エンジンチェックランプが点灯していて、
しかも、燃費がかなり悪いという状態のBMW F31。
お付き合いのある整備工場さんからの入庫です。
高級アルミホイール履いているので、ちょっとドキドキ。
チェックランプが点灯しているという事で、早速診断機を接続。
BMWの診断は、BMW純正機ISTAにて。
検出されたDTCは、
・290900 エアシステム EGR流量に対するエア流量の妥当性:
測定されたエア量が算出されたエア量に比べ高すぎる
考えられる故障原因が幾つかピックアップされて来ます。
ISTAはアドバイスもしてくれるので、それに応じて各所点検を進めて行きます。
とは言え、いつも的確に・・・という訳ではありません。
これが毎度毎度的確なら、BMWの故障修理は何もかも一発修理完結しますが、そうは問屋が卸さないというのがBMWの修理。
全然的外れな回答をされる事もありますが、今回はなかなか素晴らしい回答なので、そんな時はISTAさんを持ち上げておきましょう!!
ISTA先生、
排気ガス再循環装置「EGR」が引き起こすトラブルが原因で今回の故障に至っている可能性が高いというお導き。
しかも、酷い場合はEGRから回って来る高温の排気ガスによってインマニが溶かされる事があるよ!!なんて資料まで。
更にISTA先生は仰ります。
今からスロットルのバタフライを閉めるので、
・正常だったらそのままエンスト、
・異常だったらインマニに空いた穴から空気を吸うのですぐにはエンストしない。
つまり、エンストしなければインマニに穴が開いているであろうから、EGRシステム以外にインマニも交換しなきゃダメだからね!って。
持ち上げると気を良くしたのか、ISTA先生、画像まで添付して症状を説明し始めました。
EGRの故障でバルブが開きっ放しになり、そうなる事でEGRクーラーで冷やされなくなった高温の排気ガスがインマニの壁に穴をあけるそうです。
それにしても、EGRってホントろくな奴じゃないですよね(^^;
テスト結果は、無事エンストしてくれたのでインマニにまで被害は及んでいない事が分かりましたが、EGRって本当に色んなトラブルを引き起こします。
まずは、上記の様なインマニ溶かしトラブル。
そして何より一番多いのがインマニの詰まり。
排気ガスを取り込む際、EGRクーラーで冷却する訳ですが、冷却されたそこから先のホース内部に大量のスス・カーボンが堆積。
ちなみに、このF31の故障原因はと言いますと、
EGRクーラーによって冷やされた排気ガスがススやカーボンを生じ、それが吸気配管内部にびっしりと付着、そしてEGRバルブ本体にも不着。
結果、EGRバルブがきちんと閉まらなくなった事で、排気ガスが常に導入される事に。
吸入空気の量は既に計測済みなのに、途中から排気ガスが想定外量導入されてしまう為燃料が増量されてしまい、結果燃費も悪化。
ところで、EGRって何よ!??
私のブログで時々出てくるNOx(窒素酸化物)。
これは大気中に放出すると光化学スモッグや酸性雨の原因となったりする有毒な物質。
このNOxっていうのは、高温で燃焼される中で生み出される物質なんです。
つまり、エンジンの調子が絶好調の場合、どうしてもNOxを発生しやすい状態となってしまいます。
そこで、
一度燃えて終わった排気ガスを今一度新鮮な空気の中に混ぜてもう一度エンジンの中に入れてあげる事によって、絶好調のエンジンはちょっと調子が悪くなるんです。
そうすると当然、燃焼温度が下がるんですね。
そうする事で、NOxの発生を抑えているというシステムです。
でも、このEGRの弊害は今回の様な症状を世界各国あちらこちらで生みまくっています!
インマニの中がびっしりとスス・カーボンで詰まった写真、探せばなんぼでも出て来ます。
燃費が悪くなり、エンジン出力も下がり、EGRも壊れ、EGRクーラーも詰まり、インテークマニホールドも詰まり、少し逆流する事でスロットルボディまでドロドロに汚すというこのEGR。
そして、またまたですが、AMGには付いていないという不思議・・・
(ベンツの話しですけどね)
BMWのMにはどうなんだろう・・・、調べてないから今度チャンスあれば調べておきます!
これがEGR。
そしてこれがEGRクーラー。
ちなみにこのクーラー、約15万円です。
EGRも合わせたら、部品代だけで20万円!!
もちろん、冷却水や工賃は別。
でも、部品だけ交換では収まらないのがこのEGRの恐ろしい所。
クーラー入り口のエアダクト内部はこんな感じ。
EGRバルブの先端。
開きっ放しで壊れているのだけど、黒く汚れすぎて写らない。
ヴァンタブラックなみの漆黒さ!
EGRクーラーの中身。
詰まり気味です。
非常によろしくない・・・
インマニに続く配管の内部。
これ、空気流れるの?
もしこれが人間の血管だったら、もうかなりヤバい状態ですよ、これ。
もう・・・どうしたもんやら・・・
この奥はインテークマニホールド。
内部に光を当てて撮影。
見えにくいですが、内部のフラップもススとカーボンにまみれています。
正常動作しているとは、とても思えない状態です。
EGRクーラーからインマニに続く途中の短いエアダクトを取り外したので、せめてその中だけでも掃除しましょうという事になって・・・、
出るわ!出るわ!!大量のススとカーボン!!!!
