茅ヶ崎(湘南)時間

茅ヶ崎の大好きな魅力のひとつに
茅ケ崎(湘南)時間」があるんだよなぁ ...

茅ケ崎時間は、とても不思議な感覚なんだけど、
普段過ぎて行く時間の流れよりもゆっくりと時が
流れていっているように感じる瞬間のことでさ ...

普通に考えてそんな訳はないのに ... えっまだこんな時間だったんだ ... って、
ゆったりとした時の流れに包まれて漂っているような感覚なんだわ ...


ふ~ん ... それって単純に住めば都の痘痕もえくぼってヤツなんじゃなくて?


確かに好きが昂じてのことなのかもしれないけど、
大好きなハワイとも時間の流れ方が違う感覚を確かに感じるし、湘南や茅ヶ崎が好きって人と話していると、同じく似たようなような感覚を感じてる人と出会うことは少なくないんだけどね ...


ふ~ん ...


まぁ茅ケ崎時間が流れるかどうかは分からないけど、たまには山を離れて海で過ごすっていうのも良いかもだし、案内するから奥さん連れて一緒に遊びにおいでよ。



東北の山間部で隠遁生活を送りながら物書き業をしている知人とのこんな電話のやり取りが切っ掛けとなり、はじめて湘南・茅ヶ崎にやって来る知人をエスコートすることになったのでした。






海を見ていた午後ってかぁ




思い返せば仙台で知り合った彼に翌々聞いてみれば、湘南・茅ヶ崎どころではなく、神奈川県に人生初上陸?なのだということで、ならば行ってみたいところに案内するよと、横浜駅で待ち合わせの約束を交わし、車で迎えに行ったのでした。

なぜか待ち合わせ場所にやって来た彼は「崎陽軒のシュウマイ」を手に持っていて、長い間、世俗を離れすぎていて、慣れぬ電車での長旅に懐かしさ満載の冷凍みかんでもかじりながらやって来るんじゃないかと思っていた自分を改め、完全に旅を愉しむ気満々じゃん・感心々 ... と思ったのでした。


「港はすぐ近くなの?」と尋ねてきた彼に「海は近いんだけれど、横浜駅付近に港があるんではなく、少し離れたお隣りの桜木町・関内・石川町ってエリアが世間でいう横浜のイメージの場所なんだよ」と伝えると、「もしも近いなら行ってみたい」となり、さっそく男べっくでの横浜の散策開始となったのでした。

茅ケ崎に向かうには少し遠回りにはなるも、みなとみらいの赤レンガ倉庫経由で馬車道から山下公園を抜け、元町商店街を流している時に「ユーミンの歌に出て来る山手のドルフィンって近くにあるの?」と小さな声で彼が呟いたのでした。

すっかり詩吟か尺八でも嗜んでるのかと思っていた彼の口からニューミュージック(表現古い? J-POP!?)の曲の話しが告げられるとは思っていなかったので妙に嬉しくなってしまい、港が見える丘公園から外人墓地を通りながら「ソーダ水のなかを通る貨物船をチミと見る気はねーぞ」と伝え、素敵な秘密を見つけた気分のままルート変更をして、気紛れに鎌倉経由で茅ヶ崎を目指すことにしました。




湘南・茅ヶ崎の素敵

横浜駅から元町を過ぎるまでのドライブの印象は、
「 想像してた以上に都会だったけど、
  異人さんかどうかは分からないけど、
  都内とはなにか違う空気感に包まれている 」
というものでした。

そして本牧を後にして北鎌倉から鎌倉を抜ける頃には、少し表情が曇りだし「鎌倉ってもっと古都の歴史を楽しむ雰囲気なのかと思っていたけど、こんなにも観光地なのだとは思わなかった」と伝えられました。

