今回のATF圧送交換作業は、メルセデスベンツのW204です。
この型は何度も行った事がありますが、
今回は、圧送交換アタッチメント「F-PETシリーズ」の新作である、
MB-No2を使って行います。
交換効率の良さなどはMB-No1と変わりませんが、
このNo2は、No1では対応出来ない車種をカバー出来る事や、
No1でもNo2でも作業が可能な車種であれば、このNo2の方が作業がし易い事が多いというのが特徴です。
もちろん車種や各パーツの配置などにより、No1の方が容易な車種もあります。
ちなみに今回のW204は、No1でもNo2でも作業が出来て、
作業の困難度もほぼ同じレベルになります。
そして今回作業をして貰うのは、
数か月前に、フリークで働きたいと熱烈コールを貰い、
結果、4月に広島から愛媛に引っ越して来て、
GW明けから頑張ってくれている丸山恵志郎(けいしろう)君が作業を担当してくれました。
彼、学びのレベル、知識のレベルが半端ないです!
「何でそんな事まで知っているの??」と何度も驚かされます。
自動車整備士1級資格も取得しているので、資格のレベルまで私より上です。
もはや、絶対追いつかれる事の無い年齢のみで勝ち続けるしか無いのです!
ひげを蓄えたのが丸山君です。
フリークに来られた際は、是非声をかけてあげて下さい。
とっても喜びます(^^)
それでは作業開始です。
まずはオイルパンから古いATFを排出。
比較用の瓶に採取します。
この辺りまでは私の手が出て来ていますが、これ以降は完全にバトンタッチ。
今回はコンバーターからもフルードを抜き取ります。
ドレンの位置を合わせて、
排出。
かなりの量が抜けます。
オイルパンからとコンバーターの両方でおおよそ8リットル抜けますから、抜ける量は「全量」に近いレベルです。
バルブボディも降りました。
ATFストレーナーの一部分をパーツクリーナーで掃除をしてみると、
いかに汚れているのかがよく分かります。
磁石には鉄粉がびっしり。
交換部品たちです。
新旧のストレーナー比較。
真っ白いフィルターは気持ちがいいですね。
古いストレーナーさん、お疲れさまでした。
新しいストレーナーさん、これからトラブル防止の為にも頑張って下さい!
オイルパンも綺麗に清掃。
オーバーフロープラグも新品に交換です。
磁石もピカピカに!
バルブボディは全てのソレノイドを取り外して清掃します。
ソレノイドの先端に付いているフィルター部分は特に念入りに。
バルブボディ本体も綺麗に清掃。
オイルバイパスパイプと、VGSのカプラーOリングも新品に交換済み。
すべて元通り取り付けます。
抜けた量を充填してからエンジンを始動。
続いて圧送交換を開始。
真っ黒に汚れていたATFがここまで綺麗になるのに、
なんと19リットル程使用しました。
つまり、
ほぼ全量に近い量のATFが抜けているにもかかわらず、
圧送交換をする事で内部にまだまだ残っている鉄粉などの汚れがどんどん落ちて来ます。
この様な事実を目の当たりにすると、
「ATF交換は、下から抜いて上から同量を足すだけ」
という交換方法が、いかに汚れを落とせれていないかが分かります。
AT内部は細かな通路などがあり、そこに汚れが詰まったりする事や、ソレノイドに鉄粉が吸着されて動きを妨げたりする事でトラブルを引き起こします。
あと、ATFの交換をしない事で、フルードの重要な性能(潤滑や洗浄などのオイル的な性能に加え、他方では油圧で動作する場所では適正にその圧を伝達しスムーズに動作させるなどの性能も必要。他にもまだまだ沢山あります)が著しく低下する事で、様々なトラブルを引き起こします。
少し話が逸れますが・・・
今現在、フリークには走行不能となったエスティマが運び込まれています。
このエスティマのCVTフルードは一度も交換されていません。
現状は、エンジンは掛かりますが、CVTの方はシフトをどこに入れても油圧が伝わっていません。
完全に動かなくなる前に発生していた症状から推測すると、
CVTのベルトは破断していると思われます。
全員で押してリフトに移動し、CVTのオイルパンを取り外します。
ベルトが破断して、ベルトの構成パーツである「エレメント」がバラバラになり、オイルパンに大量に落ちて来ています。
大量のエレメントに交じって、破断したリング(バンド)の破片も見られます。
鉄粉を吸着するための磁石の影響で一時的に磁化したストレーナーに、破断した部品が大量に付着。
当然鉄粉もものすごい量です。
上の方には、まだ落ちて来ていないエレメントが溜まっています。
フリークに運び込まれた後、手押しで動かそうとニュートラルに入れようとしてもギアが入りませんでした。
原因はこの部分に詰まった破片がシフトロッドの動きを妨げたせいです。
ここに吸着されている鉄粉は、ベルトやプーリーが削れたものだと思われます。
バルブボディ内部もすごい量の鉄粉、汚れ、破片・・・
エレメントには向きがあります。
向きを合わせて並べると、プーリーとの当たり面に傷が入っているのが分かります。
みんなで学んでいます。
長さにも依りますが、約400枚使われていると言われるベルト構成部品であるエレメント、それは数種類の違う厚みで組み合わされていて、プーリー接触間隔を不等にすることで共振を抑制しています。
様々な凄い技術が詰め込まれたATやCVTなどのトランスミッションですが、オイル交換を怠るとこの様な事態になります。
こういった事を防ぐ為には、オイル交換は絶対に必要なのです。
トラブルを通して日々学び、メンテナンスの重要性を再認識して更に学び続けているスタッフ達がフリークには居ます。
不安な事は何でも相談して下さい。
大切なお車を長く乗り続けられるお手伝いをさせて頂きます。
話はメルセデスに戻ります。
油温をXentryでデータモニターし、最終の油量調整を行います。
オーバーフローさせて終了。
新旧比較すると、真っ黒に汚れていた事がよく分かります。
最後に、追加でご依頼頂きました前後のブレーキパッドとフロントディスクローターの交換を完了して、全ての作業が終了です。
今回のATF圧送交換では、
・ATオイルパンガスケット
・ATFストレーナー
・ATF(メルセデスベンツ承認フルード/MOTUL)
・バルブボディ取付スクリュ
・オイルパン取付スクリュ
・オーバーフロープラグ
・オイルドレンプラグシールリング
・オイルガイドパイプ
・VGSカプラーOリング
・コンバータスクリュプラグ
・フロントブレーキディスクパッド
・リヤブレーキディスクパッド
(パッドは前後共に、低ダスト+高性能のシルベラミック)
・前後ブレーキパッドセンサー
・フロントブレーキディスクローター
以上の作業を行っております。
今回の修理ご請求額は、 ¥ 215,500- となっております。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 160,100km>
■作業メカニック - 丸山恵志郎
■写真撮影 - 丸山恵志郎
■文 - 野間雄司
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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フリークでは、密閉式ミッションの圧送交換が出来る様、
様々なアタッチメントを製作・販売しております。
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これにより、ユーザー様がお近くのプロショップを検索できるようになります。
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