おしどり夫婦




『 仲の良い夫婦のことを「おしどり夫婦」と呼ぶけど、鳥類の鴛鴦(おしどり)は、冬ごとに毎年パートナーを替える事が生態研究で分かっているんだよ 』

と、ご夫婦で笑い合う姿を眺めながら、こんな冗談もサラッと言い合えることこそが「おしどり夫婦」の所以なのだろうなぁと感じていたのでした。

「おしどり夫婦の由来って知ってるかい?」と尋ねられ「知りません」と応えると、『中国の故事となる「相思相愛の相思樹」・「鴛鴦の契り」という逸話が由来とされているんだよ』と、その話を教えてくれたのでした。



   鴛鴦(おしどり)の契り

戦国時代の宋の国の君主である康王は、
自分の家来の韓憑の妻である何氏という女性を
気に入り、権力を使って強引に自分の側室(妻)
にと奪ってしまいました。

権力を盾にした、有無を言わせぬ略奪婚ながら、
絶対君主に逆らうような術もない時代でもあり、
どうにもならず康王を恨んだ韓憑は自ら命を絶ち、
それを知った何氏も失意のあまり
「愛する韓憑と同じお墓に埋葬して欲しい」
という遺書を残して、後を追うように自決を
してしまったのでした。

二人の死を知った康王は怒り狂い、敢えて韓憑と何氏のお墓を向かい合わせの離れ離れにして埋葬させたのでした。

しかし、しばらくすると二人が埋葬されたそれぞれの墓から梓の樹が生えてきて、
やがて互いの枝と枝が、手と手を繋ぐように結びついたのです。

そしてその樹上に鴛鴦(おしどり)の番いが巣を作って棲みつき、二羽はいつも寄り添いながらも悲しそうに一日中鳴き続けたのでした。

この景色を見た人々は、韓憑と何氏の想いを憐れんで、この樹を「相思樹」と名付けたのでした。



                   鴛鴦(おしどり)の生態


 鴛鴦(おしどり)は、
 鳥類のカモ目カモ科に属する水鳥で、
 鴨の仲間に分類されます。

 割とカラフルな色彩の羽を持つのがオスで、
 地味な灰色がメスとなり、川や湖にいるカモなどの
 水鳥を見ると、雌と雄が番でいつも一緒に仲良く
 行動しているイメージがあります。


が、鴛鴦がおしどり夫婦よろしく共に行動するのは、「メスが卵を生み終えるまで」の期間限定で、メスが卵を産み終えると、オスは子育てを手伝うどころか、卵を守ったり温めたりすることすらなく、別のメスを探しに行ってしまい、一生を添い遂げるなんてことはないのだそうです。

そしてオスは、それを毎年繰り返し、冬ごとに違うパートナーと結ばれるのですが、メスはメスで、逃げて行ったオスを想い続けるでも、憎むのでもなく、我が子の世話に精一杯で、戻らぬオスのことなど気にする様子もないのだそうです。

これは、鴛鴦が厳しい自然界で生き残るために身に付けた習性なのだそうで、人間の夫婦に例えて比較するのはナンセンスなのかも知れませんが ... か!??



似た者夫婦

「ウチはおしどり夫婦ではなく、
     似た者夫婦ってことなんだと思うよ」

と、ある時、雑学と一緒に話してくれくれました。


似た者夫婦とは ...

「夫婦になる男女は、趣味や性格が似ていることが多いということ」・「最初はそれほど似ていなくとも、長く生活を共にしていくうちに、お互い影響し合って考え方や好みが似てくる場合もあるということ」



 子供がいないボクの境遇が同じだからとして、
 公私共々において目を掛け続けてくれた
 ご夫婦の墓前にお二人が大好きだった花を添え、
 置かれていた夫婦茶碗を水で洗い、花以上に
 お好きだったお酒を二つの茶碗にゆっくりと
 注ぎ入れました。


ご主人の49日が過ぎて様子伺いで立ち寄らせて頂いた家でご焼香を挙げ、お茶を頂戴しながら奥さまが話してくれたのは「前にウチはおしどり夫婦ではなく、似た者夫婦だって話してたこと覚えてる?」と言われ、「楽しそうに話されている姿をハッキリと想い出します」と伝えると、「確かにウチはおしどり夫婦ではなく、似た者夫婦ってことなんだけど、もっと正確にいうなら、凸凹の噛み合いの相性が良かったってことなのよ」とお伝えしてくれたのでした。

「ひとりだけ先に上に逝っちゃったから、私の凹みも凸も収まる場所が無くて、チョッと参ってるの」と少し寂しそうに語られ、その言葉の余韻がまだ残っているなか、
言葉通り、後を追うようにして、奥さまご自身も旦那さんの待つ空の上に暮らすことになられたのでした。




子供がいても、別れる夫婦もあれば、
全然似てもいないのに凸凹がピッタリ嵌る夫婦もある



人付き合いで肝心なことは、
お相手に対して「求め続けられるか」どうかと、
何があっても「許し合えるか」どうかってことかな。

そして、相性は必ずあるってこともね ...



そういって笑顔と笑顔を重ね合わせられた
優しいお二人の姿を想い出しながら、

墓前に向かい手を合わせ、
花と酒以上にお二人が大好きだった
この曲を空に向かって流したのでした ...




終わりのない夏 増田俊郎
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笑顔の行方を見つめて

all written by careerwing  T.Yoshida@ponyo



素敵な笑顔溢れる1日でありますように!