、デフレ不況脱出のための財政出動がやりにくい。
フランスも財政出動できる能力はあるがユーロのせいで動けない。
イギリスがEUを去る可能性もある。
財政出動のためには、日本とカナダが比較的動きやすい状況にある。
気候問題への対策が必要。、イノベーション促進や景気刺激にも使える



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▼ ノーベル経済学者スティグリッツ教授による提言


出典:首相官邸 (英文原典と日本語訳)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/gijisidai.html

○ 量的金融緩和により富裕層にお金がバラ撒かれたため、格差が拡大し社会が不平等化した

○ 経済浮揚のための唯一の効果的手段は公共投資(インフラ/テクノロジー/教育/若者/女性に)し、賃上げで平等性を高め内需拡大すること

○ 緊縮財政/マイナス金利/法人税減税/金融市場の規制緩和/社会保障の民営化は無意味。 むしろ逆効果

○ 炭素税を含む環境税/金融取引税/グローバル企業税の導入

○ TPPも経済効果ないので米国では批准されない

○ 世界基軸通貨制度の検討を


▼ テレ朝によるスティグリッツ・インタビュー
http://matome.naver.jp/odai/2145823562817232701

○ 消費税増税は経済に混乱をもたらすのでやめるべき

○ トリクルダウンは起きない

○ 格差是正なくして経済成長なし

○ 保育園や少子化対策に財政出動を

○ 世界恐慌は世界の需要不足が原因



以上です。


やはり亀井静香こそが王道、次期総理大臣にふさわしいですね。


余談ですが、おとといテレビで田中角栄×石原慎太郎の特集をやっていました。
石原氏の著書「天才 田中角栄」の刊行のプロモーションの一環であったようです。
天才



ロッキード事件がキッシンジャーにより仕掛けられた謀略であると石原慎太郎氏が暴露し、また属国であることの悔しさを語っていましたが、さすがだなあという印象。

当時、田中角栄と反目していた石原氏が、74年に文芸春秋に寄稿した「君、国売りたまうことなかれ」という文章があります。

2009年、安倍晋三首相は、自身のメルマガで、小沢一郎氏(元田中角栄派)が天皇陛下を政治利用したとして、石原氏の「君、国売りたまうことなかれ」を引用しディスりました。

しかし2014年、亀井先生はさらに著書「慎三よ、国滅ぼしたもうことなかれ」で、ばっちりアンサーを決めています。
晋三よ! 国滅ぼしたもうことなかれ ~ 傘張り浪人決起する~



亀井さんは石原氏の盟友でもあり、小沢氏とは共闘関係、そして安倍首相を弟と目する位置関係にあります。


政治っておもしろいですよね。

まるでラッパー同士のビーフを見ているようです 笑






世界の99%を貧困にする経済 - ジョセフ・スティグリッツ


世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す - ジョセフ・スティグリッツ


これから始まる「新しい世界経済」の教科書: ジョセフ・スティグリッツ


そして日本経済が世界の希望になる -ポール・クルーグマン (PHP新書)


亀井静香―最後の戦いだ。