ちなみに掃除をしたのはこの部分です。
この奥のインテークマニホールド内部は入口見ても恐ろしいけど、取り外したらもっとトンデモ無い事になってるんだろうなぁ・・・
更にその先も、本当に大丈夫??
IN&EXバルブには大量のスス・カーボンが乗っかってるんだろうなぁ。
ねぇ、EGRって、本当に要るの?なんて事、ちょっと考えちゃいますよね。
NOx低減という建前のために、燃費悪くして、エンジンの調子も悪くして、更に部品は定期的に壊れて、その度分解・交換などで多額の出費。
それら部品を作るのには、環境破壊起こして無いの??
部品を作るのに、NOxは発生させないの?
このF31、まともに修理してたら、ざっくりですが50万円以上が余裕で必要となる内容だけど、その見積もりが出たら、ディーラーさんなら買い替え進めるんじゃないでしょうか?
それはそれで、また新しい車一台作る訳ですから・・・
EGRのバルブは掃除をしたらちゃんと閉まる様になったので、部品代も勿体ないから交換せずに、このままずっと閉まりっ放しになって貰いましょう!!
EGR撤廃プログラムを作ってインストール。
これで今日以降は、新鮮空気に排気ガスが混ぜられてエンジンに入る事はありません。
燃費の悪化も無くなれば、インマニ内部や各エアダクト内部にスス・カーボンが溜まる事もありません。
EGR本体・EGRクーラーなどの、交換に伴うバカげた出費を心配する事も無いでしょう。
もちろん、エンジンチェックランプ点灯の心配もありません。
今溜まっているスス・カーボンは気になりますが・・・
今日以降は、エンジンレスポンスも良くなって、燃費も良くなって、車が快調になり、車寿命も延びますし、生涯の内に車にかけるお金も節約する事に繋がるでしょう。
ただ・・・、微妙に「グレー」な対処である事はご理解下さい。
※ただし、平成30年排出ガス基準:ディーゼルエンジン車のNOx排出量基準は0.05g/km以下は車両NOxセンサーにて確認済みです。
※あくまでも暫定条件に基づいている所もありますが、以下の様に算出しています。
この車両の、SCR以後の検出窒素酸化物濃度は42ppmです。
正確な燃費は把握しておりませんので、燃費少し悪めの8km/lとします。
上記燃費より、1km走るのに0.125リットル消費します。
ディーゼル燃料の密度は0.832kg/lと仮定すると、1km当たりの燃料消費量は0.104kg/km。
ディーゼル燃料の排ガス質量は約1.5倍とされるので、その分補正して0.156kg/km。
上記補正値に48ppmをかけると0.000007488kg/km。
これを平成30年排出ガス基準の単位に変換すると、0.007488g/km。
0.007488g < 0.05g
※元々単位の違う物質(ppmとg)を同一に計算する為に、一部暫定・仮定数値を用いていますので、必ずしも確実な数値で無い事をご理解下さい。
ちなみにこちらは、県外のお友達から貰ったEGRから後ろの配管内部写真。
確かこれはマツダ車。
こちらはスロットルボディ。
ここまでぐちゃぐちゃに汚れたスロットルボディ、見た事ありますか??
EGRトラブルは、輸入車のみならず、多くの日本車でも多発中です!
EGRさん、さようなら。
もう、あんなに汚される事が無くなって、きっとエンジンは喜んでいると思います。
AMG車両は、EGRなんて取っ払って、NOxセンサーまでも取っ払った状態で新車で売って良いんだから、この程度のデフォルメならありでしょうか?
※排気ガス排出数値が国内基準値を上回る場合は、プログラムインストールではなく修理を勧めさせて頂く事があります。事前にご理解下さい。
※同じ内容の故障事例でも、必ずしも原因は同じとは限りません。同じDTCでも原因が多岐にわたる事もあります。修理の基本である、しっかりとした問診と診断手順で原因究明して下さい。「同じ部品を交換したけど直らなかったけど、どうして?」という意味不明の連絡が同業者様から寄せられています。基本の順守をお願いします。ユーザー様も、症状が同じだからといってお付き合いのある整備工場さんに「この部品を変えて下さい」といった指示はお控え下さい。
※弊社では時々整備ブログを書かせて頂いておりますが、ブログ掲載を行って欲しくないお客様は事前に申しつけ下さい。出来る限りこちらからも「掲載可否」を頂く様心掛けますが、折り悪くその接点を持てない事もあるかと思います。ご来店時アンケートにも、「掲載可否」の項目を追加させて頂きました。掲載内容・記述内容に付いて訂正・削除をご希望の方はご連絡下さい。出来る限り早急に対応させて頂きます。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
(1) フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、様々なアタッチメントを製作・販売しております。メーカーから提供されていないストレーナーや、長期欠品しているストレーナーの在庫も出来る限り取り揃えています。商品一覧はこちらです → F-PETシリーズ
(2) フリークは、AUTELの代理店でもあります。AUTEL製品のご購入を検討されている方は、連絡頂けましたらお見積もりさせて頂きますAUTEL インテリジェント テクノロジー
(3) 弊社への連絡は、LINEかメールをご利用下さい。連続したお問い合わせの中で失念してしまうのを防ぐ為です。ご協力下さい。LINE-ID 「freakltd」 メールアドレスは 「 info@c-frk.jp 」 です。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
株式会社フリークのホームページはこちら
ブログランキングに登録しています。
クリックして頂けるとランキングが上がりますので、お願い致します(^^)
愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・