停止して黒歴史を振り返ってまた生産工場 -9ページ目

空を見上げていた

真上にあった逆さの虹

「変な虹」

目を丸くして見ていた

写真を撮った

これも過去になってしまうんだな

でもこれは今なんだ

夢見心地で現実との区別がつかなくなる

この写真を見て懐かしがる自分を想像して

含み笑いをした

不安定に流れる時間に身を投げて

誰かが手を握ってくれるのを待っている

都会の中唯一見渡せる道

気がつけば虹は消えていて

すぐに過去の話になった

空は怪しげな青色に変わる

奥の方で紫のじとりとした色が交わり

「夜が来る」

ぼんやりと月が言っていた

昨日とは違う今日だった

色が溢れるように 昔の色も少し取り戻せた気がした

でも一年前とは違うんだ 足りないものが増えた

それを隠すようにこうして私たちは人生に色を重ねてく

悲しみを避けるため忘れるため 残酷だが私も人間だった

しばらく歩いて突き当り細い道を進む

どこか懐かしい道だった あの頃には戻れない

寂しい でも隣で君は笑っているから

前を向いて私も笑った

プールの水面が夜の淡い青を写し揺れている

その奥には都会の姿がちらついていた

でも綺麗だ 

帰り道 君の顔がいたずらに歪む

私はそれが面白い 君の反抗心を叶えてあげよう

走り出す 無我夢中で時折上がる息のなか笑い声を上げて

君は何を考えている? どこまで走る?

意外とあっという間に終わってしまった

君は日常にないスリルとこの快感に震えているだろうか

家に歩いて帰る 君は言う

「自宅についた」

違ったかと笑う君は寂しげで

私は思う 寂しい時は会えばいい

足りない時は満たせばいい 来たい時は来ればいい

ここは君の家でも構わない

事実より先に君に感謝したい 君に笑顔を増やせるように

言えなかった さすがに嘘っぽい

君は明日も笑ってくれるだろうか

私は見ていよう 残酷で非常でも

私は私 君は君 違うけれど

共通点を探し お互いの傷を舐めあうのだろう

黒く染まった街にちらほらと光が灯る

闇に溶けていく君を見ていた

見送るのは寂しい でも

過去があるなら

これからの未来に少し期待したっていいだろ  

自惚れていい?


ずっとずっと

期待されて期待はずれにされて

ずっとずっと

いい人にされて嫌な人にされて


何に答えて欲しいの

僕は何も答えられない

奥に奥に閉じこもって

雲のように流されて

空ももう見飽きてしまった

君は僕を支えてくれると言った

守ってくれると言った

大丈夫だと言った

僕はそれに救われた

それを嘘だと知って

雨になって落ちた


それが励ましの言葉だとしても一時のもので

嘘は嘘なんだ 本当じゃないんだ

支えてくれない守ってくれない大丈夫じゃない

ああ それならはじめから言わないでくれ

嘘は好きじゃない 嘘つきは嫌いだ

嘘つきの君は嫌いだ


足のつかぬまま浮いて過ごす

無邪気な君は僕を笑って離さない

無邪気な君は僕をその目で離さない

気がついたら首に糸が巻き付く

君の言葉で風船みたいに上下左右

痛い痛い締まる首 だけど

どこか嬉しいんだ そしたら

君はもっと可愛い良い子を見つけてきた

君は僕を掴むその手を離した

僕の首には糸が巻き付いたまま

浮いていく浮いていく

糸が緩んでもう痛くない

なのに今度はどこが痛いの

君は可愛い子と遊んでた

君に続く心の糸は締まるばかりで

どうしても君を嫌いになれない

こんな時どうすればいい?







優しく滑らかな雨

私は雨の日が好き

暗くじめじめと怖気を招くような空気の中で

蛍光灯がぼんやりと部屋を照す

そんななかにも笑い声が絶えないのが

少し可笑しい

貴方は今日も笑っているだろう

私はこんな日に何を思えばいい

貴方には純粋でいてほしい

それだけ


私は雨の日が好き

皆落ちてきた 水溜りになって繋がって弾けて

また空に登るだろう

ずっと一緒 一緒だよ

そう言って雨粒は二つに別れた

私のように 貴方のように

もしも本当にずっと一緒にいられるなら

指きりげんまん

約束するよ 貴方だけ




彼女の夢を見る

彼女とこのままずっと一緒に

それは叶わないらしい

僕はそれを知っている

だから彼女の手を取る

夢だから握らせて

一緒にいようよ

覚めぬようにゆっくり

僕と彼女だけ僕と彼女だけ

野原で寝よう

雲を歩こう

海に浮かぼう

夢だから君と一緒にいたい

ああ 覚めそうだ

夢のままでいたい君といたい

ああ 君は覚えてるかな

あの日僕は君と過ごしたこと

あの日君は僕と過ごしたこと

ああ 君は覚えていてね

この夢で僕は君と過ごしたこと

この夢で君は僕と過ごしたこと

あっという間に忘れてしまうんだね

僕もだよ僕もだよ

だから忘れたくないんだ

ああ 覚めそうだ

野原さよなら

雲さよなら

海さよなら

君さよなら

またの機会にまたの機会に

またがあったら

また君と寝よう歩こう浮こう

ああ 彼女はどこへ行ってしまった

お見送りも無しだった僕は寂しい人

ああ 彼女は笑っていた

ありがとうありがとう 君がいてよかった

それが夢のなかだけでも

夢でもよかった 君といられてよかった

もう覚めるんだ

きっと君を忘れてる

だけどきっと君を思い出す

ああ ありがとう

















箱庭で泣いていた

小さな小さな女の子

傷だらけの女の子

クローバーの枕に

ブナの葉っぱのお布団被る

凍える夜を過ごすのね


蟻さん見つけた女の子

小さな小さな蟻さん

よいしょよいしょ角砂糖

楽しく運ぶ蟻さん達

遠目で見てた女の子

仲間はずれの女の子

寂しい寂しい女の子

いつかくるその日を待つ

踏み出す勇気は無かったの


箱庭の女の子

やせ細った女の子

遠目で蟻さん見てた

遠目で蝶さん見てた

遠目でダンゴムシさん見てた

遠目でブナの木さん見てた

遠目でクローバー見てた


小さな女の子は

何も言わずに干からびた

健気な健気な女の子

蟻さん横目で女の子見てた

そしたら

可哀想に と呟いた