花はなぜわかるの?

海関係の後輩夫婦の愛娘の「ジュンちゃん」は
とっても自然~草花が大好きで、
大きくなったら花屋さんで働きたいと
すでに大きな夢を膨らませ、
時間があればいつも家の庭に植えられた植物の
手入れをしている小さく可愛い女の子なのでした。

そんなジュンちゃんと一緒に手土産で持ってきたエクレアを食べながら、庭で鳴くウグイスの声に耳を澄ませていました。

家本体よりも庭の方にお金をかけているような後輩宅の庭は、手入れの行き届いた芝生が気持ち良く、庭師と日当たりと風の吹き抜けを考えて作られた庭には、大小さまざまな形の花壇とパーゴラが設置されていて、四季折々で愛でるポイントが変わっていく回廊のように楽しめる趣向が凝らされた素敵な庭なのでした。


芝生に腰を下ろし、ウグイスを驚かせぬように静かにしていたのですが、いつしか鳴き声も聞こえなくなり、抜けるように透明で青い大空が気持ち良く、芝生に大の字になって空を見上げたのでした。

するとよっぽどその姿が気持ちよさそうだったのかジュンちゃんも隣で大の字になり、「空が青くて気持ちいいね」などと言葉を交わしたのでした。

ふと ...

「ジュンちゃんが知ってたら教えて欲しんだけど、どうして花達はみんなで花を咲かせる時期が分かるの?」と尋ねてみたのでした。

いけない ... 小さな子に難しいこと聞いちゃったかな ... と瞬時に自己反省モードに突入したのですが、間髪入れずに「お花はねぇ ... お日様が出ている時間の長さや温度の変化を感じられるの。それをもとにお花を咲かせる時期を知ってるからみんな一緒の時期にお花を咲かせるんだよ」と教えてくれたのでした。




開花時期が分かる不思議


へぇ ... そうなんだねぇ ...と深く感心をしつつ、
ジュンちゃんが教えてくれたことを疑った訳では
ないのですが、
「花は脳を持たないのにそれをどうやって感じ取り、
判断しているんだろう」
との興味が生まれて早速調べてみると、
植物は、日長や温度などの環境変化を感知し、
花芽を作るホルモン「フロリゲン」を生成することで、花を咲かせる時期を認識しているとの研究レポートを読み、ジュンちゃんの教えてくれた通りだと、チョッとだけ感激してしまったのでした。


さらに調べてみると、日照時間+温度だけではなく、品種固有の性質、降雨量、風などの環境要因も開花時期に影響を与える要素となり、近年では、開花時期を制御する遺伝子に関する研究が進んでいて、この研究により、開花時期に関わる複数の遺伝子が存在することが明らかになっており、これらの遺伝子の相互作用によって開花時期が決定されていると考えられてもいることを知ることになりました。


花が咲く時期は、日照時間、温度、品種固有の性質、降雨量、風、遺伝子状況などの様々な要因によって複雑に制御されていることは解明されるも、これらの個別要因がどのように絡み合い、開花時期が決定されているのかは、まだまだ完全には解明されていない謎だとのことに触れ、自然の持つ素敵な不思議に思わず感嘆のため息を漏らしてしまったのでした。







自然の不思議な力




●桜の花は、日照時間と温度の両方の影響を受ける特徴を持ち、春の日照時間が長くなり、気温が上がり始めると花芽分化が促進されて開花に繋がっていきますが、品種によって開花時期が異なるのだそうです(早咲きの桜は3月下旬から咲き始め、遅咲きの桜は4月下旬まで咲くものもある)。


●チューリップは、低温に一定期間さらされることで花芽分化が促進されるため、球根を低温処理することで、開花時期を早めることができることから、花屋さんの店頭に並ぶチューリップは花農家さんの温度管理による開花時期の調整を行い、出荷時期のバランスを図っているのだそうです。


●アサガオは、日照時間が長くなると花芽分化が促進されますが短日植物であるため、日照時間が短くなると開花が抑制される特徴があるのだそうです。



大の字の姿のまま青空を見上げながらジュンちゃんに「ジュンちゃんはお花のことに本当に詳しくよく知ってるよね」と伝えると「だって好きなんだから色んなこと一杯知りたいでしょ」と返され、その単純明快な物事の真理に触れ、思わず笑顔が毀れたのでした。


花たちは自分の花を咲かせる時期を知っている



そんな普通で当たり前にも思えることに自然の偉大で素敵な不思議を感じていたのでした。

そして、サクラ色に染まった日本の景色はツツジの薄桃色に引き継がれ、スズランやハナミズキの白でリセットされるかのような瞬間から紫陽花の色の変化へと繋がり ...



凄いなぁ自然の力


こんなことを想っているとまたどこからかウグイスの鳴き声が響き始め、花の開花時期だけではなく、それに伴い姿を現す鳥や虫たちも不思議な力を持っているんだよなぁと素敵な神秘の魅力に包まれながら生活していることがとても何気なく凄いことに思えてきたきたのでした。










笑顔の行方を見つめて

all written by careerwing  T.Yoshida@ponyo



素敵な笑顔溢れる1日でありますように!