「家族の人生を大きく変えてしまった……」
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、そんなネガティブな思考になることが日常茶飯事の病気です。
ただ、こんなことになる前から、元々「面倒くさい男」と家族に思われているはずなので、今更な気もします。

とは言え、先日、子供たちには「それぞれの個性を最大限に活かして、真っ直ぐに人生を駆け抜けてほしい」という思いを込めて、カルストンライトオのキーホルダーを贈りました。

『真っ直ぐな 子の人生に 光あれ』(capybaracing)

それでは……
ここからは、「秋の盾」のお話です。

初心者の方々からベテランの方々まで、
競馬ファンのみなさん、こんにちは!
「競馬をこよなく愛するALS患者」capybaracingです。

今週のメイン(注目)レースは……



日本の競馬界において「天皇賞」というレースが持つ重みは特別です。その歴史の長さ、格式の高さ、そして何より勝者に授与される「天皇盾」の権威は、時代が移り変わっても色褪せることはありません。

しかし、その栄光の歴史の中で、同一年に春と秋の天皇賞をどちらも制する「同年春秋制覇」を成し遂げた馬は、わずか「5頭」しか存在しないのです。
三冠馬が生まれ、凱旋門賞に挑む馬が現れる現代競馬において、なぜこの「同年春秋連覇」はこれほどまでに高い壁として立ちはだかるのでしょうか?

今年の予想をする前に……
今回は、その難しさの正体と、壁を越えた5頭の名馬の足跡を紐解いていきます。

 

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盾の系譜、相反する極点――天皇賞「同年春秋制覇」という偉業

1.一頭の馬に「真逆の極点」を求める過酷さ

天皇賞の春秋制覇が至難の業とされる理由は、春と秋とではレースの競走馬に求める資質が「完全に真逆」だからです。

春の舞台は京都競馬場・芝3200m。
平地GⅠの最長距離であり、「淀の坂」を二度越えます。ここでは、3分以上にわたって己をコントロールする折り合い、息の長い末脚、そして「スタミナ」という持久力が要求されます。

一方、秋の舞台は東京競馬場・芝2000m。
スタート直後にカーブを迎えるコースでありながら、「スピードと瞬発力」が試されます。前半のポジション争いから、直線の高速決着に対応するスピード能力が不可欠です。

長距離のスタミナと、中距離のスピード。この二つのカテゴリーの頂点に、わずか半年で同一の馬が君臨しなければなりません。
この「スピードとスタミナの二律背反」を調和させる万能性こそが、春秋連覇の絶対条件なのです。

さらに歴史を遡れば、1980年までは「勝ち抜け制度(一度天皇賞を勝った馬は二度と出走できない)」が存在したため、制度的にも挑戦すら許されませんでした。
また現代においては、競走馬の適性の特化が進み、スピード馬は春の天皇賞を最初からパスする「使い分け」が主流となっています。
「両方の盾を獲りに行く」という意志を持つ超一流馬が減っていることも、この偉業の希少価値をさらに高めています。

2.「盾」の歴史に名を刻んだ5頭の名馬たち

グレード制が導入された1984年以降、「同年天皇賞春秋制覇」という超高難度のハードルを飛び越えた5頭の名馬たちは、いずれも日本競馬史の主役でした。

(1) タマモクロス(1988年)〜歴史をこじ開けた白き稲妻〜
春の天皇賞を稍重のタフな馬場で完勝すると、秋には地方からやってきた最大のライバル・オグリキャップとの「世紀の芦毛対決」を迎えます。東京の高速馬場の中、先行策から次元の違う末脚を繰り出してオグリキャップを完封しました。馬場不問、展開不問。まさに、万能の強さでした。

(2) スペシャルウィーク(1999年)〜王道を歩んだ天才の相棒〜
春はライバルたちのマークを完璧に跳ね返し、無尽蔵のスタミナを見せつけて快勝しました。しかし秋を迎える頃にはスランプ説も囁かれますが、それを覆したのが秋の天皇賞でした。中団から異次元の瞬発力で突き抜け、当時の日本レコード「1分58秒0」で圧勝。極限のスタミナと、極限のスピード。その双方を完璧な形で証明してみせました。

(3) テイエムオペラオー(2000年)〜世紀をまたぐ年間無敗の絶対王者〜
2000年という節目の年、8戦8勝という完璧な成績を残したテイエムオペラオー。その大記録の骨子となったのが春秋連覇です。
春は他馬を寄せ付けない横綱相撲。しかし秋の天皇賞は、全馬が「オペラオー包囲網」の競馬となりました。直線で完全に進路を塞がれ、誰もが敗北を確信したその瞬間、わずかな隙間を割って力強く突き抜けました。前年秋からの「天皇賞3連覇」という金字塔も同時に打ち立てたのです。

