最近気になってる一連のニュースがあるんです。
(終戦記念日が近づいてきるからというのもあるんですね)


エンタテインメント業界と深くかかわる件であり、かつ多角的な方面でもこの先いろんな波及が予測でき、ほんとにすごくいろいろ考えさせられる一件だと思うんです。


差別問題、資本主義、歴史認識、エンタテインメントや報道のあり方、正義、価値観、心理的波及、、、、ほんといろんなことをはらんでいます。


以下は概要です。


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〇「韓流番組を過剰に放送している」としてフジテレビに反感を持つネットユーザーたちが、8月8日の「フジテレビの日」に同局の番組を視聴しないとする運動を起こし、デモ活動に約2000人が参加した。

〇その様子を中継したニコ動は10万人が試聴し、2ちゃんでは過去最高数500以上のスレッドが立った。

〇「不視聴運動」は宮崎あおいの夫、高岡蒼甫の発言がきっかけで、同氏はその発言を理由に事務所を事実上解雇されている。

〇同局が韓流番組を「寵愛」する理由については、「株主であるスポンサーが韓流に関わっているうえ、韓流番組は日本の番組より低価格なため、低コストで高い収入が期待できるため」としていると推察できる。

ソースはこのへん>>
http://www.j-cast.com/2011/08/01103148.html
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0808&f=entertainment_0808_003.shtml


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■当日の現場の様子
(★結果的に数千人が集まったこのデモ運動のニュースを、なぜかテレビのニュースでは取り扱っていまません。
ぼくはそういうある種の検閲的なやり方で封じ込めようとする意図が見え見えなのは逆効果になるんじゃないかと思いますし、人権の自由を尊重しているわが国でこういう”検閲行為”や"情報操作"が公然と行われていることにビックリで、如何なものかとも思いました)

フジテレビ抗議デモ、最終的に数百人が参加。
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52483010.html
http://blog.esuteru.com/archives/4380115.html


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■騒ぎが大きくなっていくまでの流れはこんな感じです。

「韓国のTV局かと思う事も」宮崎あおいの夫・高岡蒼甫がTwitterでフジテレビ批判
http://www.cyzo.com/2011/07/post_7996.html

止まらない芸能人の「韓流傾倒テレビ」批判 今度は芸人・ふかわりょうがJ-WAVEで苦言
http://www.cyzo.com/2011/07/post_8072.html

「花王ショック再び!?」"高岡騒動"で懸念されるテレビ局のスポンサー離れ
http://www.cyzo.com/2011/08/post_8112.html


■このへんの流れを総合的に扱ったまとめ
K-POP人気は本物か?ブームの裏
http://www.cyzo.com/mt/mt-search.fcgi?blog_id=1&tag=K-POP&limit=7&IncludeBlogs=1


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以上の一連のニュースをネットで見てていろいろ思いました。

今回の件は2ちゃんを中心としたスレッドで漠然とした反韓感情もあいまっての批判的な意見が多く投じられているような現状なのですが、ぼくは根本的に、排他主義/分離主義に通じるようにも感じてしまうんです。


まずこれ、このまま過剰な方向に行ってしまうとひょっとしたら「ノルウェイの大量殺人事件」みたいなことになりかねないんじゃないかっていう。。


あの事件の根底にある感覚って「外人たちが移住してきてオレたちの仕事を奪っていくのはけしからんからヤっちまおう」っていう旧西側/ヨーロッパでありがちな極右的でネオナチ的な思想ですよね?

で、フジのデモの背景にある構図も簡単に言うと「K-popやら韓流やらサムソンのせいでオレたち日本人の利権が奪われてる、けしからん」みたいな感じじゃないですか。




確かに個人的にも、近年の中韓の経済的/技術的追い上げには脅威を感じます。
(**本来ならばこの文脈では中国を出すべきではないですが、今日本人が感じている"追い上げの脅威"という視点で"中韓"をひとつのククリとしてとらえさせてもらいました)

で、国家的にも、個人レベルでもそういう波によって、われわれ日本人の実益が損なわれているようにも感じることもあるんです。

でもそれってしょうがないっちゃしょうがないですよね?

