アルフォートを食べる際はまず、その箱に注目して頂きたい。青い箱の左側、渋いふぉんとで記された商品名の下には、羅針盤らしきものの一部が書かれている。その右側には、アルフォートと名付けられた四角い船が書かれた写真が。蛇足として、「アルフォート」というのは、ブルボンの造語で、「港」という意味らしい。
その華麗な箱と金色の袋を開けると、12枚の小さなビスケットが出てくる。これらは前の段落でも触れた通り、船の絵が刻みこまれている。そしてその下には、全粒粉で作られた、風味豊かなビスケットが。アルフォートを食べる際に重要なのが、このビスケットである。
チョコレートとビスケットの組み合わせというのは、比較的ありふれたものである。アルフォートが登場した1994年にもあったし、これからもらあるだろう。試しに100円ローソンでも、ダイソーでも行って貰えば分かるであろう。類似品は、いくらでもある。それでいて、どうしてアルフォートは、ブルボンの主力製品として君臨していられるのか。それは、このビスケットの渋い仕事のおかげであろう。このビスケットが、甘すぎるチョコレートのを抑えるのだ。その組み合わせにより、アルフォートは独特の味わいを出している。
そうやって定価108円(税込)のチョコレートをゆっくり楽しんでいると、書かれている船が帰還か、それとも出航か、私は疑問を持つ。さらに次の瞬間に、さらにもうひとつの選択肢に気がつく。あるいは、これは過去の絵なのでないかと。船の冒険は過去の絵であり、我々はその栄光を、「アルフォート」という港で楽しむ。そんな意味のない妄想もまた、この完成された菓子の楽しみ方でないか。