確かになぁと感じながら鶴岡八幡宮の参道を抜け、「ここからは海岸線を真っ直ぐに走り、茅ヶ崎迄向かうからな」と伝えたのでした。


由比ガ浜では「海水浴を見るのは久しぶりだ」と言い、稲村ケ崎のトンネルを抜け眼下に七里ヶ浜のビーチが開けて来る景色が広がる場所では、「ここは何とも絶景だね」と言ってきたため、「昼の時間もドラマチックに景色が広がるけど、夜や夕焼けの時間も趣きがあって、湘南でも好きな場所のひとつだよ」と伝えると、黙ったまま彼は眩しそうに頷いたのでした。

七里ヶ浜の海が目の前に大きく広がる鎌倉高校前の江ノ電の駅を通過する時には、「学生達がいつも駅のホームから見続けているこの景色には、人生の影響を受けるだろうなぁ ...」と呟き、「ひょっこりひょうたん島に見えるあれが江の島だ」と伝えると、「TUBEとかっていつもいるの?」と想像外の言葉を発したため、冷たく「いねーよ」と返し、さらに雑談を交わしていると、江の島を「絵の島」って勘違いしていて、実存する場所だと思っていなかったことが判明したのでした ...



茅ヶ崎で一番好きな場所

海岸線をひた走り、鵠沼・辻堂を通り過ぎ、茅ケ崎に入ると、「少しだけでもいいから駅前に車を停められるかなぁ?」とリクエストが入り、理由など聞く必要もないため、お安い御用とばかりに茅ヶ崎駅南口のロータリーを目指したのでした。

じっと駅からの階段を下りて来る人波を眺めていた彼が、「ありがとう。もう大丈夫」と言い、「ここは子供が子供の顔をしているね」と言ったのでした。

なぜだかボクは彼の言葉が嬉しくて、茅ヶ崎到着してからの予定変更で、
「個人的に茅ヶ崎で一番好きな場所に案内するよ」と伝えたのでした。







茅ヶ崎で一番好きな場所と綴れば、本来はビーチポイントも含まれるのですが、ここではチョッと横に置いておいて、茅ヶ崎駅南口の駅前ロータリーから車を移動し、茅ヶ崎図書館の脇を通り、鉄砲道を海に向かい突っ切り、右手に茅ヶ崎公園野球場を見ながら、海岸線に突き当たるT字路の交差点の赤信号で停車となり「ここだよ」と伝えたのでした。

「茅ヶ崎のなかでも好きな場所は幾つもあるけど、お天気がよく晴れた日の平日の日中のこの場所が特に好きなんだ」と、車内のフロントガラスの先に見える目の前の景色を指さしたのでした。


国道134号線を左右に行き交う車、海岸線に沿って伸びる遊歩道、防砂林を抜けた先に広がる海と水平線、ひねもすのたりとキラキラと輝き続ける水面、その手前にはサイクリングロードがあり、イヌさんを連れたお散歩の人・ジョギングをする人・海に向かうサーファーの背中・海から上がって来たサーファーの表情・仲間と海で遊んで次の予定に向かうため海を背中にして信号を待つ人たち・歩道橋の上から海を眺め波乗りのポイントチェックしている風な人 etc.


車のフロントガラスの四角いキャンバスの短いストロークの中で、いくつもの大好きなドラマが流れていくこの場所が大好きなのでした。
※写真はなんとも不出来で、水平線と煌めく海面が見難いのですが ...


黙ったまま目の前のキャンバスの中を見続けていた彼の言葉は、信号が青に変わり車が動き出したことで、自然と背中を押される様にして静かに語られたのでした。



ひとつの場所でそれぞれの人達のドラマが交差して時が流れていくのか ...
都会でもどこでもそれは同じことだけど、ここは、海と空と土地の自然の時間の流れのなかに一緒に人がいる感じがするなぁ


都会は、アスファルトで地球が覆われていて、地球の呼吸を感じることが出来ないけど、ここには土と砂と水と空気の呼吸がちゃんとあり、地球の呼吸と自分の呼吸が重なり合った時、お前のいう茅ケ崎時間ってやつが流れるのかも知れないな ... 」



そんな彼の言葉に1971年にハワイで生まれたサーフブランド「タウン&カントリー」のことを想い浮かべていました。

タウン&カントリーのブランド思想は ...