(4) メイショウサムソン(2007年)〜二人の名手と掴んだ武骨な栄冠〜
この馬の春秋連覇が特異なのは、春と秋で「異なる騎手」が手綱を握った点にあります。春はデビュー以来の相棒・石橋守騎手(現調教師)とともにステイヤーの意地を見せて勝利。秋は武豊騎手へとスイッチし、完璧なレースセンスでスピード勝負に対応してみせました。乗り手が変わっても、距離が変わっても揺るがないその「芯の強さ」こそが、彼の武器でした。

(5) キタサンブラック(2017年)〜高速の春、泥沼の秋、極限を駆けたお祭り男〜
春の天皇賞では、ライバルたちとの激闘の末、3分12秒5という当時のJRAレコードで圧勝。そして秋、日本中を驚かせたのは台風直撃の「泥の海」となった極悪馬場でした。スタートで出遅れながらも、武豊騎手の冷静なイン突きから、力強く泥を跳ね上げて優勝しました。超高速決着の春と、底なしの消耗戦となった秋。これほど両極端なレースをどちらも制したキタサンブラックの精神力は、もはや伝説です。

3200mを走り抜く「心臓」を持ちながら、2000mで相手を置き去りにする「脚」を持つこと。
そして、激戦の春夏秋をトップコンディションで維持し続ける「体力と精神力」を持つこと。
天皇賞の同年春秋制覇とは、単に「強い馬」という証明ではありません。
それは、競走馬としての全ての能力を完璧なバランスで持った、「完全無欠の名馬」だけが成しえる大偉業なのです。

(文;capybaracing)

 

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さて、クロワデュノールは、勝って歴史に名を刻むことができるのか……!?

今年の「天皇賞・秋」、
『ALSの眼に映る勝ち馬の影』
私の「本命」と推奨理由はコチラです!




◎ ⑰ ダノンデサイル(牡5・戸崎圭太)
宝塚記念では中団後方から差を詰めて3着。勝ち馬メイショウタバルから0秒5離されたとは言え、降雨、重馬場でメンバー最速の上がり35秒0を繰り出しており、展開や馬場を問わず、上位に突っ込んでくる安定感と地力を改めて証明しました。
今回は、東京への舞台替わりで直線が長くなるのは歓迎でしょう。

○ ① クロワデュノール(牡4・C.デムーロ)
今春は大阪杯、天皇賞・春を連勝して春古馬二冠を達成。
宝塚記念は勝ち馬と0秒1差の2着でした。5番手前後から運び、重馬場でも最後まで大きく崩れなかった点が好材料。東京芝2000mでは宝塚記念ほど持続力一辺倒にはなりにくく、位置を取りながら速い脚へ切り替えられるかが焦点です。
そして鞍上はC.デムーロ騎手へ交替。さて、これがどう出るのか……?

▲ ⑯ ジョバンニ(牡4・松山弘平)
チャレンジカップ(GⅢ)は5番手前後から運び、直線でもしっかり脚を使って1分57秒6で勝利。58kgを背負いながら2000mで結果を出した点は、同距離の天皇賞・秋へ向けて素直に評価できます。
阪神内回りと東京ではコース形態が異なるものの、2000mで位置を取りながら最後まで止まらなかったことは大きな強みです。
GⅠでペースが上がっても同じ位置を確保できるかが次の課題になります。

△₁ ⑦ マスカレードボール(牡4・C.ルメール)
昨年の天皇賞・秋は9番手前後から運び、上がり32秒3で差し切り、1分58秒6で優勝。今回とまったく同じ舞台で結果を出しているだけに、これはしっかり評価したいところ。
直線で加速してからの持続力は東京向きで、海外遠征帰りでもコース適性そのものに疑いはありません。昨年と同じように道中で無理をせず、直線勝負へ持ち込めるかがポイントです。
問題はその海外帰り。体重や遠征帰りなどを加味すると、どこまでやれるのかが正直見定めづらいところがあります。

△₂ ⑪ シェイクユアハート(牡6・古川吉洋)
札幌記念(GⅡ)は12番手付近から進めて、3コーナー辺りからポジションを上げ、1分58秒2で快勝。上がり34秒6の脚を使って2着サクラファレルに0秒4差をつけました。
先行有利になりやすい札幌で差し切った内容は評価でき、東京2000mでも長く脚を使う形なら対応可能でしょう。
今年に入ってからの成長力は間違いなく目を見張ります。面白い1頭と言えるはずです。

ところで、前哨戦としては王道の毎日王冠(GⅡ)組ですが……近10年では勝利なし、複勝率も12%程度。なかなか強調しづらいローテーションになってしまった印象です……。

今回の買い目ですが……

〈単勝〉
⑰ダノンデサイル

〈3連複〉
⑰-①⑦⑪⑯

それでは、ここで一句……

『影を置き 彼方に駆けし 秋の天(そら)』(capybaracing)

1998年の天皇賞・秋。異次元の逃げ脚で魅了しながら、大欅の向こう側で沈黙したサイレンススズカ。圧倒的なスピード、突然の悲劇、そして今も競馬ファンの心に生き続ける「幻のゴール」……。
今年は、あの日と同じ11月1日に行われます。

今週末も全ての人馬の無事を願いながら、競馬を一緒に楽しみましょう!