認知症の人のひとり歩き時だけでなく、

外出先での事故や思わぬトラブルで、

本人・家族が賠償責任を問われることがある。

 

お店・施設の器物を破損したり汚したり、

駐輪している自転車を壊す

水道栓を閉め忘れ水浸しにする、

施設職員をケガさせてしまうなど、

認知症の症状から来る行動トラブルは、

いつ発生するかわからず、

介護者にとって心労は尽きない。

 

昨年6/1付の本ブログで書いたが、

2007年には愛知・大府市で徘徊中の

認知症の高齢男性が列車に跳ねられ

死亡した事故で、

JR東海は遺族に約720万円の賠償請求をした。

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一審の名古屋地裁、二審の名古屋高裁とも、

先進国にはあり得ない驚きの判決を下し、

2016年に最高裁で、

逆転判決が出るまで争われた。

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これを機に各自治体では、

認知症の人の事故を補償する

民間の「個人賠償責任保険」を活用した

制度の導入が広がりを見せている。

 

先鞭をつけたのは、

keroぴょんの住む神奈川県にある大和市で、

最高裁判決の翌年、2017年に導入された。

 

keroぴょん調べでは、

2023年8月現在、151の市町村で、

民間保険による補償制度が整備されている。

研究中や検討中・審議中に自治体も多い。

(もし調べ損じた市町村があれば教えてください)

 

認知症高齢者等の個人賠償責任保険を導入している自治体
都道府県 市町村 都道府県 市町村 都道府県 市町村
北海道 北広島市 愛知県 安城市 滋賀県 草津市
青森県 三沢市    岩倉市    大津市
  むつ市   大府市   守山市
  六ケ所村    岡崎市   甲賀市
福島県 白河市   蒲郡市 京都府 城陽市
  田村市   刈谷市   精華町
  三春町   北名古屋市    京丹波町
栃木県 宇都宮市   小牧市 大阪府 泉佐野市
  小山市   高浜市   大阪狭山市
  栃木市   知多市   貝塚市
茨城県 水戸市   東海市   寝屋川市
群馬県 吉岡町   豊田市   河内長野市
千葉県 流山市   みよし市   豊中市
東京都 葛飾区   長久手市 和歌山県 橋本市
  港区   日進市   紀の川市
  中野区   清須市 兵庫県 神戸市
  墨田区   春日井市   尼崎市
  国分寺市    江南市   養父市
  八王子市    津島市   丹波篠山市
  日野市   碧南市   三田市
  昭島市   稲沢市   朝来市
神奈川県 大和市   一宮市   高砂市
  海老名市    知立市   宝塚市
  鎌倉市   半田市   養父市
  相模原市   犬山市   稲美町
  綾瀬市   岩倉市  岡山県 総社市
山梨県 都留市   田原市   瀬戸内市
長野県 駒ケ根市   豊明市   早島町
  茅野市   阿久比町 鳥取県 南部町
  岡谷市   幸田町   伯耆町
  伊那市   蟹江町   湯梨浜町
  下條村   豊山町 広島県 福山市
  南箕輪村   東浦町   三原市
  箕輪町 岐阜県 岐阜市    東広島市
  上松町   高山市 福岡県 飯塚市
  大桑村   中津川市   久留米市
  飯綱町   本巣市   粕屋町
新潟県 三条市   美濃加茂市 佐賀県 武雄市
富山県 富山市   各務原市   伊万里市
  射水市   恵那市   大町町
  高岡市   下呂市   吉野ヶ里町
  砺波市   関市 熊本県 宇城市
  小矢部市   飛騨市 大分県 大分市
  入善町   北方町   豊後大野市
  舟橋村   岐南町   佐伯市
静岡県 磐田市 三重県 松阪市   九重町
  三島市   いなべ市 長崎県 雲仙市
  袋井市   亀山市   島原市
  焼津市   四日市市 宮崎県 延岡市
  島田市   鈴鹿市    
愛知県 名古屋市   多気町    

事故が起きたJR東海周辺の

愛知・岐阜県下の自治体が、

積極的に制度を設けているのが見て取れる。

 

補償対象となる条件は、

各自治体により異なるが、

保険料は自治体が公費負担してくれる。

 

ただし自然災害時自動車事故は、

対象にはならない。

導入したほとんどの自治体では、

適用を受けるためには、申請が必要となる。

 

 

そのなかで注目を集める自治体が、

いくつか存在する。

「神戸モデル」というパッケージで、

“認知症の人にやさしいまち”を目指す

政令指定都市・神戸市である。

 

どういう仕組みかといえば、

認知症診断助成制度により原則65歳以上は、

自己負担ゼロで早期受診が受けられる。

 

認知機能検診で認知症の

「疑いあり」となった場合には、

専門医療機関での認知機能精密検査となる。

そして認知症と診断された場合、

「認知症事故救済制度」の対象となる。

 

無料で受けられるサービスは以下の4つ。

最高2億円の賠償責任保険への加入

②24時間365日対応のコールセンター相談

③GPSを使った非常時かけつけサービス

④全市民対象の最高3000万円の見舞金

 

③に関しては導入費用のみ無料だが、

月額利用料は別途一律に発生する。

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次いでいち早く制度を導入した

大和市のケースを見ていこうと思うのだが、

長くなったので続きは明日にしたい……。

 

(㊦につづく)