シーマのATF圧送交換依頼です。
実はこの作業、去年の10月に行ったものではあるのですが、
最近、「フーガやシーマのATF圧送交換の様子や情報が欲しい」と言われる同業者様からのご依頼が数件ありまして、
そう言えば、撮りためている写真は大量にあるけれど、
こちらの資料としてストックしてはいるものの、ブログなどで公開していない事が多く・・・
それ故か、直接のお問合せが多くなっているのも必然。
ここはお互いWin&Winにという事で、タイミングが合えば少し前の作業ではありますが、情報の薄い車両に関しては特に、少しずつ出して行ければと思っています。
さて、今回のF50シーマ、
既に結構、調子の悪い状態となっています。
まずは、症状を箇条書きに。
・信号待ちなどで停止した後の再スタートで1~2速が無い様な感じがする(走り出しは常々3速発進の様な感じで力が無い感じ)。
・今までは時速60km走行時、エンジン回転数は1,000rpmを少し超えるレベルだったのに、今は1,500rpmを少し超える位になっている。
・トップギアが無い様な感じがずっとしている。
・駐車場が軽く前下がりの坂になっているのだが、そこに停めた後に「バックギア」に入れても暫くの間動かない。
・カーブを曲がった後、空ぶかしになる事がある。
・ATチェック(ATの警告灯)が点灯する。
などです。
「ふっとした時に一瞬に」とか「なんとなく・・・」という違和感を感じたレベルは遠い昔の様で、症状は日々悪化してどんどん悪い方に進んでいる様子。
ちなみに、
上記症状では既に日産ディーラーさんにも相談済みで、お預けもして診て頂いたそうですが、その時は残念ながら症状の確認は出来ず、特に何の処置も無いまま戻って来たそうです。
お車をお預かりして、まずは現状チェック。
結局、そういう事なんです。
診断機に全幅の信頼を置いた結果がこれ。
CONSULTは優れた診断機だと思いますが、
全ての故障診断に於いて、基本点検があった上での、次のステップに位置するのが診断機によるDTCチェックです。
いつもの通り、事前確認にプラスして診れる範囲だけではありますが、下回りを点検。
テンションロッドからオイルがダダ漏れ・・・
ブッシュはばっくりと裂けています。
あぁ・・・
右も左もダメです。
そしてこの状態、車検には通りません。
ブッシュは左右とも完全に破断していますので、ブレーキングの際などでの挙動異常も引き起こしている可能性があります。
それではいよいよATF交換に着手。
ATFの漏れは無し!
まずはATFを排出します。
ATF総油量が9.8~10.1リットルとされているこのミッションで、
オイルパンからの排出のみとは言え、出て来たフルードは2リットルちょっと。
同型ミッションでは通常4リットル近く排出されるはずです。
※フルード温度により排出量は多少上下します。
フルード量が少ない事は、様々なトラブル・故障を引き起こします。
機械的な故障に至った場合は、最悪ミッション載せ替えも視野に入れる必要が出て来ます。
フルード量が少ない状態でかなり乗られていた可能性がありますので、こうなって来ると、トルコン太郎で行う「圧送交換」の出番となります。
エンジンをかけた状態で交換しますので、トランスミッション内部の様々な部分に行き渡ったフルードが、汚れや異物たちを一緒に引き連れて排出されて来ます。
これは、エンジンを切った状態で下から抜いて上から補充するという交換方法では得られない、非常に大きな利点・優位点となります。
日産純正のオイルドレンガスケットです。
ちょっと変わった形です。
ま、普通のガスケットでもいいんですけどね。一応。
オイルパンを取り外しました。
真っ黒に汚れたATFストレーナー。
バルブボディは後ほど綺麗に掃除します。
全体的にどす黒く汚れています。
メッシュ部分には小さな金属片やゴミが吸着しています。
ところがこのストレーナー、何と、部品供給がありません。
いや、供給が無いというのは正確な情報では無くて、
「ミッション丸ごと」注文したら付いて来ます。
オイルパンを外したり、掃除をしたり、ATFを交換したり、という、
そういった類の事は全く想定していないのか?
それとも、ある一定以上の耐用年数を超えた段階で壊れてくれないといけないのか?
なんて事まで、無駄に勘ぐってしまいます。
バルブボディは専用の洗浄剤にて綺麗に掃除します。
フリークには、このミッションのこのストレーナー、新品があるんです。
他にも、新品のATFストレーナーを大量に在庫し、供給しています。
もちろんこのミッションだけでは無く、
部品供給の行われていないミッションのフィルターは出来るだけ探し当てて大量に仕入れ在庫し、お問い合わせがあればすぐにお届け出来る様に努めています。
新しく汚れの無いキメ細かなメッシュ部分は、しっかりとゴミを取り除いてくれる事でしょう。
元通り装着します。
ボルトの長さは3種類に分かれていますので、間違えない様に。
真っ黒に汚れたオイルパン。
そして、鉄粉を大量に吸着した磁石。
綺麗に掃除をして取り付けます。
初期充填を実施。
最初に3リットル入れてレベルゲージで確認するも、全く足りていない状態。
更に2リットルを追加して、ようやくレベルゲージに付着。
結局、約3リットル少ない状態でずっと走っていたという事になります。
しかし、漏れも見当たらない為、ATFがそこまで減ってしまった原因は分かりません。
過去にATF交換はされた事がある様ですが、その際のフルードレベル調整方法が間違っていたのか!?
とにかく、内部の汚れは相当のもののはず!
ダメージが加わっていなければいいけど・・・
では、ATF圧送交換を開始します!
とっても綺麗になりました!!
最初に採取した、汚れたフルードと比べると一目瞭然!!
古いATFはドロリとしていて、鼻を衝く焼けた様な独特の臭いを放っています。
今までお疲れさまでした!という事で、今後は新しいATFに頑張ってもらいましょう!
フルードレベルの調整に移りますが、ほんの少しだけ少ない状態にしておいて、ここにSOD-1プラスという添加剤を充填し、トラブル防止を図ります。
最後、レベルぴったりに合わせて作業完了です。
ついでに、アンダーカバーを固定しているプラスチックのクリップが4箇所装着されていなかったのと、他3個所は破損が酷くてグラグラ。
「これでよく外れずに止まっていたなぁ・・・」という状態だったので、クリップを合計7個、新品に交換させて貰いました。
施工後数日お乗り頂いたのちに感想を連絡頂けました。
ATF圧送交換後は、今まで出ていた不調が嘘の様に消え失せて、
今では快調・快適で、走っていても気持ち良いし、燃費も良くなった!施工して本当に良かった!!と言って頂けました。
きちんとメンテナンスしてあげれば、車はちゃんと返してくれますね。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 171,700km>
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
※弊社では時々整備ブログを書かせて頂いておりますが、ブログ掲載を行って欲しくないお客様は事前に申しつけ下さい。出来る限りこちらからも「掲載可否」を頂く様心掛けますが、折り悪くその接点を持てない事もあるかと思います。ご来店時アンケートにも、「掲載可否」の項目を追加させて頂きました。掲載内容・記述内容に付いて訂正・削除をご希望の方はご連絡下さい。出来る限り早急に対応させて頂きます。
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