停止して黒歴史を振り返ってまた生産工場 -8ページ目


黒か白かなんて誰が決める?
君にそんな権利はない。
私がそれに囚われる必要もない。
私に色は付かない。
それが白とは限らない。
透明な私に色が飛び散っては滴り落ち、
周りに溶け込む。
私はどの色でもないけれど、
どの色にもなれる。
でも一つなれるとしたら
太陽と月のように黄色く透かして地球を回りたい。
退屈そうに回りたい。



夜突然怖くて寂しくなるのは
暗くて誰もいないから
夜突然怖くて悲しくなるのは
静かで誰もが寝てるから
夜突然君と話したくなるのは
月の光が綺麗だから
夜突然君に会いたくなるのは
黒く澄んだ夏の空が美しいから

夜は正直で
夜は嘘つき
夜は綺麗で
夜は汚ない

夜に寝たら
朝また会おう
夜は暗くて怖いから
君と寄り添い眠りたい



いい子にはなれない
いい子ってなんだ?
従うのがいい子 従わないのが悪い子
知っていた、知らんぷり
逃げる私は悪い子
耳を塞ぐのは悪い子?
「悪い子ね」
知っていた、聞こえないふり

泥んこで遊んだ
服を汚して叱られた夏
虫カゴをぶら下げて
森の中を歩いた夏
星が綺麗だった夜

悪い子ね
いつまでたっても子供なんだから
暗くなる前に帰るのよ


あの夏は戻ってこない
過去が恋しい愛しい
過去ほど愛したものはなかった
今が嫌いで、未来に怯えるのは懲り懲りだった
本当にもう二度と戻らない?
何度も問いかけた
残酷にも私は首を縦に振った
ガッカリだ
それだけだ
今を恋しく思う未来があるなら
今を愛することしかできないんだ
それだけだ











冷たい檻の中

雨がしとしと

水溜りに広がる波紋を眺めてた

いいないいな

買ったばかりの長靴履いて

坊やジャブジャブ遊んでた

舐め回すように羨むように

坊やの横の虚ろな母さん眺めてた

隣の檻の女の子

可憐で健気な薄汚れた女の子

目を合わせるとはにかんで

その姿素振りに胸が高鳴る

ある日女の子の檻の扉が開いた

変な人が女の子の手を引いていた

何してるの

扉にかかった南京錠が音を立てて揺れていた

馬車に乗った女の子

何処行くの

ちらりと見えた女の子の顔は

思いのほか嬉しそうで

いつものようにはにかんでいたから

やきもきしてしまった

女の子はこっちを向いた

ばいばい

手を振るとしばらくして馬車が動き出す

ばいばい

気づけば鼻声で叫んでいた

女の子はもうこっちを見なかった

しょっぱいな





嘘でもいい 慰めてくれ

そう言って後で裏切られた気持ちになるかい?

お母さんお母さん 欲しいものが欲しくて

欲しくないフリをした優しい子供は

ふやけたクッキーをもらい笑っていた

好きな子が転校してしまったなんて

他の子には言えないけど

そこまで好きじゃなかったから今度はあの子にしようとか

またまた トイレの中で泣いていた


浅く高く なんとなくで決められていた

寂しさも幸福感も価値観であった

彼女はとても幸せそうだと

多くの友人 愛しい恋人 温かい親

誰もがそう感じ疑わない

実際はわからないんだ 彼女は手首を切ってるかもしれない

多くの友人の中には特に親しい友人はおらず

愛しい恋人には暴力を振るわれ 日々体の傷を増やし

温かい親は彼女を責め立て追い詰めているかもしれない

わからない そうなんじゃない? 噂にして嘘にして

曖昧じゃなきゃ作れない世界

それで笑っている彼女も泣いている彼も

泣いている彼女かもしれない笑っている彼かもしれない

わからない

そう終わらせればどこか安心したように

夜はみんな眠るから

おやすみ

細長い道をふらふらと不安定に歩く

空は真っ暗で地平線まで続く道がぼんやりと光を放っていた


暗闇から稀に伸びる指のない手

握ってみてもその手は冷たくて

しばらくそのままにした後すぐに離してしまった

握り返してくれないその手には用はないんだと言うように


先に続く道の上には蛍のような光の玉が揺れている

それがこの暗黒の中の希望だとしても

掴もうとする それどころか手を伸ばすことさえしなかった

ゆらゆらと揺れる光の玉を尻目に歩き続ける


ある日思い立って道を戻ってみようとした

後ろを振り返ったがすぐ目の前が一面ガラス張りで

一歩前 半歩前にも戻れない

後ろには前に歩いた時とほぼ同じ景色があった

一つだけ違うとしたら 後ろの奥の奥

うっすらと青い空が浮かんでいる事だった


囁きが聞こえる

大丈夫大丈夫 と 暗闇に透き通った声が響く

どこか懐かしく 濁りが感じられない

私は立ち止まって

来ることのない朝までそれを聴いていることにした



また同じ道でつまずく

やっぱりねって君は言う

そんな 

僕が馬鹿みたいじゃないか


もうすぐ夏が来る

毎年この決め台詞

去年海に行ったんだ

もう去年になってしまったのかと

時間が経つのは早いねと言う

遠い昔のような気がしてならないのは

去年にあったものが足りなくなったから


ここは何故か見たことあるんだ

細い道を指さして言う

君は気のない返事をした

このひと時に浸っていたいんだろう

僕もそうだ


胸が痛いのは明日が来るから

明日が来るなら明後日も来るから

頬杖をついて考え込む

自問自答に自己嫌悪

住宅街に隠れた地平線の先に問う

夢はあるの? 希望は?

本当に馬鹿みたいだ

あるはずもないのに手を伸ばす

行き場の無い手に一人恥ずかしくなって

そっと手を下ろした

夕日が沈んでた