こんにちは。キャリアパス講師の大場です。
12月に入り日中も寒くなりました。私はちょうど卒論の時期で、図書館に通いつつ、執筆に追われています。
今回は私の卒論のテーマで扱う思想家を紹介したいと思います。私が所属するゼミは、政治哲学・思想史に関するゼミです。私はハンナ・アーレント(1906-1975)について卒論を執筆しています。彼女はドイツ出身のユダヤ人で、数多くの政治哲学に関する著作を残しました。主著に『全体主義の起原』や『人間の条件』があります。
『人間の条件』で、アーレントは労働・制作(仕事)・活動(行為)という人間活動の三つの類型を提示しました。『人間の条件』は当初マルクス主義批判として受容されたこともあり、労働優位の社会に対する徹底した批判がみられます。
では、労働とは何でしょうか。アーレントは次のように言います。
労働は人間の身体の生物的プロセスに対応する行為様式である。人間の身体はおのずから成長し、物質代謝(メタボリズム)を行い、最終的には衰退していくプロセスをたどる。こうしたプロセスは、労働によって生み出され、生命プロセスに取り入れられて生命を持続させるのに不可欠な必要性に結びついている。労働という人間の条件は生命そのものである。(HC: 7=11)
アーレントにとって労働とは、生まれてから死ぬまでの生命維持の必要性と密接に結びついています。人間は生きるために、睡眠をとり、食事を作り、食事を食べ、排せつをして、仕事をします。細かく考えていけば、人間が生きていくのに必要なことは無数に上げることができるでしょう。アーレントはそのような生命維持のための活動を労働と呼びました。そして、近代以後労働の価値が急速に引き上げられたことを批判したのです。
近代=労働賛美の時代以前は、むしろ労働は忌避される対象だったといいます。例えば、古代アテナイでは主人の身の回りのことは奴隷が担っていました。
現代を生きる私たちに、アーレントの批判は当てはまるでしょうか。技術の進展によって家事の多くは自動化されています。しかし、果たして労働にどれだけの時間が費やされているか考える必要があるかと思います。
紹介は以上になります。説明が不足するところもあったかと思いますが、興味を持っていただけたら幸いです。気になる方はぜひアーレントの本をとってみては。
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参考文献
HC: Arendt, Hannah. (1998). The Human Condition, second edition. University of Chicago Press.『人間の条件』千葉眞訳、筑摩書房、2025年