JRの前進・国鉄の分割民営化や、リニア中央新幹線の建設に邁進したJR東海の葛西敬之代表取締役名誉会長が、去る5/25に逝去した。

新聞やTV、ネットニュースでは、個人の様々な業績が報じられている。

功績は評価されるべきだろう。だが、個人的には国鉄の地域分割については、北海道と四国は誤りであったと考える。

 

功績はともかくとして、認知症や若年性認知症の家族、それにかかわる人たちが、忘れてはならないことがある。

それは、電車に撥ねられ死亡した認知症の父の家族を、当時代表権を持つ会長だった葛西氏のJR東海が訴えたことである。概要は、全日本民医連によるご家族の長男へのインタビュー(https://www.min-iren.gr.jp/?p=35622)がわかりやすい。

 

また、認知症の人の家族の実情を考慮せず、賠償命令を出した一審(上田 哲・名古屋地裁裁判長[当時])と二審の裁判官たち(長門栄吉・名古屋高裁裁判長/眞鍋美穂子・名古屋高裁裁判官/山崎秀尚・名古屋高裁裁判官[いずれも当時])の判決内容や名前と、訴訟を起こした3~5代目の社長や担当役員らの名前も、決して忘れてはならない。

 

高井隆一『認知症鉄道事故裁判~閉じ込めなければ、罪ですか?~』(ブックマン)

 

リニア中央新幹線の静岡県下での水問題、JR東日本から東海への乗り越しにICカードが使えない問題、首都圏から沼津・静岡への普通直通電車が激減したこと、認知症の家族を訴えた割には在来線のホームドア設置率が低いこと……「愛情指数」が足りない企業体質は問われ続けなければならないと考える。また、判決を下した裁判官たちの社会性は同じく問われ続けるだろう。