空を見上げていた
真上にあった逆さの虹
「変な虹」
目を丸くして見ていた
写真を撮った
これも過去になってしまうんだな
でもこれは今なんだ
夢見心地で現実との区別がつかなくなる
この写真を見て懐かしがる自分を想像して
含み笑いをした
不安定に流れる時間に身を投げて
誰かが手を握ってくれるのを待っている
都会の中唯一見渡せる道
気がつけば虹は消えていて
すぐに過去の話になった
空は怪しげな青色に変わる
奥の方で紫のじとりとした色が交わり
「夜が来る」
ぼんやりと月が言っていた
昨日とは違う今日だった
色が溢れるように 昔の色も少し取り戻せた気がした
でも一年前とは違うんだ 足りないものが増えた
それを隠すようにこうして私たちは人生に色を重ねてく
悲しみを避けるため忘れるため 残酷だが私も人間だった
しばらく歩いて突き当り細い道を進む
どこか懐かしい道だった あの頃には戻れない
寂しい でも隣で君は笑っているから
前を向いて私も笑った
プールの水面が夜の淡い青を写し揺れている
その奥には都会の姿がちらついていた
でも綺麗だ
帰り道 君の顔がいたずらに歪む
私はそれが面白い 君の反抗心を叶えてあげよう
走り出す 無我夢中で時折上がる息のなか笑い声を上げて
君は何を考えている? どこまで走る?
意外とあっという間に終わってしまった
君は日常にないスリルとこの快感に震えているだろうか
家に歩いて帰る 君は言う
「自宅についた」
違ったかと笑う君は寂しげで
私は思う 寂しい時は会えばいい
足りない時は満たせばいい 来たい時は来ればいい
ここは君の家でも構わない
事実より先に君に感謝したい 君に笑顔を増やせるように
言えなかった さすがに嘘っぽい
君は明日も笑ってくれるだろうか
私は見ていよう 残酷で非常でも
私は私 君は君 違うけれど
共通点を探し お互いの傷を舐めあうのだろう
黒く染まった街にちらほらと光が灯る
闇に溶けていく君を見ていた
見送るのは寂しい でも
過去があるなら
これからの未来に少し期待したっていいだろ
自惚れていい?