アミロイド・カスケード仮説に基づき、
原因物質といわれている
アミロイドβを分解するものとして、
打つ新薬・レカネマブと、
聴くガンマ波スピーカーについて、
前編では触れてきた。
今回はその続きで、
飲むコーヒーについて見ていこう。
前編をまだ読んでいない方は、
下の囲みをクリックし読んでいただきたい。
⇩ ⇩ ⇩
慶應義塾大学薬学部の田村悦臣博士は、
コーヒーを飲むことで、
薬に頼らぬ生活習慣病の予防について、
細胞レベルで解析をしている研究者。
「薬離学」という標語までつくった。
コーヒーが病に効果があることは、
広く知られていることだが、
神経細胞内でアミロイドβを切り出す
2つの酵素のうちのひとつ、
βセレクターズについて調べた。
すると、コーヒーがβセクレターゼに
何らかの影響を及ぼし、
またヒトの神経芽細胞腫の培地実験では、
アミロイドβの量が減っているのが解った。
そこで量が減ったことに着目したところ、
コーヒーに含まれる何かの成分が、
アミノ酸のリン酸化を促し、
βセレクターゼの分解を早めており、
その結果としてアミロイドβが減少していた。
ではコーヒーの中の何の成分が、
作用していたのだろうか?
コーヒーとデカフェの両方で調べたが、
どちらにも差がなかったため、
カフェイン以外の成分と判明した。
「デカフェの豆事件」のことを
11/3のこのブログで書いたが、
この研究によると、
デカフェもコーヒーと同列のようである。
話を戻すが、それだけでなく、
コーヒーの焙煎の違いでも調べた。
すると深煎りのほうが、
βセレクターゼの発現量が増えた。
カフェイン以外のコーヒーの成分で、
知られているものにクロロゲン酸があるが、
焙煎の過程で壊れてしまうため、
焙煎時の熱反応によって増える
「ピロカテコール(カテコール)」が
有効成分であることが判明したという。
そこで60%に希釈したコーヒーを
実験用マウスに4週間にわたり、
自由に飲ませ海馬への効果をチェックした。
すると海馬で産出される
βセレクターゼの発現量が低下していた。
老人班の原因がβセレクターゼである。
このことでコーヒー豆の焙煎が、
「認知症予防」に欠かせないことが解った。
だがピロカテコールは、
“劇物”相当の化学物質であり、
サプリメントとしては販売できないという。
だからこそ、絶妙なバランスで含まる
コーヒーを毎日習慣的に飲み続けることが、
薬を使わない「認知症予防」になる。
適量は1日3杯くらいだそうだ。
再開したカルディのコーヒーサービスも、
1杯としてカウントできる……。
コーヒーの詳しいことを知りたい方は、
全日本コーヒー協会のサイトをご覧ください。
⇩ ⇩ ⇩
2回に分けてアミロイドβを分解する
3つのものについて綴ってきた。
薬価350万円前後のレカネマブ、
本体4万9500円の40Hz変調スピーカー、
1杯100円前後のコーヒーやデカフェ、
後者2つは「予防」的なものとなる。
しかも薬に頼らないというコンセプトで、
スピーカーは製薬会社が取り組み、
コーヒー効果では薬学部の研究者が関わった。
あなたはどれに、興味を持ちましたか?
(「アミロイドβにどれが効く?」終わり)
【誤解を招かないために!】
“認知症予防≠認知症にならない”
“認知症予防=認知症発症年齢を遅らせる”
あるいは発症した場合には、
“認知症予防=症状の進行を遅らせる”
という意味になります。