人間の基本的な幸福を追求する権利として、彼らだって金持ちになってちょっとでも楽な生活がしたいのですから。
で、商売相手としてもっともお金を出してくれそうな手ごろな相手が日本人だった...。
単純にそうとも言えるんですね。



きっとわれわれ日本人が中韓の経済発展に反発を抱く感情の背景にあるのは、「卑怯な手を使ってゴリ押ししてきやがって」とかっていう理由も少なからずあると思います。

でもみなさんの記憶に新しい以下の例をとっても、そういう単純な構図に落とし込めることのできない"もっと考える余地"をはらんでるようにぼくは感じるのです。


①例えば、まず最近あった「中国の新幹線事件」。
これは中国が日本の新幹線の技術とその使用権利を借りて導入したのにもかかわらず、自国の独自の開発によるものだと主張し、あろうことか特許まで申請している、というものでした。(結局ウソのほころびが出て大量死亡事故まで起こしてしまいましたが)
多くの日本人が「他人のもの盗んどいて、自分のものにしようとするなんて、盗人猛々しいにもほどがある!」と感情的になったことだと思います。
でも、この件、そもそも特許を取ってなかった日本人のおマヌケな危機管理能力のなさが原因である、とも言えないでしょうか?
「良識的にありえん!とかモラルとして卑劣だ!」って言っても、悲しいかな国際社会においては法律こそが正義なんです。


②そして、以前からもずっとある問題ですが、最近また起こった「竹島の一件」。
これは竹島を調査しようとして韓国に入国しようとした日本の政治家が入国拒否され、韓国の市民運動家に罵詈雑言を浴びせかけられた、という類のものでありますが、この一件をとっても過去の日本国政府の危機管理能力のなさから韓国による竹島の実質支配を許してしまい、軍隊まで配備されてしまったという経緯によるもので...、
例えば「置き引き」をされても、法律的にその盗まれたであろう荷物が自分のものだと証明できなければ、置き引きしたであろう相手を犯人だと断定できないでしょ?、っていう構図と似てると思うんですね。。
いや、お怒りの感情はわかりますが、法律的にどうしようもないわけです。。
(国際法廷で争えばいいのでしょうが、結局日本政府がビビって踏み込めないんでしょう。。)


③また近頃、わが国のトップメーカーである日立がサムソンらとの価格競争に敗れ、70年続いたテレビ製造事業から撤退したという事件もおきましたが、これも結局国際競争に敗れてしまっては、「その技術はオレたちから盗んだものだ!」とかなんだとかって言っても、「敗者には発言権はありませんよ」という数々の歴史的事件が証明してるような袋小路におちいることになりますし、
いちユーザーとして個人的に見ても「こんな細かいめんどくさい機能いったい誰が使うんだよ!」っていう余計な機能の開発に資金を投じ、またサードパーティーとの既得権益の獲得の共有で甘い汁をすすろうとするばかりに、企業努力の方向を誤った結果、販売価格的にも立ち行かなくなり国際競争力を失っていった日本企業のあり方にも理由があると思うんです。
実際「そこそこのクオリティーとデザインで安い商品を買いたいし」っていうコンシューマーのリアルなマインドとかけ離れていってしまったという「日本の家電メーカーが世界市場で中韓企業に負ける理由」もつぶさに伺えてしまうので、結局なんとも被害者意識みたいなところだけで語られるべき一件ではないなと察するに至ってしまうわけなんですね。