「陰と陽」・「天と地」・「プラスとマイナス」・「男性と女性」・「自然と都会」など、陰と陽とは互いに対立する存在であっても、陽は善で陰は悪などということではなく、陽は陰が、陰は陽があってはじめて一つの要素となるという「陰陽思想」を伝えているものになります(これが有名なブランドロゴに表現されている)。

同じ波は二度と無く、自然が創り出した波とひとつになって楽しませて貰う波乗りの一期一会とは、その場所にいて&波に乗る行動をすることにより、はじめて出会い・知ることが出来るものであり ...

... などと思いっ切り海・波乗りの素敵を伝えそうになってしまったのですが、笑顔は浮かぶも黙って車を走らせたのでした。




もう一つの湘南・茅ヶ崎マジック

完全に予定には無かったのですが、
ユーミンの「海を見ていた午後」の
言葉が出た辺りで、
海の近くに車を停めて、
茅ヶ崎市開高健記念館に立ち寄り、
ラチエン通りを真っ直ぐ海に向かって歩き、
海に浮かぶ烏帽子岩の大きさが違って見える
不思議な景色に案内するかなぁ ...
などとも思っていたのですが、閃きのように気紛れが浮かび、
海岸線を辻堂に向かって走らせ、浜須賀を曲がり浜見山の交差点を右折して、
また海岸線に戻るルートに車を走らせました。


「もう一つ湘南・茅ヶ崎マジック見せるな」


辻堂海浜公園から真っ直ぐに伸びる海岸線の先に見える富士山の姿。
「車を走らせていると富士山が隠れん坊するから見失わないようによく見ておきなよ」と伝え、海岸線を真っ直ぐ、辻堂・茅ヶ崎を抜け大磯まで車を走らせると、
「あっ正面から富士山が消えた」と仙人のような彼が子供のようにキャッキャする姿を眺めながら、「大人になっても子供心を失わずに、逆に子供心を大切に感じながら過ごせる場所」が湘南と茅ヶ崎の魅力なのかも知れないなぁと思ったのでした。

そして彼が言ったように「地球の呼吸と一緒になれる場所」でもあるのだろうなとも思ったのでした。



大磯を背中にUターンをして馬入川を渡りながら茅ヶ崎を目指す最中で、「ダッシュボードのなかに奥さんへのプレゼントを入れてあるから」と彼に伝えました。

サザンオールスターズ&桑田さんが大好きで、茅ヶ崎に一緒に来たいと言っていた奥さんへのプレゼントとして、富士山色の青いシーグラスと去年ビーチで集めてあった桜貝の入ったリボン付きの小袋をダッシュボードから取り出した彼に、「茅ケ崎の海からの贈り物」だと伝えたのでした。





サザンビーチの交差点で信号待ちとなると、
真っ黒に日焼けした小学生のサーファーが
海を目指して小走りに駆け抜けていきました。


駅前で「子供が子供の顔をしている」と呟いていた彼が
黙ったまま浮かべていたなんとも優し気な笑顔
見守るようなそんな笑顔をバックミラー越しに見つめながら、



湘南&茅ヶ崎は、

素顔でもお洒落をしても、自分らしく過ごせる場所



心のドレスコードは、Tシャツ&ビーチショーツとビーサンでOK
海・空・土・街と一緒に呼吸が出来て、流れる時間と仲良く出来る場所


自分が自分でいられる場所



社会のなかでの肩書や役割などではなく、
茅ヶ崎を好きと感じるなら、年齢・性別・諸事背景など問わぬ、
他者へのリスペクトに繋がることのように改めて思ったのでした ...





大好きだぜ ... 茅ヶ崎&湘南!












笑顔の行方を見つめて

all written by careerwing  T.Yoshida@ponyo



素敵な笑顔溢れる1日でありますように!