みなさんこんにちは、講師の山本です。

 突然ですが、この文字知っていますか?

 

\phi

 

 これはギリシャ文字で "ファイ" または "フィー" と読みます。

 数学では、ギリシャ文字をたーくさん使います。

 ということで、今日は「ギリシャ文字についてなんか色々知ろう!」の回ですニヤリ

 

 

数式でよく使われるギリシャ文字一覧

 数式でよく使われるギリシャ文字をまとめると次のようになります。
 
「数式でよく使われるギリシャ文字一覧」
 
 同じ文字でも読み方がいろいろあるものがあります。
…なんだが、ギリシャ文字ってややこしいですね…。どうしてわざわざこんなややこしいものを使うのでしょうか。a, ..., zとその大文字を合わせて52個もありますから、記号が足りなくなることはなさそうですが…。
 

なぜわざわざギリシャ文字を使うのか

 これは歴史的な習慣から、それぞれの文字に特有のイメージがあるからです。そのイメージを利用すると式が読みやすくなります。
 例えば未知数や座標軸には x, y, z を使いますね。一方 i, j, k, l, m, n はふつうは整数の番号に使われます。特に n は合計の個数 (number) によく使われます。また 2 つの変数の組を考えるときは (a, b), (p, q), (u, v) が良く使われます。図形に対しては r は半径 (radius) 、d は直径 (diameter)、l は長さ (length)、h は高さ (hegiht)、v は速度 (velocity) というふうに特定の量に特定の記号を用いる習慣があります。
 このためローマ字 a, ..., z, A, ..., Zのうちかなりが既に役割が定まっていて、自由に使える変数が少なくなります。
 
 例えば関数を表すのに f を使うのは英語の function (関数) に由来していますが、関数が複数あれば仕方がないので f の次の g, h を使います。
 しかしその次の i は番号と間違われるので使いません。
 とするとそれ以外は大文字の F, G, H しかありません。
 しかし h や H はほかの意味にもよく使われるのであまり望ましくありません。
 したがってギリシャ文字を使うことになります。
 

どういうギリシャ文字をよく使うのか

 
 ギリシャ文字もローマ字と同様に役割に歴史的な習慣があります。
 皆さんもよく知っているところでいうと、\pi 。これは円周率に用いますね。
 大学数学ではよく出てきますが、\deltaや\epsilon は微小量に使われます。
 高校数学や物理でもよく出てくるものでいうと、\theta は角度、\rho は密度、\omegaは角度の変化速度によく使われます。
 関数には\phi、\psi がよく使われます。
 \alpha、\beta 、\gamma は一般の定数としてよく使われます。
 一方、\kappa 、\mu 、\nu は物理定数によく使われます。
 

 Σ にも意味があるのか

 高校数学でよく目にする\Sigma ですが、これは冒頭で掲載した表(以下に再度掲載)を見るとギリシャ文字 σ の大文字です。これも何か意味があるのでしょうか。
 
「数式でよく使われるギリシャ文字一覧」
 
 これは英語の sum (和) の頭文字 s のギリシャ文字の大文字です。
 なぜ S にしないかというと、離散的な量にはギリシャ文字を用い、その極限をそれに対応するローマ字を使うという歴史的な習慣があるからです。
 
 例えば Δx は変数 x の微小な変化量を表し、これに対する関数 f(x) の値の変化量を Δf と書きます。Δ はローマ字の d に相当する大文字で、difference (差) に由来します。
 微分はその比 Δf/Δx のΔx を 0 に近づけた極限で、これを df/dx と書きます。
 一方、区間を微小間隔 Δx に分割し、値を掛けて加えた和Σ (...) Δx の間隔 Δx を 0 に近づけた極限が積分で、Σ に相当するローマ字 ∫ ( = S ) を用いて ∫ ( ... ) dx と書きます。
 
 「極限をとるとギリシャがローマ字になる」ということは、原始的なギリシャ文明が進化して高度なローマ字になったという歴史と対応させると面白いですね。
 

余談

 コンピュータで計算できるのは離散的な数値だけです。
 ゆえに、コンピュータで微分を計算するには微小な間隔で関数値の差を計算し、積分を計算するには微小な間隔で関数値の和を計算します。
 コンピュータによってローマ文明がギリシャ文明に退化したといえるかもしれません (笑)
 
 
 
<参考文献>
※1 金谷健一. これなら分かる応用数学教室-最小二乗法からウェーブレットまで-. 共立出版, 2024.