④文化のレベルでのK-popや韓流に翻弄される日本のエンタテインメント業界についても、単純にコンシューマーのリアルなニーズからズレていって、協賛企業からのマネーの獲得だとかっていう目先の金儲け主義のみに奔走してたことが、裏目に出ているだけと言わざるを得ません。
韓流ドラマに関しては、ぼく個人的にはレベルの低い模造品くらいにしかおもってませんが、それを好きな人たちがある方面ではマジョリティーとして存在していることは事実ですし、またK-popに関しても明らかに歌も踊りもうまくて見た目もクオリティー高いし、日本のメインストリーム・ミュージックが完敗したという一言に尽きるとも思います。
だから2ちゃん系のネットとかで文化のレイプ的行為みたいに扱われてる現状とかに対して、「単純にしょうがねぇんじゃね」って思ってしまうんです。
(決してカルチャーとしてレベルが低いって言ってるわけではないですが、音楽業界を例にとると、音楽として考えたときどう考えてもAKBなどのアイドルやアニソンよりK-Popのほうがレベルが高いし、とにかく日本人は歌がヘタッピなのをカバーするためにただのセックスビジネスともとれるようなアイドルゴリ推しのビジネススキームでやってきてしまったというのが一番の敗因だとも思います)
結局、韓国のエンタテインメントビジネスが、世間の時代の感覚を取り込んでうまく商売していった結果成功しているともいえますので、その結果わが国のエンタテインメント業界がいまさら地団駄踏んだってもう遅いってことになるのかと思います。




とにかく、日本の経済/カルチャー全体を考えるときに、上記に連ねた現象が日本経済に対して現れた顕著な例として背景にあるのかなと思いますし、未曾有の大不況のなか、フジテレビ含めいろんな日本企業が「韓国製という今売れるアイコン」に投資するのはごくごく自然な行為である、といえば自然だと思うんです。



今回のフジテレビならびにスポンサー企業不買運動に参加した、ある種の右的感覚を持つ日本人が「中国人、韓国人なまいきだ!」って思う感情の背景って上記の事件やらによってよりさらに助長されたところも非常に大きいとは思います。
((確かにフジテレビの捏造や洗脳レベルでのサブリミナルと取れる行為や、韓国政府がスポンサーになっている韓流をゴリ押しすることはプロパガンダにつながると思いますので問題かとも認識しています))



でも現状、この国が、そうやって中韓のハングリー精神にやられてこうなってしまった以上、
ぼくは一度とことんまで占領されてみるのもいいと思うんですね。


だって歴史ってそういうもんじゃないですか。


諸行無常。


平家の世の時もあれば源氏の時もある、バビロニアが制圧するときもあればローマが復興するときもある。


そうやって文化の伝播って視点で見れば、紆余曲折を経て、どうにかなっていくもんなんだと...。



卑怯だろうがなんだろううが、現代社会では法律に触れてさえいなければ(もしくは法的に多少ヤバても力技で組みほぐせる技があれば)、「既成事実を先に作ってしまったほうが勝ち」なんだっていうのもありますし、現在の日本国に住むわれわれとしてはそういうハングリー精神をもった人たちと対峙するためには、ただただ危機管理だけが必要なんだなって思う限りっていう。。


そう考えると、今のこの国のこういう負け犬的敗走を続ける状況が何を物語っているかというと、ひょっとしたら端的に「国際競争力がなかった」というひとことに尽きるのかもしれませんね。


もちろん「誠実で良い人でいたい」っていう感情ってすごく大事ですし、ぼくも個人的には損得のてんびんを差し置いてもそうでありたいとは思っています。

仏教の世界では、そういう、他人をかえりみず自分の欲望だけを追い求める人間やその状態を餓鬼や阿修羅と言うらしいですが、実際の資本主義の現場ではそういうモラル感とかはあんま関係ない。。



でも、感情的になって、他人の国の国旗を焼いたり、罵詈雑言を浴びせかけたりっていうことをして

そういう、例えば、彼の国の人たちと同じ「知的レベルの低い人間」に陥ってしまうのは

日本人としての品位を落としかねると思いました。



他人に卑怯なことされて出し抜かれたとしても、

笑顔で、真に知的で正しいことをしてればいい。

やっぱりそういう誠実さが最後には後悔しないで済む。



そう思うのです。


ネットの住人たちは今月21日にまたデモを仕掛けようとしているらしいですが、なんか尊敬されうるカタチでやってほしいと思います。



以上、徒然ismで時事問題Shitから思ったことでした。




余談ですが、そんなことを思いつつも、これ笑ってしまいました。
(不適切な表現も含んでいますが、ぜひとも大きな心で見ていただけるとおもしろいと感じると思います)
http://www.youtube.com/watch?v=FSzRjnq9boY&feature=player_embedded