午前4時。まだ寝たい気持ちを引きづりベットから這い出す。コーヒーでも入れて一息つこうかと思ったが、そんなもの途中で買えば良いやと考え雪が舞う暗闇に飛び出した。
今回の旅は電車とバスで行くことにした。今までどの旅も車を使っていたが北欧は色々なシステムが複雑で面倒なのと、豪雪すぎる為レンタカーを借りる気もしないからである。最南端の岬にある町まで行くのだが、 電車とバスを乗り継いで約2時間半で着くらしい。
近所の駅から始発に乗り、中央駅迄向かう。ヨーロッパの大きな駅は似たような雰囲気の場所が多く感じる。
そこから南を目指して進んで行くのだが、結局真っ暗でどんな場所を進んでいるのかさっぱりわからなかった。おまけに始発で出発したので、コーヒーを買える場所も見当たらず、家で飲んで来なかった事を猛烈に後悔する。
途中バスに乗り換え、真っ暗闇を走り抜ける事約2時間半、なんか辺鄙な場所で降ろされたが、どうやらここが目的地であるらしい。
もう7時半だと言うのに極北の大地は暗く、海辺の街のせいか風が強く猛烈に寒い。朝食でも食べてコーヒーを飲んでから釣り場に向かおうと思っていたが考えが甘過ぎた。朝8時を回ろうと言う時間帯なのに辺りは薄暗く、お店の影すら感じられない。実際Googleで近隣を検索するもかなり遠くまで行かないと朝食にもコーヒーにもありつけそうにはなかったので、仕方なく釣りが出来そうな場所へ向かった。
10分程歩くと海にたどり着いた。
徐々に空が明るくなり始め少し安堵する。Googleマップだと更に10分程海沿いを歩くと岬状になった場所が有るのでそこまで歩く。氷が張った地面を滑らないように歩いて行くと何となく釣りが出来そうな場所へたどり着いたので、釣り支度をして釣行開始。
近くにルアーマンが1人いたが、どうやらいつも来ている様な感じではなく、ウロウロソワソワしながら消えて行った。釣りを開始した場所から距離にしてどれ位あるのか分からないが、二つ先の岬まで釣りが出来そうな海岸線が続いている。シートラウトは回遊しながら餌を探しているらしいのでランガンが基本らしいので、とにかく投げては引いて5歩移動を繰り返す。
最初はウェーディングしながら釣りをしていたのだが、あまりにも水が冷たく、気温が低いのでそのうちなるべくウェーディングをしないで済むような立ち位置を見つけ釣りを続ける。凍傷になるのではないかと思えるぐらい足の指先が痛い。シートラウト用にコールドウォーターのフルラインを使ったが、これはボートやウェーディングが可能でバックキャストが取りやすい場所でないとどうも実用的で無い気がする。やっぱり未知の釣り場や環境を釣り歩くならスカジット系のラインが使い易い気がする。
途中で雪が降り出して風も強烈に吹き出した。風に背を向けないともう目も開けられないぐらいに降り出す。時計を見ると既に12時を回っていたが明るさ的にはまだ夜明けの感覚だ。そしてもう3時間以上投げては引き、歩くを繰り返しているのだが全く生命感を感じられない。お腹も空いたし猛烈な吹雪の為一旦釣りを切り上げ町まで戻る事にした。
とりあえずピザとコーヒーを注文してさっさと食べる。何かローカルな食べ物を売ってると思いきや、そう言うわけではなく普通にピザ屋であった。朝から何も口にせず飲みもせずで釣りを続けていたので、とても美味しく感じる。コーヒーはお替り自由だったので、最初の一杯はさっさと飲み干し、食後にゆっくりと味わいながら帰宅時間までの戦略を考える。
帰りの時間まで後3時間程、微妙な時間である。
それに後1時間半もすれば日が暮れそうである。極端に日照時間が少ない。最初の場所まで戻るには少し遠すぎるので、町から近いビーチを攻めてみる事にした。
街中を通り過ぎるとわりと直ぐに目的のビーチにたどり着いた。今は真冬で閑散としているが、夏場には賑わいそうな感じがする。
ビーチはワンド状になっており、右側にも左側にも岬状の岩場が広がっていた。右側は結構険しい断崖状になっていたので、比較的足場の良い左側から釣りをしてみる事にした。ここならウェーディングする必要はないのでもう寒さと痛みに耐えながら釣りをする必要はなかった。
それから約3時間ひたすら投げ続けて見たのだが、あたりすらないどころか生命感を全く感じれなかった。小魚やエビぐらいいるかと期待したが、現実は相当に厳しかった。久しぶりに1日中フライロッドを振れて気持ちは清々しかったが、何の手がかりも無く初釣行は終わった。




