
ここで、自分は「ベスト盤は嫌い」を何度も公言しています。いいとこ取りだけでは、そのアーティストの変化や成長などを理解することが出来ないと思っているからです。そしてなにより自分にとっては、発表した曲やアルバムがどんな時代背景の中から生まれて、どんな影響を受けて、ロック史の中でどんな名跡を残していったのか…、こういうことを知ろうとすることがとても楽しいのです。
しかし、このアルバムは「ベスト盤」です。最近、彼らの曲「WITHOUT YOU」を1994年にマライア・キャリーがカバーし、ヒットしたこともあり、見直されたバンドでもあるバッドフィンガー(因みに1972年にハリー・ニルソンが同曲カバーし、大ヒット)。そういった影響からか、つい最近オリジナル・アルバムの再販が紙ジャケットであったようです。こういうことがないと、なかなか本来のオリジナル・アルバムを出してくれないのが、日本のレコード業界。で、自分がバッドフィンガーに興味を持ったのは、このヒットより前で、オリジナル・アルバムは廃盤状況の時でした。(因みに、紙ジャケットは収納サイズが合わないので困る…)
バッドフィンガーは、ビートルズが設立したレコードレーベル「アップル」からデビュー(1969年)したことなどもあり、ビートルズの弟分的な存在に語られたりすることがあると思います。ビートルズからの楽曲の提供や、ビートルズのメンバーのソロプロジェクトに関わったりと、色々な親交があったようです。
しかし、バッドフィンガーがバンド活動や楽曲、アルバムの作品などよりも語られてしまうのは、「不運のバンド」としての要素だと思います。かなりのヒット曲などもあったにもかかわらず、アップルの経営の傾きや、彼らに付いたマネジャーに契約を騙されるなどして、バッドフィンガーは金銭的には全く恵まれませんでした。そして、それが元でメンバーの自殺やメンバー同士の訴訟合戦など、これでもかというぐらいの不幸の連続…。特にリーダーでギタリストのピート・ハムの死は壮絶で、28歳の誕生日を迎える目前に自殺を図り、しかも彼の婚約者のお腹にはあと一カ月で生まれる予定の子供までいたという状況でした。それほど、バッドフィンガーは追い込まれていたようです。
こうした不運の面がたくさんあるバンドあるため、作品のことよりバッドフィンガーの経緯の方が語られてしまうようです。とはいえ、彼らの作品がダメかというと、そんなことはありません。実際に、先に書いた「WITHOUT YOU」は「バラードの定番」と言われたりしています。今回のアルバムはベスト盤なので、アルバムとしてはなんとも言えませんが、収録されている楽曲一曲一曲の出来は、ストレートなロックをやっているし、とてもカッコいい粒ぞろいなのです。
今回、このブログを書くのに改めてバッドフィンガーを聴き直したのですが、やはりオリジナル・アルバムが欲しくなりました。紙ジャケットでなければ即買いに行こうっと~。
CDの評価は、BBB。